企業が新たなビジネスに取り組む際に、その業務に適したスキルを持つ従業員がいない、もしくは十分な教育ができていないというケースは多いのではないでしょうか。人材配置や人材育成を効率化する仕組みとして、タレントマネジメントを導入する企業が増えています。本記事ではタレントマネジメントの概要や導入のメリット、データ管理システムの活用方法について解説します。

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントの導入で従業員の能力を可視化でき、人材配置や人材育成に活用できます。タレントマネジメントが注目されるようになった背景には、既存の人材活用システムが時代のニーズに合わなくなってきたことが挙げられます。

タレントマネジメントの目的

タレントマネジメントとは、従業員の能力やスキル、資格、経験などを一元管理し、人材配置や人材育成に役立てる取り組みです。従業員の能力をデータ化して可視化すると、現在の人材配置の状況を適切に把握できるようになり、経営戦略にも活かせるでしょう。さらに、各従業員の価値観や将来のキャリアプランもデータとして取り入れることで、従業員自身のニーズを踏まえた人材活用ができます。

注目される理由

少子高齢化に伴って人材不足は年々深刻な問題になっており、その上ビジネスで求められるスキルは変化が激しく、多様化しています。そのため、さまざまな業種の企業において人材確保が大きな課題となっています。また、働き方改革や子育て支援が進み、従業員が雇用形態や業務に求めるニーズも変化しています。

業務内容と従業員の能力のマッチングが取れていない状況が続けば、従業員の能力を活用できないだけでなく、業務に対するモチベーションが下がり、離職につながるといったデメリットが生じます。既存の人材活用システムでは時代のニーズに合わなくなっていることもあり、タレントマネジメントが注目されるようになりました。

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントは、企業と従業員の双方にメリットがあります。企業は社内の人材を効率的に活用でき、従業員も自分に向いた業務に就くことで企業への貢献意欲が高まると期待できます。

従業員の能力を活用

タレントマネジメントで社内の人材の能力を把握することで、適切な人材配置をしたり、社内で不足しているスキルの教育を拡充したりといった改善につなげられます。仮に業務で特殊なスキルを持つ人材が必要となった際に、そのスキルを保有する人材を他部署から見つけてくる、ということも可能です。 また採用計画の要求事項に盛り込んだりもできます。従業員の能力を一元管理できるため、統一された評価方法で公平な評価ができるというメリットもあります。

従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントとは、従業員からの企業に対する信頼や、企業のために貢献したいという姿勢のことです。従業員エンゲージメントが高いほど、業務に対するモチベーションを高められ、離職率が低くなることから、事業の成長へとつながるとされています。

タレントマネジメントの実施により、従業員を各々のスキルや経験に合った業務に配置できれば、従業員エンゲージメントの向上につながるでしょう。本人が希望するキャリアや性格的な特性も管理対象とすれば、より本人に合った業務へマッチングできる可能性が高まります。

タレントマネジメントシステムの活用

タレントマネジメントシステムを導入することで従業員に関するさまざまなデータを一元管理でき、データのアップデートや人事評価への活用を効率化できます。

システムでできること

タレントマネジメントを実現するシステムやツールの導入により、従業員データの収集や管理、可視化が容易になります。従業員のスキルや過去の経験、保有資格といった情報に加えて、これから伸ばしたいスキルや性格診断の結果を従業員に入力させて管理することもできます。またシステムによっては目標管理や360度評価、1on1ミーティングなどを支援する機能が備わっているため、人事評価業務を効率化できます。 タレントマネジメント機能だけでなく、勤怠や給与も合わせて管理できるシステムもあるので、併せて検討してみるのもよいでしょう。

タレントマネジメントでデータドリブンな人事制度へ

タレントマネジメントで従業員の能力やスキルを一元管理すると、人材配置や人材教育へ活用しやすくなります。従業員側にもメリットがあり、自身の能力を発揮できる職場にマッチングしやすくなることが期待できます。性格的な特性や希望するキャリアを会社側へ伝えておけば、職場とのマッチングがより成功しやすいでしょう。

タレントマネジメントを効率化するためのシステムやサービスも多く存在します。タレントマネジメントシステムを導入する際は、導入目的を明確にした上で、使い勝手の良さやコストなどを比較検討することをおすすめします。