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ELYZAとは?国産LLMを開発した東大発AI企業について解説

レンテックインサイト編集部

ELYZAとは?国産LLMを開発した東大発AI企業について解説

大規模言語モデル(LLM)の研究開発を行う企業「ELYZA」は、日本語に特化した高水準のLLMの開発を進めています。2024年3月には、通信大手のKDDIグループとの資本業務提携を締結すると発表し、LLMの社会実装にも取り組んでいます。本記事では、ELYZAの企業概要、開発したLLM、さらにKDDIとの提携内容について解説します。

ELYZAとは

株式会社ELYZA(イライザ)は、東京大学松尾研究室から派生したAI技術企業で、「未踏の領域で、あたりまえを創る」という理念を掲げています。大規模言語モデルの社会実装に向けた研究開発、企業との共同研究、クラウドサービスの開発などが主な事業内容です。特に、日本語に特化したLLMの開発に注力し、先端技術の研究開発とそのコンサルティングを通じて言語生成AIの実装を推進しています。

ELYZAはこれまでに、さまざまな企業を相手にLLMを用いたDXの推進に取り組んできました。例えば、ビジネス記事の有料購読サービスSmartNews+に対して生成AI技術を提供し、メディアから提供された記事を30秒程度で読める内容に要約する「AIサマリー」機能にELYZAの技術が採用されています。また、JR西日本グループに対しては、コンタクトセンターの通話内容を要約する業務に生成AIを導入しました。その結果、通話後の後処理時間を大幅に短縮し、18%〜54%の効率化を達成しました。

ELYZAの開発したLLM

ELYZAはこれまで、Meta社のLlama 2シリーズに日本語能力を拡張するプロジェクトを進めてきました。2024年3月には、700億パラメータを有する日本語大規模言語モデル「ELYZA-japanese-Llama-2-70b」を開発したと発表しています。 このモデルは、Llama 2に日本語の追加事前学習と事後学習を行い、Llama 2の英語に対する言語能力を日本語にも拡張したことが特徴です。ベンチマークテストにおいて、同モデルはOpenAIのGPT-3.5 TurboやAnthropicのClaude 2.1などのグローバルモデルと同等かそれ以上のスコアを獲得しました。さらに、日本企業が開発したLLMの中で最高の性能を示しています。 そして2024年6月には、ELYZAが提供する大規模言語モデル「ELYZA LLM for JP」シリーズの最新モデルとして、Meta社の「Llama 3」をベースとした700億パラメータの「Llama-3-ELYZA-JP-70B」と80億パラメータの「Llama-3-ELYZA-JP-8B」を開発し、性能を公開しました。

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KDDIグループとの資本業務提携

2024年3月18日にELYZAはKDDIおよびKDDI Digital Divergence Holdingsと資本業務提携を締結しました。この提携により、ELYZAは4月1日からKDDIの連結子会社となり、経営基盤をより強固にしています。今後、ELYZAは汎用LLMや領域特化型LLMの開発を加速し、生成AIの現場導入の支援を進めていくとのことです。

日本語汎用LLMの開発

ELYZAは、2019年からLLMの研究開発を行っており、その成果としてグローバルモデルに匹敵する700億パラメータのLLMを開発しました。2024年3月12日には、日本語特化のLLMである「ELYZA LLM for JP」シリーズを発表し、2024年6月26日には、「ELYZA LLM for JP」シリーズの最新モデル「Llama-3-ELYZA-JP」を公開しています。同モデルにより、日本におけるAI技術の応用範囲が広がることが期待できるでしょう。

領域特化型のLLM開発

ELYZAは、特定の業界や特定の業務プロセスに最適化されたLLMの開発にも注力しています。汎用モデルでは対応しきれない特殊な要求に応えるため、顧客独自の要件に基づいたカスタマイズが可能です。専門領域に特化した言語モデルは、各分野における言語のニュアンスや専門用語をより正確に理解し、汎用LLMでは解けないような課題の解決に役立ちます。

特化型モデルは国内製であるため柔軟なカスタマイズが可能で、必要性能を限定した小型モデル開発も可能です。オペレーションの効率化だけでなく、消費電力やコストの低減やレスポンス速度の改善が期待され、さらには機密性の高い情報を扱う用途でも活用しやすくなります。

生成AIを活用したDX支援・AI SaaS提供

KDDIグループはこれまで、DX推進に不可欠なデジタル技術の提供を進めてきました。今回のELYZAとKDDIグループの提携により、生成AIを活用したDX支援サービスをさらに強化していくとのことです。

今後は、生成AI技術を組み込んだAI SaaSの共同開発や販売を通じて、企業や自治体における生成AIの導入を促進していく予定です。AI技術を活用した新しいサービスの開発や、既存のビジネスプロセスの改善が期待できるでしょう。

日本語特化型LLMで生成AI技術の社会実装が進む

ELYZAによる日本語特化型かつ700億パラメータを有するLLMの開発は、生成AI技術の実用化に大きく貢献しています。同社の技術はDXを推進する多くの企業に提供され、ビジネスプロセスの自動化、顧客体験の改善などに利用されてきました。

また、KDDIグループとの資本業務提携を通じて、生成AI技術がさらに社会に広く浸透することが期待できます。今後もELYZAをはじめとする国内のLLM技術に注目してみてはいかがでしょうか。

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