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自動運転トラックとは?物流問題解決への一手となる技術を紹介

レンテックインサイト編集部

自動運転トラックとは?物流問題解決への一手となる技術を紹介

物流業界では働き方改革の流れを受け、長時間労働の是正が求められています。2024年4月からは自動車運転業務の年間時間外労働時間に960時間の上限規制が導入されたため、トラックドライバーの労働環境改善が喫緊の課題となっています。

本記事では、2024年問題の概要とその解決策として期待される自動運転トラックやその課題について解説します。

物流の2024年問題とは

これまで物流業界では、EC市場の拡大に伴う宅配便の増加などにより、トラックドライバーの長時間労働が常態化していました。2024年の法改正で年間960時間の時間外労働上限が設けられたことから、業界に大きな影響が出ると予想されています。

具体的には、規制により1日に運べる荷物量が減少するため、運賃値上げをしない限り運送業者の売り上げと利益が減少してしまうことが危惧されます。運賃値上げは簡単ではなく、現在の過当競争の中で荷主企業に受け入れてもらえるかが課題です。

また、走行距離に応じて運行手当が支給されるドライバーの収入が減少する恐れもあります。労働時間の規制で走れる距離が短くなれば収入が低下し、それがドライバー不足に拍車をかける可能性があります。

物流の課題解決に向けて、ドライバーなしや一部支援のみで走行し荷物を輸送できる自動運転トラックの実現が期待されています。

自動運転トラックの技術

高速道路がメインとなるトラック運送は、センサーによる周囲環境の把握がしやすく、自動運転に適した環境にあります。また、トラックが隊列を組んで走行する隊列走行技術の実用化に向けた開発が進められています。

LiDARとSLAM

自動運転トラックには、一般的な自動運転車と同様にLiDARやSLAMの技術が用いられています。LiDARはレーザー光を発射して物体に反射させ、その反射時間から対象物までの距離や位置を検出します。そしてLiDARで得られた情報をもとに、SLAM技術によってトラックの周辺環境のマッピングをします。

これにより、トラックの周辺にある車両や路面の状況を認識し、自動運転を実現しています。高速道路などの専用道路は路面の状態が管理されているため、市街地と比べて自動運転が実現しやすいことがメリットです。

隊列走行

複数のトラックが隊列を組んで走行する、隊列走行技術の開発も進んでいます。トラック同士が走行状況をリアルタイムで共有し、一定の車間距離を保って走行します。先頭トラックのみドライバーが運転し、残りのトラックは無人とすることでドライバー不足に対応できます。

また、自動運転システムがドライバーをサポートすることで運転の負荷を軽減できるため、労働環境の改善にもつながります。自動運転トラックや隊列走行について、実際の公道を用いた実証走行がすでに行われています。

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自動運転トラックの課題

自動運転トラックの実用化に向けた技術開発が進む一方で、大型車特有の課題や走行時の安全確保など、さまざまな課題も存在しています。

大型車特有の課題

自動運転トラックは車高、車幅、全長が大きいため、一般車よりもセンサーやカメラの数を増やして幅広い検知範囲をカバーする必要があります。また、車体自体が通信の電波を遮蔽するため通信しにくい場合もあり、複数の通信手段やアンテナを用意するなどの対応を検討する必要があります。

またトラックの全長の長さのため、隣接車線への割り込みや、運転操作のタイミングなどが一般車とは大きく異なります。特に大型トラックは、加速や減速、曲がるといった動作に時間がかかり、一般車より運転の難易度が上がります。さらに、運送用のトラックはなるべく車両を止めず、決められた時刻までに目的地へ到着することが求められます。

走行時の安全確保

障害物を回避するための車線変更や、本線への合流時の安全確保が困難な場合もあります。全長の長い大型トラックは、車線変更時に100m以上の車間距離が必要となることもあり、現実の交通環境下では車両単独では対応が困難な事態も起こるでしょう。

そこで、事前に前方の事故渋滞などの状況を把握し、適切な回避行動をとれるような先読み情報の提供や、本線の交通状況を分析して車両に安全な合流タイミングを通知する合流支援など、外部からのサポートが不可欠となります。

自動運転トラックの実用化が段階的に進む

2024年以降の労働時間規制を見据え、官民が連携しながら自動運転トラックの実用化に向けた取り組みが進められています。自動運転技術の活用により、物流の効率化と労働環境の改善が期待される一方で、大型トラック特有の課題もあり、その解決が実用化の鍵となります。自動運転トラックの実用化に向けては技術面、インフラ面の両面からの取り組みが必要不可欠です。

まずは高速道路などの比較的環境が整った専用路線での自動運転の実現を目指し、その後、一般道への展開を見据えた技術開発が重ねられていくことが想定されます。今後、自動運転トラックはより私たちの生活に身近な存在になるでしょう。今後の物流問題および自動運転トラックの動向に注目してみてはいかがでしょうか。

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