テクノロジーの活用はあらゆる領域で進められており、中でもAI活用についてはここ数年で目覚ましいほどの普及が見られました。それは企業の法務部門においても例外ではありません。同部門の業務支援に特化したテクノロジーはリーガルテックとも呼ばれ、これらのサービスを通じて AIの活用が進んでいます。
この記事では、リーガルテックにおいてAIがどのように活躍しているのか、具体的なサービスをピックアップしながら解説します。
リーガルテックはその名の通り、法律関連の業務を効率化するためのIT、あるいはそのサービスを指す言葉です。
弁護士や会計士業での導入はもちろん、近年はサービスの多様化に伴い、一般企業の法務部門においても導入が進んでいます。これらで利用される詳細な文書の読み込みやデータベース検索といった業務は、AIが得意とする領域のため、リーガルテックの中でのAI活用が進んできています。
リーガルテックが注目される背景として大きいのが働き方改革の推進です。業務のオンライン化が進んだことで、これまでは紙媒体で行っていた法務関連の手続きも、リーガルテックを活用したリモート化が求められつつあります。
働き方改革は、既存社員の離職率を低く抑える上でも効果的であるだけでなく、良い待遇を提供して優秀な人材を獲得する上でも重要です。リーガルテックの導入は、既存社員の待遇改善だけでなく、新しい人材を確保する上でも注目されています。
また、日本国内では法改正が行われたこともリーガルテックの導入を強く後押ししています。電子契約の実施条件などが緩和され、従来よりもはるかにリーガルテック活用を行いやすい環境になっているからです。
質の高いリーガルテックサービスを提供する上で欠かせなくなってきたのがAIの存在です。自然言語の読み込みやデータの分析などが行えるAIは、多様なサービスに実装されており、契約書のレビューサービス、スケジュール調整などの実務効率化ソフト、デジタルデータ検索ツールといったものが挙げられます。
契約書を自動で読み込み、文言が法的に問題ないかをAIでチェックできるレビューツールは、法務担当者や弁護士の業務を大幅に効率化してくれるため、近年多くの企業で導入が進んでいます。また、スケジュールの自動調整やタスク管理の効率化といった実務管理についても、AIに任せることで余計な業務負担の軽減につながっています。
訴訟に伴うスピーディで質の高い情報収集も、AIを搭載したデジタルデータ検索ツールを使えば、その精度と速度を高めることが可能です。
国内外で活躍するリーガルテックですが、日本で有名なサービスとしては下記が挙げられます。
いずれも契約書の品質向上やリーガルチェックの効率化、調査の効率化などの高度な機能を備えているのが強みです。
リーガルフォースは、AIを使った契約審査プラットフォームとして知られる強力なサービスです。作成する契約書の品質向上、および契約書の作成業務効率化に貢献することから、リーガルテックの中でも人気の高いサービスとなっています。
ローグは、契約書のリーガルチェックを効率化するツールとして人気の高いサービスです。同サービスを導入することで、リーガルチェックをただ自動化するだけでなく、文書のチェックポイントなどを共有し、社内ノウハウの強化に貢献します。
法務担当者が身に付けておくべき確認事項を共有してくれるので、AIに依存しない、強靭な法務部門の構築にも役立つサービスといえるでしょう。
フロンテオはAIを使ったeディスカバリやデジタルフォレンジック調査を提供するサービスです。大きな不祥事が発生した際も、AIを使って中立的に対処が可能であることから、国際訴訟などで活躍しています。
この記事では、リーガルテックにおいてAIがどのように活躍しているのか、具体的なサービスをピックアップしながら解説しました。
リーガルテックの導入は、士業はもちろん、一般企業においても進みつつあり、法務部門の業務効率化や働き方改革に大きく貢献しています。導入ハードルがこれまでになく低くなった今日において、今一度リーガルテックサービスへの知見を深め、社内業務の刷新を検討したいところです。