生成AIは高度な文章作成や情報検索ができるプログラムとして、広く普及しました。かつてのAIよりもはるかに実用性の高い生成AIですが、人間に比べるとまだ柔軟性の面で劣るところもあり、改善の余地もあります。
そんな生成AIの抱える問題を解消できる技術として注目されているのが、LAMです。この記事では、LAMを導入した自立型AIは何ができるのか、そしてLAMが生成AIにどのような影響を与えるのかについて解説します。
LAMはLarge Action Modelの略称で、日本語では「大規模アクションモデル」と訳されています。タスクの遂行に特化したモデルで、ユーザーからの要求に対し、具体的なアクションによって結果をもたらすことができるのが特徴です。
さまざまな状況下で自律的に意思決定ができ、ユーザーの手を介さずとも高度なタスクを遂行できる点が、大きな注目を集めています。従来の生成AIからさらに人の手の介入余地を減らせるAIともいえるでしょう。
これまで生成AIを支えていたのはLLM(Large Language Model)、いわゆる大規模言語モデルです。
LLMはユーザーが入力したテキストに対して、テキストで出力することに特化したAIです。高度な言語処理能力を活用し、さまざまなビジネスタスクの効率化・自動化に役立てられてきました。
一方、LLMはテキストに関連した機能に限定されているというデメリットもあります。テキストによる具体的な指示に対し、テキストでしか応えられないという機能制限です。
一方、LAMにはLLMのような縛りは存在しません。必要があればテキストでのアウトプットも行いますが、より高度なアクションによって、ユーザーのニーズに対応することができます。
LAMを導入することで、従来よりも高度な自律型AIサービスの提供を実現可能です。身近なところで言えば、AIチャットボットをより有人オペレーターに近いサービスが提供できるように改良するような取り組みが挙げられます。
これまでAIチャットボットは、テキストでの顧客対応に特化していました。しかしLAMを導入することで、チャット形式の接客に加え、商品の紹介や購買誘導、決済、そして発送に至るまで、その全てのプロセスを自動化できます。
実店舗で提供されるような接客サービスをオンラインで、それも完全無人で実行できるのが、強力なポイントです。
LAMのAI活用の事例はまだ少なく、具体的にどう活用すれば良いのかはこれから試行錯誤が進められていくタイミングでもあります。
ただ、一ついえるのは、LAMの登場によって、生成AIと人間の役割分担はさらに進んでいくということです。LAMは従来よりも高度で複雑なルーティンワークが可能になっている生成AIであり、人の手をさらに必要としなくなっています。
LAMを導入した生成AIサービスにより、個人でのEC運営がさらに簡単なものとなることや、事業の立ち上げや運営にかかる負担が小さくなり、新規ビジネスの創出を促されることが進むでしょう。
現行の生成AIでは使用機会が限られていると感じる場合も、LAM導入型のモデルであれば、使い勝手が良いと感じ、生成AIの導入機会が広がっていく可能性も秘めています。
この記事では、LAMとはどのような生成AIなのか、 LLMとの違いに触れながら解説しました。
LAMの高度な生成AIとしての機能性は魅力的である反面、一方で広範なデータベースへのアクセスも進み、データ管理体制の強化が求められるところでもあります。AIにアクセスを許して良いデータとそうでないデータ、どの範囲まで業務を任せるかなどを定義していかないと、思わぬリスクが発生することもあるでしょう。
とはいえ、今後の人材不足の懸念や利便性の高さを考えると、もはや生成AIの活用なしには競争力を担保することが難しい時代に入りつつあることも事実でしょう。
AI導入に伴うさまざまなリスクへの対応を含め、早期から生成AI運用に向けた環境整備を進めながら、導入の準備に向けて動き出しておくことが重要です。