現代のビジネスでは、サーバーの安定稼働が企業の生命線となっています。サーバーが停止すれば、ビジネス活動を一時的に中断せざるを得なくなり、顧客からの信頼低下につながりかねません。企業のサーバーを狙ったサイバー攻撃も発生しており、サーバーの保守運用の重要性はますます高まっているといえるでしょう。一方で、近年のビジネス環境の変化に伴い、サーバーの保守運用で求められるスキルや知識は変化しています。

本記事では、サーバーの保守運用の仕事内容や目的、これからの時代に必要となるスキル・知識について詳しく解説します。

サーバーの保守運用とは

サーバーの保守運用とは、企業や組織が使用するサーバーを安定して稼働させるために行う一連の業務のことです。サーバーが常に正常に動作し、必要なサービスを途切れなく提供できる状態を維持することを目的としています。サーバーの保守運用は、ビジネス活動の基盤を守るために非常に重要な役割を担っています。

サーバーの保守運用の主な仕事

サーバーの保守運用の具体的な業務内容は下記の5つです。

1. モニタリングとパフォーマンス管理
2. メンテナンス
3. データのバックアップ
4. トラブルシューティング
5. セキュリティ管理

それぞれの内容を見ていきましょう。

1.モニタリングとパフォーマンス管理

サーバーのCPU使用率やメモリ消費、ディスク容量、ネットワークトラフィックなどのパフォーマンス指標をリアルタイムで監視します。これらを監視することでシステムが正常に動作しているかどうかを判断することが可能です。

また、パフォーマンス指標が異常値を示した際に自動で通知が送られるようにアラートを設定しておきます。アラートを設定することで、迅速に対処することが可能です。

2.メンテナンス

サーバーにインストールされているOSやアプリケーションソフトウエアの更新を定期的に実施します。メンテナンスにはバグ修正やセキュリティパッチの適用などの作業も含まれます。

サーバーの定期点検や必要に応じた交換などを実施するのもメンテナンスの仕事です。例えば、故障リスクのあるハードディスクがあれば新品のハードディスクに交換するといった作業があります。

3.データのバックアップ

定期的にデータのバックアップを実施し、サーバー障害やデータ損失に備えます。バックアップデータは、クラウド上に保存することが一般的です。また、サーバーやデータセンターで重大な障害が発生した際の復旧計画も策定します。

4.トラブルシューティング

サーバーがダウンしたり、パフォーマンスが低下したりした際に、原因を特定して迅速に対処するのも仕事の一つです。ログの解析やハードウエア・ネットワークの診断などを実施します。同じトラブルが再度発生しないように、根本的な原因を特定した上で対策を講じます。

5.セキュリティ管理

サーバーに対するアクセス権を設定し、権限のないユーザーがシステムにアクセスできないようにします。アクセス権の設定は、サーバー内のデータ保護やシステムの健全性を維持するために非常に重要です。また、定期的にサーバーの脆弱性診断を実施し、セキュリティホールがあれば即座に修正します。

サーバーの保守運用の目的

ここでは、サーバーの保守運用の目的、重要性について詳しく解説します。

業務の継続性を確保する

サーバーは、企業が行っている業務の基盤となるものです。例えば、顧客データの管理やオンラインサービスの提供、社内システムの運用などの業務は、サーバーを介して行われています。サーバーがダウンすると、これらの業務が停止し、ビジネスに大きな損失をもたらす可能性があります。サーバーが常に安定して稼働するようにする保守運用は、ビジネスの継続性を確保するために不可欠な仕事なのです。

サーバー障害によるサービス停止やデータ損失は、顧客の信頼を損なうきっかけとなります。例えば、オンラインのショッピングサイトのサーバーがダウンすれば、顧客は目的の商品を購入できず、別のショッピングサイトを利用することになるでしょう。サーバーの保守運用はこのようなトラブルを未然に防ぎ、安定したサービスを提供できる状態を維持します。これにより、顧客の信頼を維持することが可能です。

セキュリティを確保する

企業のサーバーは、常にサイバー攻撃のリスクにさらされています。サイバー攻撃を受けると、データの漏洩や改ざん、システムの停止など、企業に深刻な影響をおよぼすことになります。サーバーの保守運用でセキュリティパッチの適用や脆弱性の修正、アクセス管理の強化などを実施することで、サイバー攻撃を未然に防止できるのです。

コンプライアンス遵守

多くの企業は、法律や業界規制によってデータ保護やシステムセキュリティに関する厳しい基準を遵守することが求められています。適切な保守運用を行うことで、これらの基準に従い、法令違反による罰則や信用失墜を防ぐことができます。

コストを最適化する

サーバーの保守運用は、コストの最適化にも寄与します。サーバーの運用には、電力やストレージ、ネットワーク帯域など多くのリソースが必要です。保守運用を通じてこれらのリソースを効率的に管理し、無駄なリソースを省くことで、運用コストを抑えられます。例えば、不要なサービスを停止したり、過剰になっているリソースを削減したりすることで、コストの最適化が図れます。

サーバーの保守運用で必要なスキル・知識

昨今のビジネス環境の変化やIT技術の進化に伴い、サーバーの保守運用に求められる仕事も変化しています。サーバーの運用・保守や設計の知識は最低限求められますが、それ以外のスキルも求められているのが現状です。

ここでは、サーバーの保守運用で必要なスキル・知識について解説します。

主要なクラウドプラットフォームに関する知識

クラウドコンピューティングの普及により、オンプレミス型のサーバーとクラウド型のサーバーのハイブリッド環境を利用する企業が多く見られます。そのため、AWSやAzure、GCP などの主要なクラウドプラットフォームの特徴やサービスに関する知識が求められています。サーバーの保守運用ではクラウド上でのリソース管理やコスト管理、セキュリティ設定などを効果的に行えるスキルが必要です。

自動化ツールやAIに関する知識

近年、サーバーの保守運用では運用の効率化を目指し、インフラ管理の自動化やAIを活用する動きが多く見られます。AnsibleやTerraformなどの自動化ツールを使用しつつ、AIを活用してサーバーのパフォーマンス監視や障害予測を行う形です。自動化ツールやAIを取り入れることで、運用の効率が飛躍的に向上し、ヒューマンエラーのリスクも減少します。これからの時代において、サーバーの保守運用では自動化ツールやAIに関する知識も必須といえるでしょう。

サーバーの保守運用は企業のITインフラを維持するために欠かせない

今回は、サーバーの保守運用の仕事内容や目的、これからの時代に必要となるスキル・知識について解説しました。

サーバーの保守運用は、企業のITインフラを支える重要な役割を担っています。ビジネスの安定性と信頼性を確保するために欠かせない業務といえるでしょう。しかし、昨今のビジネス環境の変化やIT技術の進化に伴い、サーバーの保守運用で求められる仕事は変化しています。

これからの時代では、サーバーの運用・保守や設計などの知識に加え、下記の知識・スキルを身に付けることが非常に重要です。

• 主要なクラウドプラットフォームに関する知識
• 自動化ツールやAIに関する知識