近年、日本では少子高齢化による労働力不足のため、さまざまな業種でAIが導入されています。製造業では以前から工場の生産ラインで自動化が進められていましたが、最近では接客業においてもAIの活用が始まっています。
本記事ではAI接客とは何か、どのような場所で活用されているか、活用のメリットや注意点について解説します。
AI接客とは、コールセンターや店頭などで、人間が従来行ってきた接客対応をAIが代行することです。特にコールセンターはストレスが高い労働環境などが原因で人手不足となり、非正規雇用や地方への移転が進んでいますが深刻な人手不足は解決していません。
AI接客はユーザーとの対話の中でも経験を積んで学習をするため、人間が指示を出す必要がありません。またAIによるチャットボットは、単純な質問への自動回答に限らず複雑な質問への回答や雑談といった難易度の高い対応が可能になります。
今後AIの発達が進むとさらに活用の可能性が広がり、ホテルやレストランや病院など多くの場所で活用が始まるかもしれません。
AI接客が活用されている事例をご紹介します。
接客ロボットはレストランやホテルの受付、空港や商業施設などで徐々に見られるようになりました。コロナ禍では感染防止の観点から導入が進むケースが増えました。レストランではロボットが食事の配膳を行い、商業施設では広告の配布などを行います。さらにコミュニケーション型ロボットは医療関係や教育関係での実証試験が進められています。
AIチャットボットは企業のカスタマーセンターや、ヘルプデスクなどで活用されている利用者の質問に24時間応答するシステムです。的確な回答をするためAIの学習機能を利用しています。初期費用がかかりますが、業務の効率化やコスト削減に貢献が可能となるため、徐々に企業での導入が進められています。
アバター(分身)接客とはモニターに表示されたキャラクターなどが、店員に代わって接客するシステムです。店員は別の場所でアバターを通じて接客する仕組みで、場所にとらわれない働き方や感染リスクを抑えるメリットがあります。来客が気軽に質問しやすいことなども特徴です。
AI接客を導入するメリットは以下の通りです。
AI接客を導入すると従来は人が対応していた業務を無人化できます。人手不足に悩む企業や店舗などの課題を解決できる可能性があります。さらに人を雇う場合に発生する急な退職や欠勤といったトラブルが起きにくく、安定した運用が可能です。
AI接客は人が不在でも自動で対応ができ、また人間と違って休憩や休暇を取る必要がないため、昼夜を問わず24時間対応が可能です。有人のサービスセンターでは定時で繋がらなくなるなど不便な点があるため、AI接客を導入することで顧客の満足度が上がる可能性があります。
AI接客では人間と違って均一で安定した対応ができるメリットがあります。従来の人による接客はその人の性格やスキル、体調などの要因によってサービスの質が安定しない場合があります。また、AIは学習能力によって経験を積むことでサービスの品質が向上する点もメリットになります。
AI接客は学習内容によって、英語に限らず複数言語の対応が可能です。従来の人による接客で複数の言語に対応できる人材を探すのは難しいですが、AI接客であれば学習機能によって必要な言語の種類を増やすことができます。インバウンドによる需要増加や、国際的なビジネスへの対応においてメリットとなります。
AI接客導入にはいくつかの注意すべき点があります。
AI接客を導入するためにはソフトやロボットなど必要な環境を揃える必要があり、導入後のメンテナンスなどのランニングコストも必要となります。高度な知識を持つ人材や業者の確保も課題となるため注意が必要です。
AI接客はこれから導入が進んでいく技術であり、ユーザーの中には対人の接客に慣れていてAIが苦手という人がいます。AI技術は日々進化していますが、イレギュラーな対応はできないことがあるのでユーザー側の理解が必要となる場合があります。
AI接客は人手不足の解消や業務効率化などのために取り入れる企業が増加しています。今後はAI技術の改善により、サービスの品質向上といった目的でも導入が進むかもしれません。