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GPU市場の動向と今後の成長要因について解説

レンテックインサイト編集部

GPU市場の動向と今後の成長要因について解説

本記事ではGPU市場の現状と、市場をけん引する主要メーカーのシェア、そして今後の市場成長を促す要因について解説します。GPUはゲームやCAD、AI、科学技術計算など、多岐にわたる分野で利用されています。これまでGPU市場は拡大を続けており、今後も高い成長率を維持し続けていくことが期待できます。

GPUとは

GPU(Graphics Processing Unit)は、グラフィック処理に特化した半導体チップで、CPU(Central Processing Unit)と比べて大量のデータを並列処理する能力に優れています。その特長を活かし、3Dグラフィックのレンダリングや画像処理、動画編集などの処理を高速に行うことが可能です。

GPUが登場した当初はゲームやCADが主な用途でしたが、その後AIやビッグデータ分析などの分野でも活用されるようになり、市場は拡大しています。近年では特に、ゲーム、AI、データセンターおよびビッグデータ処理などの分野で需要が急増しています。全世界における2023年のGPU市場規模は約6兆円で、2028年には約25兆円に達すると見込まれています。年平均成長率は32.7%となり、成長が著しい市場であるといえるでしょう。

GPUメーカーの市場シェア

GPU市場は、NVIDIA、AMD、Intelの3社が寡占しており、その中でも圧倒的なシェアを有するのがNVIDIAです。

GPUには大きく分けると、CPUとは独立したDiscrete GPU(dGPU)と、CPUに内蔵されたIntegrated GPU(iGPU)の二つがあります。dGPUは主にデスクトップPCやデータセンターで使用され、iGPUはノートPCに搭載されます。

調査会社のJon Peddie Research によると、2023年第2四半期におけるdGPUのシェアはNVIDIAが87%、AMDが10%、Intelが3%となっています。一方でiGPUのシェアは、Intelが84%、AMDが16%を占めています。Intel がiGPUで高いシェアを誇るのは、そもそもIntelがCPU市場で圧倒的なシェアを持っているためです。

GPUの高いシェアを誇るNVIDIAは、主にdGPUに注力しておりiGPUには参入していません。調査会社Wells Fargo Equity Researchによると、データセンター向けGPU市場においてはNVIDIAのシェアが98%と圧倒的です。

GPU市場の動向と今後の成長要因について解説 挿絵

GPU市場の成長要因

GPU市場の成長要因として、ゲーム、AI、データセンターおよびビッグデータ処理などが挙げられます。これらの分野で求められる計算能力の増加は、GPUの性能向上を重要視する大きな理由となっています。

高グラフィックなゲームの普及

GPUは元々ゲーム用途で普及しましたが、現代においてもGPU市場の成長をけん引する要因の一つです。ゲームのグラフィックは年々リアルで複雑になり、それに伴い高性能なGPUが不可欠になっています。

オンラインゲームの増加やクラウドゲーミングサービスの普及も、GPUの需要をさらに押し上げる要因です。高解像度、高フレームレートでゲーム体験を楽しむには、より高性能なGPUが求められ、ゲーム市場の成長とともにGPU市場も拡大していくと予想されます。

AIの進展

AI技術の進展はGPU市場における重要な成長要因です。AIアプリケーションの背後にある計算処理は、その複雑さとデータ量の大きさから膨大な計算能力を要求します。GPUは、このような重厚な計算タスクに対して、その並列処理能力を通じて高速かつ効率的な解決策を提供するため、AI分野で非常に重宝されています。

AIの核心技術である機械学習やディープラーニングは、大量のデータを学習することで、画像認識、音声認識、言語理解といったタスクを実行できるようになります。この学習プロセスには、大量のデータセットを高速で処理し、複雑な数学的演算を行う能力が求められるため、高性能GPUの役割が不可欠です。

特に近年は生成AI技術への注目が集まっています。Stable DiffusionやChat GPTのような技術は、テキスト、画像、音声といった複数のメディアにまたがるコンテンツを生成できる能力を持ち、新たなアプリケーションの可能性を広げています。これらの技術が進化するにつれて、より強力なGPUが必要とされ、市場の成長を促進する重要な要素となります。

データセンターおよびビッグデータ処理の需要拡大

GPUの高速な計算能力を活かして、データセンターやビッグデータ処理の領域での活用が拡大しており、その需要は日増しに高まっています。クラウドサービス、自動運転技術、金融サービス、ヘルスケア分野でのデータ分析など、多岐にわたる産業でGPUが重要な役割を果たしています。これらの分野では、膨大なデータセットの迅速な処理と分析が不可欠です。

特に、NVIDIAはデータセンター市場で顕著な成長を遂げており、2024年会計年度第4四半期の収益が前年同期比で409%増の184億ドルに達しました。その上GoogleやAmazonといった大手企業との協業により、GPUの活用範囲はさらに広がりを見せており、これらの企業が提供するクラウドサービスやAI技術の向上にも貢献しています。データセンターおよびビッグデータ処理分野におけるGPUの需要は、今後も増加の一途をたどると予想されます。

GPU市場は今後も拡大すると予想される

ゲームの普及やAIの進展、データセンターおよびビッグデータ処理の需要拡大といった要因で、GPU市場は今後も拡大していくでしょう。特に、生成AIの用途での注目度の高まりもあり、高度な科学計算用途でのデータセンター向けGPU需要の増加が見込まれます。

GPUメーカー別のシェアではNVIDIAが圧倒的な状況で収益も伸ばし続けており、今後もNVIDIAが好調な状況が続くと予想されます。GPU市場の動向は、技術の進歩や社会のデジタル化と密接に関連します。今後もこの市場の発展に注目しておくとよいでしょう。

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