グリーントランスフォーメーション(GX)は、CSRの観点から近年製造業界で広く重視されている取り組みです。環境負荷を抑えるための取り組みには多様なアプローチがある中、技術開発が国内でも活発化しているのがカーボンネガティブに関する取り組みです。
この記事では、温室効果ガスの排出を抑えるばかりか、減少させる効果を持つカーボンネガティブコンクリートの概要やGXに与える影響について、解説します。
カーボンネガティブコンクリートとは、コンクリートの製造過程において排出される温室効果ガス、すなわち二酸化炭素を、ゼロ以下に抑えたコンクリートです。
従来のコンクリートはその製造過程の中でもセメントの製造時に、大量の二酸化炭素を排出します。そこで、その製造に使用するセメントを、石炭火力発電所の石炭燃焼時に生じるフライアッシュに置き換えたり、製鉄所の高炉で鉄鉱石を溶融する際に生まれる高炉スラグを使用したりすることで、二酸化炭素の排出量を削減します。
カーボンネガティブはカーボンニュートラルとは異なり、二酸化炭素排出量をゼロに抑えるだけでなく、二酸化炭素を吸収し大気中から減らすという強みを持っています。
これまではコンクリートを作った分だけ二酸化炭素が増えるため、それを少しでも減らすという考えが当たり前でした。しかしカーボンネガティブコンクリートは、作れば作るほど二酸化炭素を減らせるという、夢の技術というわけです。
製造業界で使用するすべてのコンクリートをカーボンネガティブコンクリートに置き換えることができれば、強力なGXの推進に繋がります。
コンクリートを作る際、セメントと二酸化炭素はほぼ1対1の関係で排出されます。そのため、セメントを1トン作ると二酸化炭素も1トン排出されるわけです。
2023年に全国生コンクリート工業組合連合会が発表したデータによると、コンクリートの年間総出荷量はおよそ7,500万立方メートルとされています。コンクリート製造に際しては1㎥あたり約270㎏の二酸化炭素が排出されることから、年間の排出量は2,200万トンに達しているのが現状です。 しかしカーボンネガティブコンクリートを導入することで、この2,200万トンにもなる二酸化炭素排出を丸ごと削減できるだけでなく、余分な二酸化炭素も吸収することができます。
カーボンネガティブコンクリートの研究は、国内でも西松建設や清水建設をはじめとした、大手建設会社などでは既にスタートしています。本格的な置き換えはまだ始まっていないものの、研究成果を踏まえると、近いうちに行われる可能性は非常に高いといえそうです。
西松建設と戸田建設は、共同でカーボンネガティブコンクリートの開発に取り組んでいます。二酸化炭素を吸収・固定化した炭酸カルシウムを添加したスラグリートⓇを利用した低炭素型のコンクリートです。
材料が原因で発生する二酸化炭素をゼロに抑えることができるだけでなく、コンクリートとしての品質も従来のものと同等であることが実証実験によって確認されました。
清水建設では、コンクリートに対してバイオマスを炭化した「バイオ炭」を混ぜ合わせることで、カーボンネガティブを達成できるコンクリートを開発しています。
バイオ炭は、木材加工の際に出るオガ粉を加熱圧縮成形し炭にしたもので、バイオ炭1kgにつき約2.7kgの二酸化炭素削減効果があるとされています。
同社はバイオ炭を適切な配合とすることで従来と品質の変わらない、カーボンネガティブなコンクリートの開発に成功しました。2023年には東名高速川西工事の仮設道路に同製品を使用し、4.7トンの二酸化炭素を削減できたということです。
この記事では、カーボンネガティブコンクリートが製造業GXに与える影響を解説しました。世界全体で経済が活性化していることで、もはやカーボンニュートラルでは抑制しきれない二酸化炭素の増加が世界的な問題となっています。
カーボンネガティブによって二酸化炭素の排出量を減らせる環境を整備していくことは、地球温暖化の抑制に大きな意味を持つことが期待されます。
コンクリート以外にもカーボンネガティブの取り組みは進められているため、新しい技術をGXへ積極的に役立てることが大切です。