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VMwareのサブスクリプションライセンスとは?新たなライセンス内容を紹介

レンテックインサイト編集部

VMwareのサブスクリプションライセンスとは?新たなライセンス内容を紹介

VMwareは、サーバー仮想化プラットフォームである「VMware vSphere」のライセンス体系を2024年から大幅変更しました。従来のPerpetual(永続)ライセンスの新規受付が終了となり、サブスクリプションライセンスのみとなりました。本記事では、VMware vSphereの概要や新しいライセンス内容、既存ユーザー向けのアップグレードプログラムなどについて解説します。

VMware vSphereとサブスクリプションライセンスの概要

VMware vSphereは、サーバーの仮想化ソフトウエアのパッケージとして高いシェアを持つ製品です。2024年以降、サブスクリプションライセンスのみの提供となります。

VMware vSphereの概要

VMware vSphereは、サーバーの仮想化ソフトウエアとして世界的に利用されている製品です。VMware vSphere ESXi(ハイパーバイザー)やvCenter Server(管理ツール)などの製品群から構成されています。

仮想化とは、一つの物理サーバー上で複数の仮想マシンを実行し、それぞれのマシンが独立した環境として機能する技術です。これにより、物理リソースを最適化でき、物理サーバーの使用率が高まり、柔軟な運用が可能となります。VMware vSphereはBtoB向けサーバー仮想化ソフトウエアの業界標準ともいえる製品で、中小規模からエンタープライズまで幅広い規模の環境で導入されています。

サブスクリプションライセンスへの移行と特徴

従来のVMware vSphereはPerpetual(永続)ライセンスの提供がありましたが、2024年以降はサブスクリプションライセンスのみとなります。また、Term(期間)ライセンスは2023年9月1日でライセンスの新規受付が終了しています。

サブスクリプションライセンスは期間毎(1年/3年/5年)の更新が必要となり、これはメーカーサポートや仮想環境を統合管理する製品であるvCenterのライセンスも含みます。そのほかの特徴として、ライセンスの購入単位が物理CPU単位からコア数単位に変更されること、ライセンス認証のためのインターネット接続が不要であること、クラウド環境での利用が可能になることなどが挙げられます。

VMwareのサブスクリプションライセンスとは?新たなライセンス内容を紹介 挿絵

新しいライセンスの種類とは

新しいライセンスは大きく四つのエディションから構成されます。各エディションで含まれるサービスやアドオン可能なサービスが異なり、上位エディションほど豊富な機能が利用できます。

VMware Cloud Foundation

VMware Cloud Foundationは、複数のクラウドを組み合わせるマルチクラウド環境を実現するのに役立ちます。サーバー、ストレージ、ネットワークといったインフラストラクチャ全体の仮想化機能を備え、複数のクラウド環境にまたがる一元的な管理と自動化を実現します。従来のVMware NSXに相当する機能も利用可能で、物理ネットワークと分離したオーバーレイネットワークの構築やマイクロセグメンテーションによるセキュリティ強化などが可能です。

vSphere Foundation

vSphere Foundationは、中規模から大規模な仮想環境におけるITインフラの基盤となるエディションです。vSphereの仮想化機能に加え、Kubernetes運用を実現するVMware Tanzu Kubernetes Gridと、マルチクラウド環境の運用を支援するVMware Aria Suite Standardを含みます。仮想ストレージを提供するvSANのアドオンを利用できるため、HCI(Hyper-Converged Infrastructure)の構築も可能です。

vSphere Standard

vSphere Standardは、小規模から中規模の仮想環境の構築に適したエディションです。下位のvSphere Essentials Plusにはある制限がないため、高コア数のCPUを搭載した高性能サーバーの活用が可能です。中規模向けのニーズに的確に対応し、従来の仮想化環境からスケールアップできる製品です。仮想マシンを稼働させたままストレージ間のデータを移行できるStorage vMotion、仮想マシンごとにストレージを使用できるVirtual Volumesなどの機能が利用できます。

vSphere Essentials Plus

vSphere Essentials Plusは、小規模な仮想化環境を低コストで構築・運用したい顧客向けのエディションです。仮想マシンを稼働させたまま別のホストに移行できるvMotionや、障害発生時に仮想マシンを別ホストで起動するHigh Availabilityなどの可用性機能を含みます。ホストの追加拡張は制限されているため、ある程度の規模を超えるとほかのエディションへの移行が求められます。必要最小限の機能を元に徐々に高度化できる点がメリットです。

ライセンスのアップグレード時に利用できるSUP (Subscription Upgrade Program)とは

既存のPerpetualライセンス利用者にはSUP(Subscription Upgrade Program)が用意されており、新規購入よりも割安な価格でサブスクリプションライセンスへ移行できます。

SUP後の環境はサブスクリプションライセンスのvCenter Serverで管理されるため、既存のPerpetualライセンス環境とは別の環境となります。通常はコア数分のライセンス購入が必要ですが、SUP利用時はPerpetual契約時のCPU一つにつき16コアという計算で購入可能です。次回更新時は実際のコア数分での契約となりますが、SUP価格が適用されるため、移行時のコストを抑えられます。

今後のライセンス運用を見据えて移行を検討しよう

VMwareは2024年から従来のPerpetualライセンスに代わり、サブスクリプションライセンスのみの提供に移行します。既存のPerpetualライセンスユーザーに対してはSubscription Upgrade Program が用意されており、比較的お得な価格でサブスクリプションライセンスへの移行が可能です。

ただし、注意点や特別条件もあるため、自社環境への影響を確認した上で計画的な移行を検討する必要があります。今後のライセンス運用を見据え、製品ポートフォリオの変更点を理解してから移行を進めると良いでしょう。

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