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リサーチトランスフォーメーション(RX)がポストコロナ時代に求められる背景

レンテックインサイト編集部

この記事では、研究開発のDXであるRX(リサーチトランスフォーメーション)の概要と、RXが重要視される背景について解説します。

DXは民間企業における推進が著しい取り組みですが、実際には消費者の生活や、研究機関におけるDXの必要性も注目されています。

特に後者の研究機関におけるDXの必要性は、新型コロナウイルスの感染拡大を経て喫緊の課題とされるようになってきました。

リサーチトランスフォーメーション(RX)とは

RXとはResearch Transformation(リサーチトランスフォーメーション)の略称で、DXによる一連のデジタル化施策を通じて、既存の研究開発活動を刷新し、強力なオペレーティングシステムを確立する取り組みを指します。

時代の先を行く技術そのものを開発する研究組織では、これまでも定期的な環境のアップデートが行われてきた一方、近年の技術革新による環境の変化に追いついていない部分も残されています。

RXはそんな研究機関におけるDXの余地を洗い出し、デジタル化することで強力な研究力を手に入れることを目的として行われている施策です。

ポストコロナ時代にリサーチトランスフォーメーションが求められる背景

リサーチトランスフォーメーションという言葉が注目を集める契機となったのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。

コロナ禍が世界に与えた影響は甚大なものでしたが、これは研究開発の現場も例外ではありません。 特に同領域で浮き彫りになったのが、いずれの機関も、感染症の脅威を回避しながら研究開発を継続することが難しい環境であるという点です。

研究活動は最先端の技術が投入されることも多々ある一方、その業務プロセスはアナログであるケースも少なくありません。 対面での会議や情報共有、狭い密室で複数人が固まって実験を行うような現場は、感染リスクを増大させる危険があり、コロナ禍においては研究を停止せざるを得ない組織もありました。

しかし、AIやロボット、さらには各種リモートツールを活用することで、遠隔での業務遂行は一般企業と同じく十分に可能です。 対面業務を最小限に抑えられれば、感染症のリスクを回避しながら業務を遂行できます。

また、このようなデジタル技術の導入は、研究に従事しやすい環境づくりにもつながります。 人材不足に悩むのは研究機関も、働き方改革による研究者の人的資源の確保も喫緊の課題です。

リサーチトランスフォーメーションの主なアプローチ

RXのコンセプトとして考えられているのが、DX施策を手段としたサイバー空間とフィジカル空間の融合です。

AIやロボット、各種センシング技術を使ってデータ収集を極限まで自動化するとともに、シームレスに分析にかけられる仕組みを整備することで、感染リスクを抑えながら、最小限の労力で最大限の成果を実現できます。

研究開発における手動の業務をいかに減らしていくかは、RX実現における重要な課題といえるでしょう。

リサーチトランスフォーメーションによってどのような変化が期待できるのか

RXの実現は、研究機関における大幅な環境の変化をもたらします。主な例としては下記のような成果が挙げられます。

  • フィジカル空間の安全確保
  • 設備管理の見直しによる研究資材の効率的な運用
  • 研究者同士のコミュニケーションの改善

対面業務を最小限に抑え、複数人が過度に接触する機会を減らすことができれば、感染リスクを低減できます。 また、高度に自動化された設備環境は研究資材の有効活用を促し、実験のコスト削減などに役立てられるでしょう。

加えて、必要な情報を的確に伝えられる情報共有の仕組みを設けることで、研究者間のコミュニケーションも大幅な改善が期待できます。

これらのメリットを業務上で獲得できるようになれば、従来よりも強力な研究力を手に入れられるようになるはずです。

研究開発のデジタル化で世界に負けない研究力を手に入れる

この記事では、研究開発機関のデジタル化による生産性向上を実現するRXについて解説しました。

利潤の追求を第一としない研究開発機関では、慣習的な業務プロセスが優先されやすい傾向にあり、それが研究力の底上げを阻害する原因を作ってきました。

コロナ禍などを経て得られるようになったDXの追い風を用いて、積極的なにデジタル化を推進し、効率的かつ安全な現場と働き方を実現することが、日本の研究機関には求められています。

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