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PLCのクラウド化とは?

レンテックインサイト編集部

PLCのクラウド化とは?

近年の少子高齢化による人手不足対策や、生産性向上などを目的として工場のIoT化が進められています。工場で使われる生産設備の多くはPLCと呼ばれる制御機器によって効率的に制御されており、高速・高精度に製品を連続生産することが可能になっています。PLCは高速化や省配線仕様の通信方式など、これまでも利便性・効率性が高い技術が取り入れられてきました。

一方で、生産設備内の回路変更やデータ収集を行うためには、PLCをパソコンに直接つながなければならないという課題があります。作業員はトラブルが発生すると現地に直接行って対処をする必要があります。そのため現在、生産設備のデータをネットワークにつなげクラウド化するという取り組みが始められています。

PLCのクラウド化とは?

PLCのクラウド化とはネットワーク環境を整備して、PLCをクラウドとつないでデータ利用や遠隔操作・監視する取り組みです。近年はスマートファクトリー化が話題となっており、センサーやロボットに限らず、PLC内のデータをクラウド上で利用したいという需要が高まっています。

従来のPLCはLANケーブルなどでパソコンと接続することで、データ収集やプログラムの変更が可能になります。そのため、リアルタイムにデータを利用することや監視するためには、エンジニアがパソコンを直接つないで生産設備に張り付く必要があり、拘束されるというデメリットがありました。クラウド上でエンジニアが作業できる環境を構築ことにより、これらの課題が解決され利便性が向上します。

クラウド化の仕組み

PLCのクラウド化の代表的な構成は、PLCを中継器とつないでからクラウドとLTEで通信する方法です。LTEを利用することで通信設備の運用が簡単で低コストとなり、セキュリティ面でも安全性の向上が可能になります。

クラウド化して社内ネットワークと接続すると、設備から離れたオフィスや在宅勤務中でもPLC内のデータが監視できるようになります。また携帯電話通信網につなぐ方式や、セキュア接続機能がある方式も出ています。そうしたクラウド化に必要なネットワーク環境をパッケージ化して提供するメーカーも登場しています。

PLCのクラウド化とは? 挿絵

クラウド化のメリット

PLCをクラウド化することでさまざまなメリットを得ることができます。

トラブルの早期発見

クラウド化するとリアルタイムにPLC内のデータを監視できるため、設備で起きたトラブルを早期発見して復旧できます。

通信インフラコスト削減

クラウド化するとコストがかかるので費用負担が増えると考えられることがありますが、実際には多数の設備間で通信設備を整備するより一括監視でコストが抑えられる場合があります。

新たな知見の発見

クラウド化で膨大なPLCデータを取得することで、これまで分からなかった設備故障の予兆や品質不良原因などが分かる場合があります。

移動時間の削減

従来は設備故障時に作業員が現地に出向いてPLCとパソコンを接続して作業していましたが、オンラインで解決できれば移動時間の削減につながります。

将来の機能拡張が容易

PLCがクラウド化されていると機能のアップデートがオンラインで完結するため容易に対応できます。従来のようにアップデートのために制御機器を交換することが減り、追加で機能拡張やサービスを受けられるためコスト低減にもつながります。

クラウド化サービスの一例

東芝インフラシステムズ(川崎市)が提供を開始したサービス「Meister Controller Cloud PLCパッケージ typeN1」では、PLCをクラウド上に実装してリモートで運用・保守を可能にしています。この取り組みは、同社が手掛けている「計装クラウドサービス Meister Control」シリーズの新たなサービスとなっています。

このサービスではクラウド上でPLCログのモニタリングやプログラムの編集、設定変更が可能で、トラブル発生時もオンライン上で解決が可能です。そのため従来のようにエンジニアや保全担当者が直接現場に行く工数を削減することができます。そのほかにも制御機器をクラウド上で一括監視すると、PLCの設置台数を減らして消費電力の削減にもつながります。

東芝独自の通信プロトコルを使用することで安定した通信環境および高いセキュリティ下でサービスを利用できます。今後のテレワーク拡大などでも従来と同等に現場設備の保守・運用を実現することができるようにする取り組みです。

工場のIoT化は今後ますます進んでいく

PLCのクラウド化は働き方の多様化への対応やコスト・工数削減などさまざまなメリットがあることから、活用する企業が増える可能性があります。製造業ではスマートファクトリーの取り組みが注目されており、その一環としてもPLCのクラウド化が進められるかもしれません。

一方で利便性や効率のみを重視すると実際に設備でどういったトラブルが起きているのか、なぜそのトラブルが発生したのかを分からずかえって解決までに時間を要してしまうかもしれません。人材育成の観点でも現地現物で学ぶ機会が重要な場合があるので、ケースバイケースで利用することも必要です。実際の導入を検討する場合は、自社の環境や将来展開などを踏まえて判断する必要があります。

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