ホームITGAIA-Xで進むデータ連携と今後の展開は

IT Insight

GAIA-Xで進むデータ連携と今後の展開は

レンテックインサイト編集部

GAIA-Xで進むデータ連携と今後の展開は

近年、地球温暖化対策のためにカーボンニュートラルへの取り組みが各企業で進められています。温室効果ガスの排出量算出にはサプライチェーン間での情報共有が必要であり、効率的な算出のために企業間でデータ連携を構築する動きが出始めています。

欧州ではGAIA-XやCatena-Xなどのプラットフォームを整備するプロジェクトが発足し、さまざまな業種の企業が参加しています。今後さらに参加企業が増加していくのか、また日本企業のデータ連携はどのように進むのかが注目され始めています。この記事では欧州統合データ基盤プロジェクトGAIA-Xについて解説します。

GAIA-Xとは

GAIA-Xは欧州の企業間でデータ連携を進めるためのプラットフォームを整備するプロジェクトです。2019年11月にドイツとフランスの政府が立ち上げ、両国の企業22社が参加し、その活動が開始されました。

現在では300を超える企業がプロジェクトに参加して活動の幅を広げています。中でも、GAIA-Xのうち自動車業界に特化したデータ連携プラットフォームCatena-Xは実稼働が進められています。Catena-Xは2021年にBMWとベンツが共同で設立したプラットフォームで、自動車業界以外にもIT関連のマイクロソフト、化学関連のBASF、機械関連のシーメンスなど複数の業界から企業が参加しています。

欧州以外におけるプラットフォームとしてはアメリカのGAFAM(Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft)や、中国のBAT(Baidu・Alibaba・Tencent)が存在します。これらのプラットフォームはすでに世界規模で利用されており、GAIA-X設立には欧州企業が今後グローバル競争で後塵を拝すことがないようにという背景があります。

GAIA-Xの目的と原則

GAIA-Xが設立された目的はデータ連携のためのプラットフォームを構築して、幅広い業種の企業間で情報共有を図り参加企業の競争力を向上することです。特にEUが持つ企業文化や価値観に沿ったビジョンを掲げ、米国のGAFAMや中国のBATといった大きなプラットフォームに対抗できるプラットフォームを構築しようとしています。

GAIA-Xが掲げている原則は以下の7つです。

(1)欧州のデータ保護
(2)開放性と透明性
(3)信用性と信頼
(4)デジタル主権と自己決定
(5)自由な市場アクセスと欧州の価値創造
(6)モジュール性と相互運用性
(7)使いやすさ

例えば「データの信用性と信頼」は参加企業が収集したデータを用いて自社のIR活動を行う場合などに必要な項目です。「開放性と透明性」を高めることで参加企業はスムーズでスピーディーなデータ利用によりビジネスの競争力向上に繋げることができます。

「データ保護」の観点は、秘匿性の高い情報を取り扱う製造分野では特に重要です。従来は開示されていなかった生産に関する各種データを、ライフサイクルアセスメントの実施や温室効果ガスの排出量算出のために今後は開示する必要が出てきます。こうしたデータの漏洩を起こさないために、国際データ流通プラットフォームの共同試験が日欧連携で取り組まれてきました。

GAIA-Xで進むデータ連携と今後の展開は 挿絵

GAIA-Xで協業するNTTコミュニケーションズとオムロン

今後EU企業とのビジネス継続のために、GAIA-Xへの参画が必要となる日本企業が増えることが予想されています。そこでNTTコミュニケーションズとオムロンは、GAIA-Xと製造現場間のデータ連携システムを共同開発しています。

NTTコミュニケーションズとオムロンは2021年から共同でGAIA-Xへの接続実験を行ってきました。NTTコミュニケーションズが持つインフラに加えて、オムロンの通信機器を用いてネットワークの構築を目指す取り組みです。

2021年4月にはプラットフォームのプロトタイプ開発に成功し、GAIA-Xとの相互接続に成功しています。今後は商用版のプラットフォームの提供を進めると公表しています。

日本企業のデータ連携はどうなるのか

GAIA-Xの取り組みのように、今後日本企業でもデータ連携の必要性が増していきます。そのためNTTコミュニケーションズは、日本企業間で利用できるデータ連携プラットフォームが必要だと訴えています。こうした社会情勢を受け、今後は日本企業を対象とした国際基準に従ったデータ連携システムの整備が進められていく可能性があります。

IT Insightの他記事もご覧ください

Prev

Next