社会の持続可能性は多くの人が注目している概念ですが、企業にとっても重要な概念であるといえます。持続可能な社会の実現につながる継続的な稼ぐ力の確保と、社会課題の解決の両立を促す考え方として、広まっているのがSXです。
この記事では、SXとはどのような取り組みなのか、DXなどの類似した概念との違いや、なぜSXが求められているのかについて解説します。
サステナビリティ・トランスフォーメーション、通称SXは、社会が求める企業のサステナビリティの両方を追求し、同期化させるための取り組みです。
企業活動が社会課題の解決につながるようなビジネスモデルを構築することできれば、企業の成長と社会課題の解決が両立され、企業が社会に与える影響も多大なものとなります。
事業をゼロからスタートする企業は、SXを踏まえたビジネスモデルを構築しはじめています。これに加え既存の大手企業も、SXの実現に向けた経営変革に向けて動き出しており、ビジネスのあり方にも大きな変化が生まれつつあります。
企業の末長い成長を実現するためには、社会が安定した持続可能性を確保しなければなりません。SXの実現は、このような社会の安定した持続可能性の確保と、長期的な企業の稼ぐ力の確保の両方にアプローチできる、スマートなコンセプトといえるでしょう。
SXは、DXやGX、SDGsという考え方とも分けて定義されています。いずれも企業課題として課せられているものですが、目指すべきものが微妙に異なる点に注目しておきましょう。
DXはデジタル・トランスフォーメーションの略称で、デジタルの力で生産性の向上や新しい価値の創造を実現する取り組みです。AIやIoTの活用や、アナログ業務のデジタル化がこれに当たります。
DXは、テクノロジーを使った価値創造を目的としていますが、SXはサステナビリティの達成がゴールです。その過程でデジタルを積極的に活用するため、DXによってSXを促すという考え方も可能でしょう。
GXはグリーン・トランスフォーメーションの略称です。自然エネルギーの有効活用を推進するための取り組みで、化石燃料の使用から脱却したビジネスモデルの構築を進めます。
SXもまた、GXの取り組みと同様の面もあります。社会の持続可能性の達成のため、クリーンエネルギーへの移行が必要になるからです。ただ、SXのゴールは自然エネルギーの有効活用ではなく、持続可能性の実現である点は重要な違いといえます。
SDGsは「持続可能な開発目標」の略称です。社会の持続可能性確保に必要な普遍的なゴールを掲げる上で用いられる指標ですが、SXは社会の持続可能性だけでなく、企業の持続可能性にも着目します。
つまり、企業のビジネスの円滑な成長もゴールに含まれているため、SDGsの達成に直結するようなビジネスモデルの構築が、SX実現には必要というわけです。
SXが広く注目されるようになった理由としては、市場やビジネスモデルの急速なトレンド転換が挙げられます。DXの浸透により、市場のニーズや働き方の常識が大きく変化し、変動のペースも加速したため、企業は順応性を高めて対応しなければなりません。
これに加え、世界では気候変動や災害の発生、紛争などの地政学リスクの不透明性も高まっており、一寸先は闇となっているのが現状です。このような問題に対処すべく、掲げられたのがSXです。
SXというゴールを達成することで、社会の不確実性を少しでも減らすとともに、企業の持続可能性も確保できます。短期的な利益を求めるのではなく、中長期的な目的の達成を目指すことにより、企業価値を生み出していくことが可能です。
SXの達成は、一朝一夕でできるものではありません。まずは既存事業や企業コンセプトの見直しからスタートし、どのようにSXを目指すべきか、考えることが大切です。
自社の強みはどこか、どんな事業がSXの達成に役立つのかを考えながら、新しいビジネスモデルを創出していきましょう。
この記事では、SXとは何かについて、DXなどとの違いにも触れながらその必要性を解説しました。SXは企業の生存戦略を考える上で、重要な取り組みといえます。
社会の持続可能性を踏まえた企業ゴールの設定は、私たちが健やかに暮らしていく上でも重要な取り組みです。自社でできることや抱えている課題を洗い出し、社会と企業のサステナビリティに貢献しましょう。