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高性能半導体であるHBMの優れた点と運用上の課題について

レンテックインサイト編集部

高性能半導体であるHBMの優れた点と運用上の課題について

半導体産業は世界で活況を迎えており、関連企業の市場価値は上昇を続けています。半導体の生産はもちろん、新型半導体の開発についても多くの企業が参画する中、その実用性に注目が集まっている技術の一つがHBMです。

この記事では、次世代の半導体として知られるHBMとはどのような技術なのかを解説しながら、同技術が持つポテンシャルと乗り越えるべき運用上の課題について解説します。

HBMとは

HBMは「High Bandwidth Memory」の略称で、通常の半導体と比較して非常に高い帯域幅(データ転送速度)を有しているのが特徴です。

半導体は重ねて運用することにより高いパフォーマンスを発揮することもできますが、スペースの都合や電力消費の面からいつでもそのようなパフォーマンス向上施策が使えるとは限りません。

一方でHBMの場合、このような手法を使わなくともコンパクトに高いスペックを確保できることから重宝されており、ハイエンドな環境に求められるパワフルなGPUの開発などに採用されています。

HBMが注目される理由

HBMが注目を集めている理由として、GPU需要の拡大やデータサイエンスの需要増加、そしてAI開発の急速な発展など、高度な演算処理が必要なシーンが広がっていることが考えられます。それぞれの状況を詳しく解説します。

GPU需要の拡大

HBUのような半導体が大きく注目されるようになったきっかけの一つが、GPU需要の拡大です。高度な演算処理能力を有するGPUは、負荷の大きなグラフィック処理に対処するためには欠かせないユニットです。

ハイエンドなゲーム体験を提供するゲーミングPCや、高度なCG処理が求められる映像編集用マシンなど、CG技術の進化によって相対的に高度な演算処理が求められる時代となってきました。

データサイエンスへの注目

GPUはグラフィック処理に特化したユニットでしたが、最近では演算処理の分野でも高い成果を残しています。HBMのような高度な処理能力を持った半導体の存在は、ビッグデータのような莫大な情報量を有したデータを処理する次世代GPUを開発する上で欠かせません

AI開発の急速な進展

データサイエンス需要の拡大に合わせ、AI開発が急速に進歩していることも、HBMへの注目を高める結果になりました。

AI開発の進展には、短期間で多くの情報を処理できる高度なGPUの存在が欠かせません。HBMのようなハイテク半導体が普及すれば、さらに優れたAIが登場することとなるでしょう。

高性能半導体であるHBMの優れた点と運用上の課題について 挿絵

HBM運用のメリット

HBMが有している強みとしては処理速度が早い、消費電力が小さいといった点が挙げられます。HBMが従来の半導体と比べてパワフルで、処理能力に優れている点はもちろんですが、運用に伴う消費電力が小さいことも世間の関心を強く集めています。

演算処理において、それに必要な消費電力の大きさは決して無視できるコストとはいえません。どれだけ高度な処理能力を有していても、それに伴う消費電力が大きければ、維持コストがかかってしまい、満足のいく費用対効果を実現できないからです。

HBMは、そういった運用上の課題をクリアにする上で重要性の高い技術であることが分かります。

HBMの課題

HBMは数年前から注目されている技術ですが、まだ十分に普及している半導体であるとはいえません。その理由に、生産コストの問題が挙げられます。

HBMはパワフルである分、一基あたりの生産コストが高く、費用対効果の面で採算が取れるかは難しいのが現状です。また、放熱性能においても問題を抱えています。消費電力は小さくとも、冷却負担がそれ以上にかかるのであれば、結果的に維持コストは変わりません。

これらの問題をうまくクリアできるようになれば、世間で広く普及する日がさらに近付くでしょう。

高度な半導体技術の需要は今後も高まっていく

この記事では、HBMが持つポテンシャルと注目の背景、そして今後解消すべき課題についてご紹介しました。

現状、HBM領域で最もシェアを拡大しているのはサムスンで、GPU需要の拡大に合わせ改善を繰り返し、今後も生産を強化していくというニュースもあります。

現在抱えている技術的な課題は徐々に解消されていくことも想定され、近い将来、HBMを見かける機会も増えていくかもしれません。

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