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EVシフトはどこまで進んでいる?世界と日本の現状を解説

レンテックインサイト編集部

EVシフトはどこまで進んでいる?世界と日本の現状を解説

脱炭素社会の実現に向けて、自動車業界では世界的にEV(電気自動車)シフトが進められています。日本は世界に比べてEVシフトが遅れていると言われていますが、実際はどのような状況なのでしょうか。本記事では、EVシフトがどこまで進んでいるのか、世界と日本の現状を見ながら解説します。

世界でEVシフトはどこまで進んでいる?

国際エネルギー機関(IEA)が発表した「世界EV見通し2024」によると、2023年の世界のEV新車販売台数(乗用車のみ)は前年比35%増の1,380万台となっています。伸び率は前年の54%増を下回っているものの、全新車販売台数に占める割合は18%であり、前年の14%より拡大しました。

地域別に見ると、中国が前年度比37%増の880万台と最も多く、次いで欧州が22%増の330万台、米国が40%増の139万台となっています。この3地域での販売が世界のEV販売台数の約95%を占めており、ほかの地域と大きく差がついています。

しかし、そのほかの地域でEVシフトが全く進んでいないわけではありません。例えば、インドやベトナムでは地場メーカーによる国産EVが市場シェアをほぼ独占しており、着実にEVシフトが進んでいます。また、タイやブラジルでは中国メーカーによる安価なEVが人気を博しており、市場シェアの半分以上を中国メーカーが占めている状況です。

日本でEVシフトはどこまで進んでいる?

続いて、日本のEVシフトの現状を見ていきましょう。日本自動車販売協会連合会の発表 によると、2023年の日本のEV新車販売台数(乗用車のみ)は約4.4万台であり、全新車販売台数の約1.7%を占めています。2020年は約0.6%、2021年は0.9%、2022年は1.4%であったことから、EVの比率は徐々に高まってきているものの、中国・欧州・米国などに比べると緩やかなEVシフトといえるでしょう。

しかし、日本の自動車市場ならではの特色もあります。例えば、全国軽自動車協会連合会の発表によると、2023年の新車販売台数(軽自動車)におけるEVの比率は約3.5%と乗用車より高くなっており、日本で「軽EV」が注目されていることが分かります。近距離の移動が中心で充電の心配が少ないことや、乗用車に比べて価格が手頃で手を出しやすいことが、その要因であると考えられます。

また、日本ではHEV(ハイブリッド車)の存在感が非常に強く、乗用車の新車販売台数の約55%を占めています。完全なガソリン車の比率は約36%にとどまっているため、その点も考慮すべきです。

日本政府は「2035年までに乗用車の新車販売で電動車の比率を100%にする」という目標を掲げています。ここで言う電動車にはHEVやFCEV(燃料電池車)も含まれているため、EVのみにシフトする方針ではないことを理解しておきましょう。実際に、トヨタ自動車はEVだけでなくHEVなども含めた電動車全体の開発・販売を強化する「全方位戦略」を掲げており、現状はHEVの販売に注力している状況です。

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EVシフトを妨げる課題とは?

日本のEVシフトが緩やかである理由として、以下の課題がよく挙げられています。

  • 車両価格が高い
  • 航続距離が短い
  • 充電インフラが不足している

これらの課題が突然解消されることはありませんが、各自動車メーカーはEVの開発に注力しており、コスト削減や性能向上の見込みを発表しています。現状、EVとガソリン車では同等の性能のものでも200万円程度の価格差があると言われており、消費者にとってEVを選ぶメリットが乏しいのが実情です。燃費や補助金を考慮すると価格差は縮まる傾向にはありますが、いずれにしてもコスト削減はEVの普及に向けた必須条件であるといえるでしょう。

充電インフラの不足に関しては、2023年時点での日本国内のEV充電スタンド数が約3万件となっており、2017年頃から横ばいの状況が続いています。ガソリンスタンドが近年急激に減少した影響もあって、数値だけを見ればすでにEV充電スタンドの方が多くなりました。

しかし、EVは充電にかかる時間が数十分と長いため、まだまだ足りているとはいえません。日本政府は「充電インフラ整備促進に向けた指針」において、充電インフラを2030年までに30万口設置するという目標を掲げています。その目標の実現に向けて、さまざまな施策が打ち出されていくでしょう。

EVシフトは着実に進んでいる

EVシフトは世界でも日本でも着実に進んでおり、今後もこの流れは変わらないと考えられます。世界の主要地域に比べると日本のEVシフトは大きく遅れている状況にありますが、純粋なガソリン車の比率はすでに約36%まで低くなっており、広い意味での電動化は十分に進んでいるといえます。日本を代表する産業である自動車がどれだけ躍進できるかはEVシフトの今後にかかっているため、引き続き注目していきましょう。

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