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RaaSが注目される背景は?導入メリットを紹介

レンテックインサイト編集部

RaaSが注目される背景は?導入メリットを紹介

この記事では、RaaSとはどのようなサービスかを解説しながら、RaaSが注目される背景、そしてRaaSのメリットについてご紹介します。

小売業界におけるDXの現場で注目を集めている技術がRaaSです。大型の設備導入とは異なり、RaaSは導入コストが安価で、なおかつデータ活用の促進にも役立つことから話題となっています。

RaaSとは

RaaSは「Retail as a Service」の頭文字を取った略称で、読み方は「ラース」です。RaaSを日本語に訳すと「小売業のサービス化」という意味になりますが、これは小売業を営む事業者がシステムを開発し、その機能や仕組みを外部の事業者にサービスとして提供するという新しいビジネスモデルを体系化したものです。

小売事業者はこれまで、商品を仕入れて販売するというビジネスモデルに特化した事業者と考えられてきました。しかし自社で独自に培ってきた小売業としての機能や、その仕組みを外部の事業者にサービスとして提供することで、サービスのライセンス料金を新しい収益源とすることができます。

製造業におけるRaaSとの違い

RaaSという言葉は小売業だけでなく、製造業界やIT・サイバーセキュリティ業界においても知られています。製造業におけるRaaSとは「Robotics as a Service」の略称で、ロボット関連サービスをクラウド形式で提供されているサブスクリプションサービスを指すものです。

IT・サイバーセキュリティ業界におけるRaaSとは「Ransomware as a Service」の略称で、ランサムウエアによる攻撃をサービスとして提供することを指すものです。
そのため、小売業におけるRaaSとは性質の全く異なる概念であることには注意しておきましょう。

RaaSが注目される背景

RaaSがここ数年で注目されるようになった背景には、ECの台頭による販売チャネルの多様化があります。10年ほど前まで、小売業の中心は実店舗であり、ECは副次的なものと考えられてきました。しかしスマートフォンやインターネット、そしてECサービスの普及により、今やECは小売商品の主要なチャネルとなっています。

すべての小売事業者がこのような販売チャネルの多様化にすぐに対応できているわけではなく、日本の実店舗のEC化率はまだそれほど高くありません。そこでRaaSを活用し、他社が培ってきた販売システムをパッケージとして導入することで、速やかなEC対応を進められるというわけです。

また、消費者の購買行動も多様化し、ECを中心としてさまざまな購買経路を持つようになってきました。SNSの口コミやインフルエンサーの発信、あるいはライブコマースなど、今後も未知のチャネルがどんどん開拓されていくと考えられます。このようなトレンドの激しい変化に対応するには、柔軟性の高いRaaSの活用が効率的です。

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RaaS導入のメリット(利用者)

RaaS導入は利用者にとって次の二つのメリットがあります。

  • 低コストで利用できる
  • これまで得られなかった顧客データが得られる

RaaSはライセンス料金さえ払えば多くの事業者が利用でき、クラウド形式が主流で自社サーバー等を用意する必要が無い分、初期費用も安く抑えられます。減価償却の必要性が低く、低負荷での運用が可能です。

また、データの収集や活用においても、RaaSは役に立ちます。自社でシステムを別途導入せずとも、RaaSが顧客情報の管理や収集を行い、自社のデータ活用に貢献します。

RaaS導入のメリット(提供者)

RaaSを提供する側のメリットですが、最大の強みはやはり小売事業以外の収益源を確保できることにあります。

小売業のネックは仕入れコストがかかるビジネスを強いられる点にありますが、RaaSは一度システムを構築すれば、保守管理や改善にかかるコスト以外はほとんどかからず、何より自社が商品を仕入れて販売しなければ仕入れコストはゼロです。

自社の強みを生かしながら事業を多角化できるので、リスクヘッジという意味でも大きな意味を持つでしょう。

RaaSの登場は小売業のデジタル化を推進する起爆剤に

この記事では、RaaSの概要やRaaS導入のメリットについて解説しました。

RaaSの登場は単なるデータ活用の推進だけでなく、新しいビジネスモデルの創出にも貢献しているのが最大のポイントです。

小売業のネックは仕入れコストの発生ですが、RaaSはその負担が発生しない、新しいビジネスのあり方を小売事業者にもたらすことができます。すでに大手小売企業の多くは自社のECシステムをパッケージ化して他社に販売したり、他社のシステム開発を代行したりといった事業を展開しており、事業の多角化とデジタル参入が進んでいます。

今後本格的な開発や普及が進めば、小売業の在り方は大きく変化していくかもしれません。

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