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防災テックとは?災害から命を守るためのテクノロジーを紹介

レンテックインサイト編集部

防災テックとは?災害から命を守るためのテクノロジーを紹介

地球温暖化などの影響で、世界的に自然災害が多発する傾向にあります。日本でも、自然災害による死者・行方不明者数は2011年の東日本大震災以降、増加傾向が続いています。このような状況を受け、災害対策における最新テクノロジーの活用へ期待が高まっており、「防災テック」と呼ばれています。本記事では、防災テックの概要や関連する技術、導入が進む具体的な事例をご紹介します。

防災テックとは

防災テックとは、「防災」と「テクノロジー」を組み合わせた造語です。自然災害による被害を最小限に抑え、人々の生命と暮らしを守ることを目的に、最先端のテクノロジーを活用するデジタル技術を防災テックと呼びます。

2020年5月、内閣府は「防災×テクノロジー」のタスクフォースを設置しました。近年頻発する災害に対してより効果的に対応するため、新たなテクノロジーを積極的に活用していくよう働きかけています。具体的には、①災害リスク・避難情報の提供、②被害状況の把握、③被災者支援制度のデジタル化、④共助による避難施設の確保等、⑤通信の冗長化の5つの取り組みが掲げられました。

国外でも防災テックへの取り組みは活発で、調査会社の予測では、災害対策システムの世界市場規模は2030年に2981億ドルと2020年の2倍に達するとしています。

防災テックに関連する技術

防災テックに関連する技術として、AI、ICT、SNSやデジタルサイネージについてご紹介します。多くの人々に向けて避難情報を迅速に伝達したり、被災地の調査に役立てたりなどの活用が期待できます。

AIを活用した災害予測・支援システム

防災テックに関連する主要な技術の一つがAIです。AIは災害の発生を予測したり、発災時の被害状況を即時に把握・分析したりするのに役立ちます。内閣府が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、避難支援やスムーズな災害対応ができるよう、AIを活用したシステムの研究開発が進められています。

具体的には、SNS上で被災者と自動で対話し避難情報を伝えるチャットボット、衛星画像からAIが自動で被災範囲を判読するシステム、避難判断を支援するシステムなどがあります。AIシステムの導入により、災害発生時の人手不足を解消し、一人一人に迅速に情報を伝達できます。

ICTによる効率化

ICT(情報通信技術)は防災テックの重要な要素であり、災害対策の効率化と高度化を図るために利用されています。具体的には、スマートフォンやタブレットを活用した被災地調査の業務負担の軽減、災害対策本部などとのリアルタイム情報共有などが挙げられます。さらに、UAV(無人航空機)やAI技術を用いて、崩壊地面積の自動計測などが実現されており、被災地での緊急調査の効率化が進んでいます。

SNSやデジタルサイネージによる情報伝達

SNSやデジタルサイネージは、災害時の情報伝達手段として重要な役割を果たしています。SNSを通じてリアルタイムで情報を共有することで、被災者への迅速な情報提供が可能になります。デジタルサイネージは、駅や商業施設にあるディスプレイなどの装置を用いることで広範囲にわたる人々に対して重要な情報を瞬時に伝えられます。これにより、避難指示や災害情報の迅速な伝達が可能となり、多くの命を守れます。

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防災テックの取り組み事例

さまざまな技術を防災に役立てる取り組みが全国各地で行われています。実証実験レベルのものもありますが、実際の災害時に活用された技術もあります。

AIチャットボットによる被災者支援

SNSとAIチャットボットが連携し、被災者と自動で対話しながら避難情報を伝えたり、被災状況を収集・分析したりします。株式会社ウェザーニューズが開発した防災チャットボット「SOCDA」は、事前に多くの情報ソースからデータを収集し、LINEを活用して利用者一人一人の状況に合わせた情報提供を可能とします。

これにより、避難所の人数予測や把握、物資需要の把握、問い合わせ対応などの自動化が実現し、現場の人員の業務負荷の軽減が期待できます。既に多くの自治体で活用され、情報展開や情報収集に利用された実績があります。

ICTを活用した被災地の調査

国土交通省では、防災・減災、国土強靭化のためICTの利活用を推進しており、土砂災害対策におけるICTを活用した取り組みとして「SMART SABO」があります。SMART SABOはICTを活用した砂防調査・管理効率化ツールで、土砂災害発生後の被災地緊急調査を支援するために開発されました。

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を使用し、目的地への誘導、移動軌跡の取得、調査の記録や報告書作成、災害対策本部とのリアルタイムな情報共有を可能にすることで、調査の安全性や迅速性が向上します。

オフィス街や自治体における実証実験

三菱地所株式会社は、2022年2月から東京・丸の内エリアにおいて、公共交通機関のSNSアカウントと連携する「災害ダッシュボード」の実証実験を行いました。オフィス街で働く人々の安全を確保し、迅速な情報伝達と避難誘導を可能にすることを目的としています。

千代田区、東京都、鉄道各社、インフラ企業などから発信される災害時のSNS情報を自動的に取得し、最新情報を提供する実験が行われました。自動的に情報を配信するため、自治体の防災担当者の手間が省けます。被災者は二次元コードを読み取ることでリアルタイムに施設の満空情報を把握し、地図アプリを参照しながら目的地へ移動できます。また、丸の内エリア内のデジタルサイネージを遠隔操作し、災害時の緊急情報を放映する実験も行われました。 そして2024年2月には千代田区と災害時のDX連携協定を締結し運用が開始されました。

防災テックの今後の広がり

さまざまな技術を防災分野に取り入れ、国や自治体、民間企業が実用化に向けた取り組みを積極的に進めています。最新テクノロジーの活用により、これまで以上に迅速で的確な対応が可能となり、被害の最小化と人命保護につながることが期待されています。

一方で、新技術の導入には、コストや運用体制、セキュリティ対策の必要性など、克服すべき課題も多くあります。緊急時に利用できるサービスについて、日頃から理解を深めておくと良いでしょう。

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