Sakana AIは、生成AI技術を専門とする日本で急成長中のスタートアップ企業です。Googleの元研究者たちによって2023年に設立され、わずか1年でユニコーン企業に成長するなど、AI業界の注目を集めています。本記事では、Sakana AIの概要や技術的な特徴、今後の展望について解説します。
Sakana AI株式会社は2023年に設立されたスタートアップ企業で、生成AI技術を主力に成長を遂げています。共同創業者のリオン・ジョーンズ氏とデビッド・ハ氏は、Googleでの研究経験を活かし、AI業界において重要な貢献を果たしてきました。
リオン・ジョーンズ氏は、AIの進化に革命をもたらしたTransformerアーキテクチャを提唱した論文「Attention Is All You Need」の共著者として知られています。一方のデビッド・ハ氏は、「Stable Diffusion」を開発したスタートアップであるStability AIで活動した経歴を持っています。
Sakana AIは、特に「進化的モデルマージ」と呼ばれる技術の開発で評価されています。この技術は、複数のAIモデルを効率的に組み合わせることで、低コストで高性能な生成AIの開発を実現します。また、同社はNVIDIAとの協業など、国内外の大手企業との連携を強化しており、今後も技術開発や事業の拡大が期待されています。
Sakana AIは、多数のAIモデルを連携する群知能アプローチと、アルゴリズムを用いた進化的モデルマージで、AIモデルの高性能化を目指しています。
Sakana AIが保有する代表的な技術に、生物の群れ行動に着想を得た「群知能アプローチ」があります。魚の群れが複雑なタスクを協力して達成するように、専門性の異なる複数のAIモデルが連携して強力なシステムを構築します。
この方法により、個々のモデルの専門性を活かしながら、全体として高性能なAIを実現しています。社名である「Sakana」もこのアプローチに由来しており、自然界にある集合知のシステムをAIに取り入れるという発想が反映されています。
進化的モデルマージは、異なる種類のAIモデルを組み合わせ、互いに補完し合うことで高性能なAIシステムを作り上げる技術です。アルゴリズムの活用で、人手に頼らずとも自動で最適なAIモデルの組み合わせを選べます。
AIモデルの精度や効率を評価しながら、AIモデルの統合を繰り返し、高性能なモデルを生成します。それだけでなく、学習データの量を大幅に削減しつつ、データの偏りがないAI活用が可能となる点も大きな特徴です。
Sakana AIは、AIが自律的に科学的研究を行う「AIサイエンティスト」という自動化システムを開発しています。AIサイエンティストは、アイデアの生成から実験設計、データ分析、さらに論文執筆までを自動で遂行でき、従来の研究プロセスを大幅に効率化します。
生成AIを使って研究プロセス全体を自動化すれば、より効率的な科学研究ができると期待されています。特に研究人材が不足している分野において、大きな発展が起こるかもしれません。AIがAIを進化させるシステムが実現すれば、AIによる科学研究の進展を加速させる可能性があります。
企業の評価額10億ドル以上、設立10年以内のスタートアップをユニコーンと呼びますが、Sakana AIは日本発のユニコーン企業として急成長しています。2024年9月には、メガバンクやNEC、SBIグループなど国内の大手企業10社からの資金調達を発表し、その評価額は2200億円に達しています。
国内では、NTTとの提携を通じて、小型AI同士の協調動作を促進するアーキテクチャの開発を進めています。NTTは日本語のLLMである「tsuzumi」を開発しており、その自然言語処理技術とSakana AIのAI設計スキルによるシナジーが期待されています。
また、Sakana AIはグローバル市場への展開にも積極的です。NVIDIAをはじめとする大手IT企業との連携により、AI技術のさらなる発展が見込まれています。これにより、世界規模での競争力を高めると同時に、Sakana AIの技術が世界に広まりつつあります。
Sakana AIは、群知能アプローチや進化的モデルマージなどの革新的な技術を活用し、AI開発に新たな道を切り開いています。日本を拠点としながらも、グローバル市場での成長を目指すSakana AIは、今後もAI業界内での存在感を強めていくでしょう。Sakana AIの今後の発展に注目してみてはいかがでしょうか。