高度な情報化や少子高齢化などにより市場の様子はこの20年ほどで大きく変化し、企業はビジネスモデルを市場の変化へ柔軟に適応させる必要が出てきました。このようなトレンドの変化の中、注目を集めているのがCXと呼ばれる概念で、顧客体験の改善が企業の成長にとってこれまでになく重視されるようになってきました。
この記事ではCXの概念と、CXが注目される背景、そして、CXの改善にはどんなアプローチが有効なのかについて解説します。
CXは「Customer experience(カスタマー・エクスペリエンス)」の略称で、日本語では「顧客体験」と呼ばれています。
顧客が製品やサービスを購入する際、販売企業と顧客は単に商品のやり取りをするだけでなく、さまざまな接点を持つこととなります。
CXはそんな顧客とのさまざまな接点に注目し、商品から得られる体験価値はもちろん、購入前後の多様な接点における体験にも目を向ける概念です。これらの接点においても付加価値を提供することで、顧客満足度を高め、さらなる購買や口コミへと誘導し、企業や商品の認知度を高めることができます。
CXが注目されるようになった理由として、市場の高度な情報化があります。消費者は地域性などに左右されることなく、世の中の無数の商品を自ら比較検討できるようになったことで、必然的に企業は熾烈なグローバル競争に巻き込まれるようになってきました。
インターネットを通じて多様な情報が得られるようになり、企業同士が商品の差別化を行う必要性が高まった結果、目を向けられ始めたのがCXです。たとえ商品の機能や価値そのものは同じでも、その周辺にある顧客の体験価値の違いが商品に差別化をもたらし、顧客の意思決定において大きな意味を持ち始めています。
また、少子高齢化によって人口減少が進み、市場のパイが小さくなっていることも、CXへの注目に拍車をかけています。新規顧客の獲得には限界がある以上、顧客との関係強化によってリピーターとなってもらうことが、企業の成長には欠かせません。
CX改善にはさまざまなアプローチがありますが、最も分かりやすい方法は以下のような専門ツールの導入です。
CX改善に役立つ施策としては次のようなものが挙げられます。
CRMは顧客との関係強化を促すためのツールです。顧客の行動履歴や購買情報などを活用することで、一人一人にパーソナライズした施策を実行し、自社の製品やサービスへ継続的に関心を持ってもらうことができます。
Web解析ツールは、自社Webサイト上のユーザーの行動を可視化できるツールです。
Web解析ツールを導入することで、単純なアクセス数の計測だけではなく、ユーザーの興味関心を詳しく分析したり、使いやすいサイト作りのために必要な改善事項を把握したりできます。
レコメンドエンジンは、顧客の行動履歴に応じた最適な商品の提案を自動で行えるツールです。
主にECサイトで導入されているレコメンドエンジンは、無数に存在する商品リストの中から消費者が欲しい商品を見つけやすくできるため、サービスの利便性向上、ひいては売り上げ増加に直結します。
CXの改善に役立つさまざまな専門サービスが登場しています。中でも人気が高いサービスは以下の三つです。
それぞれの機能をご紹介します。
KARTEはカスタマーデータをもとにしたCX改善を多様なアプローチから検討・実施してくれる、CX改善のための総合ソリューションです。
企業の目的や課題に合わせて多様なパッケージを擁して、Web接客サービスやマーケティングソリューション、サイト運営や改善サービスなど、実績豊富なツールが揃います。
Zendeskは対話型の顧客体験を実現し、CXの改善を促すソリューションです。顧客情報に基づいてパーソナライズされたサポートを提供できるようになり、顧客との良好な関係を長期にわたって構築できます。
Helpfeelは、ユーザーの疑問を瞬時に解決できる問い合わせサービスを実現する、CX改善ソリューションです。検索ヒット率98%という高精度な問題解決能力を備え、ユーザーの自己解決を促し、顧客満足度の改善に繋げられます。
この記事では、CXの概要やCXが求められる背景、そして改善の主なアプローチについて解説しました。
CXの改善は、新規顧客の獲得に加えて既存顧客へのアピールとしても有効なため、成長の頭打ちに悩んでいる企業にとって非常に重要な施策です。CX改善で顧客との関係を強化し、自社の強みと伸びしろを育てていく取り組みが求められています。