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スマートファクトリーの概要と歴史

レンテックインサイト編集部

スマートファクトリーの概要と歴史

本記事では、「スマートファクトリー」と「インダストリー4.0」の関係を説明しながら、スマートファクトリーの概要と歴史をご紹介します。また、スマートファクトリー導入のコツを簡単に解説します。

スマートファクトリーとは

まず、「スマートファクトリー」と「インダストリー4.0」を考えてみたいと思います。スマートファクトリーは“具体的”なものであり、一方のインダストリー4.0は “概念的”、 “歴史的”なものです。

スマートファクトリーとインダストリー4.0

スマートファクトリーとは、ドイツ政府の提唱する「インダストリー4.0(第4次産業革命)」を具現化したものです。工場内のあらゆる機器をインターネットで結び、生産状況をデータ化します。そして、データを分析することにより、生産状況や、品質などの生産システムのすべての情報を「見える化」し、情報間の因果関係の明確化を実現することを目的としています。

スマートファクトリーとデジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、情報技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることをいいます。つまり、デジタル技術を使って人間の活動を効率的・生産的・創造的に進化させることです。

ここでいう「人間の活動」には企業活動や生産活動も含まれ、製造業の生産活動のDXは特に「製造業のDX」と呼ばれます。スマートファクトリーはこの「製造業のDX」の具現化の一部でもあります。

スマートファクトリーの歴史

近年のIT技術、特に人工知能や高度なロボット技術の出現が、生産システムのスマートファクトリー化の原動力となり、これが、来るべき第4次産業革命(インダストリー4.0)の出発点になると考えられています。

産業革命の歴史

第1次産業革命

単に産業革命という場合、第1次産業革命を指します。現在までの250年にわたる「イノベーション」の出発点です。時期的には、1700年代の半ばから1800年代の半ばくらいまでです。技術力の進歩による「工業化」で経済力の飛躍的な向上という成果をもたらしました。

第2次産業革命

おおむね1860年代後半から1920年くらいまでです。軽工業(繊維、食品)から重化学工業(化学、機械)へのシフトが特徴です。生産規模も拡大しました。また、モーターの出現により動力源が多様化しました。このため、生産形態が多様化し、さまざまなものが工業化されていきました。この時代を象徴するキーワードは「消費財の大量生産・大量消費」です。

第3次産業革命

1900年代の半ばから現在までです。特徴は、コンピューターやロボットによる自動化および省力化です。生産プロセスから人間を極力排除することで、作業者によるバラつきをなくし、一定の品質のものを低コストで大量に生産するという方向に進んでいきました。

第4次産業革命(インダストリー4.0)

これから起こるであろう産業革命です。特徴は、人工知能による生産システムの知能化・柔軟化です。今後、機械の正確性・効率性と、人間の柔軟性・創造性の両立、融合が求められています。

スマートファクトリーの最初

インダストリー4.0を具現化したものであるスマートファクトリーは、2010年に最初の概念が提唱されました。当初はあまり明確ではありませんでしたが、2016年にスマートファクトリーの定義が明確に提唱されました。

この定義は、最初は「設備やシステムをネットワークで接続した工場」という程度の概念でしかありませんでしたが、現在では「インダストリー4.0の具現化」と明確に捉えられています。

スマートファクトリーの概要と歴史 挿絵

スマートファクトリー導入のコツ

スマートファクトリー導入の基本的な考え方について説明します。

システム導入の目的や目標を設定する

まず、システム導入の目的を明確化し絞り込むことです。目的がはっきりしていないと、成果が「見える化」出来ず、無駄な投資を招いてしまいます。目的が省力化なのか、低コスト化なのか、時間の短縮なのかなど、目的を明確にします。そして、目標として捉えるターゲットの状況を分析し、適切な目標達成数値等を考えることが必要です。

小規模なシステムから導入する

最初の導入時は小規模で簡単なもの・部分的なものから始めましょう。つまり、あまり最初から規模を大きくしないでスモールスタートで始めるということです。最初から大きな効果をねらって大規模に始めてしまうと、失敗したときのリスクが大きくなります。

システムを実運用する

運用成果を数値化(見える化)し、客観的な評価を可能にしましょう。できるだけグラフ化し、誰が見ても成果が分かるようにします。成功・失敗の分析もしやすくなります。

また成功した成果を独り占めしないで、社内で共有しできるだけ多数の人がプロジェクトの理解を深める必要があります。

長期戦略でコツコツ取り組み、PDCAのサイクルを回し続けましょう。スマートファクトリーは生産システムの運用や考え方の変革もセットで取り組むことで成果が出ます。PDCAのサイクルを回しながらスマートファクトリーの考え方を実際に学んでいくのです。

目標が達成できたら、徐々にほかの生産プロセスにも広げていきましょう。これによって成果を生産システム全体に波及させていくことができます。

スマートファクトリーの普及は歴史の流れからも必然

本記事では、スマートファクトリーの概要と歴史を見てきました。最初の産業革命から250年以上が経過し、その間、生産システムは何回かの大変革を遂げてきました。現在は第3次産業革命の終わりに近づいてきているとされ、次のインダストリー4.0とは連続的につながっていると考えられています。

インダストリー4.0は言葉だけ、概念だけでは実現できません。インダストリー4.0の実現のためにも、その具現化したものであるスマートファクトリーの普及が望まれています。

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