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IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)とは?無線LANの次世代規格を紹介

レンテックインサイト編集部

IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)とは?無線LANの次世代規格を紹介

2024年中にWi-Fi 7とも呼ばれるIEEE 802.11beの規格策定が完了する見込みです。それに合わせて、規格に対応したルーターなどの機器も市場への投入が予定されています。本記事ではIEEE 802.11beの概要や導入への取り組み、通信規格の特徴について解説します。

IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)とは

IEEE 802.11beは無線LANの次世代規格として標準化が進められており、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)の後継規格であることからWi-Fi 7と呼ばれています。Wi-Fi 7は現在主流である2.4GHz帯、5GHz帯に加えて6GHz帯での利用を想定しています。なお、6GHz帯は現行のIEEE 802.11ax規格であるWi-Fi 6Eから対応しており、Wi-Fi 7でも引き継がれる予定です。

Wi-Fi 7のメリットとして、高スループットや低遅延、高信頼性を必要とするアプリケーションへの対応が可能となる点が挙げられます。AR/VRなどの大容量アプリケーションや、工場内にある機器の制御のようなリアルタイム性が必要なユースケースにおいて、Wi-Fi 7の利点が活かせると期待されています。

Wi-Fi 7導入への取り組み

現在Wi-Fi 7の規格策定が進行中の状態で、2024年12月に策定完了の予定です。2023年12月22日には電波法の改正が発表され、国内で320MHzの帯域幅の利用とWi-Fi 7による通信が可能になりました。

無線LANの業界団体であるWi-Fi Allianceは、2024年第1四半期に対応機器の認証を開始すると発表しました。そして2024年中に8400万台のWi-Fi 7に対応したデバイスが出荷されると推定しています。

国内の一部のメーカーでは既にWi-Fi 7に対応したルーターを発売しているため、すぐに入手することも可能です。ただし規格策定の完了は今後であるため、正式版はファームウエアアップデートで対応する見込みです。

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Wi-Fi 7の特徴

Wi-Fi 7の機能面に関する特徴について、その機能のメリットと合わせてご紹介します。Wi-Fi7では320MHz幅の追加、4096-QAM変調、マルチリンクオペレーションの三つの機能が採用され、より早い通信速度を実現できます。

320MHz幅の追加

従来のWi-Fi 6Eでは6GHzで使用できるチャネル帯域幅が160MHzでしたが、Wi-Fi 7では2倍の320MHzに拡張します。これによりWi-Fiの無線電波の使い勝手が良くなると期待できます。

Wi-Fiでは通信に使用する周波数帯のことをチャネル(ch)と呼び、20MHzごとに1chずつを割り当てています。これまでは160MHzの帯域幅に対し、160÷20=8より8chが割り当てられていました。Wi-Fi 7では320MHzに拡張されるため、2倍の16chの割り当てに対応します。ch数が倍になったため、複数のchによる同時通信によりさらなる高速化が可能です。

またこれまでは複数の機器が同時にWi-Fiで通信する際に、chの帯域が被って通信障害を発生させるリスクがありました。Wi-Fi 7における帯域幅の拡張によって通信時に帯域が重なってしまう可能性が低くなるため、より安定した通信が期待できます。

4096-QAMの変調技術を採用

QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とは、デジタルデータを無線電波の位相と振幅に割り当てるよう変換し、データの転送を可能とする技術です。位相もしくは振幅のみを変調させる方式と比べて、QAMの方が一度に送れるデータ量が多くなります。一方で電圧などのわずかなズレで情報が壊れてしまうため、ノイズに弱いことがデメリットです。

Wi-Fi 7で採用された4096-QAM変調は、12bit分の値である4096値(2の12乗)を一度に送信できます。旧規格のWi-Fi 6Eでは、1024-QAM変調を採用していたために一度に送れるのは10bit分の1024値(2の10乗)でした。Wi-Fi 7では送れる情報量が2bit分増えたことから、Wi-Fi 6Eより20%向上しています。

マルチリンクオペレーションの追加

Wi-Fi 6Eまでの旧規格では、2.4GHz、5GHz、6GHzのうち一つの帯域を選択して相手の機器と接続していました。Wi-Fi 7で使用できるマルチリンクオペレーション(MLO)の機能を使うと、同時に複数の異なる周波数帯域での接続が可能になります。

同時に複数の帯域を使用するため、一定時間あたりに送受信できる情報量が多くなり通信速度が向上します。またWi-Fiの電波が特定の帯域に集中して混雑している場合でも、別の帯域を使って通信できるためデータの遅延を防げます。

Wi-Fi 7でより高速な通信が可能に

IEEE 802.11beはWi-Fi 7とも呼ばれる次世代無線通信規格で、より高速で信頼性の高い通信が可能となります。2024年中に規格策定の完了や認証機器の発売が控えており、今後Wi-Fi 7に対応した機器の普及が進む予定です。

近々無線LANルーターの購入を検討されている方は、Wi-Fi 7に対応したものを選んでみてはいかがでしょうか。ただしWi-Fi 7を使用するには、ルーターだけでなくPCやスマートフォンなど通信相手の機器もWi-Fi7に対応する必要があるためご注意ください。

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