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CPU、GPU、NPU、TPUの特徴や違いについて解説

レンテックインサイト編集部

CPU、GPU、NPU、TPUの特徴や違いについて解説

プロセッサにはさまざまな種類があり、CPUやGPUなど名称が似ているため混乱する方も多いでしょう。これらの名称はプロセッサの機能から名付けられているものが多く、役割もさまざまです。本記事では、CPU、GPU、NPU、TPUというよく似た4つの用語について、それぞれの特徴や違いを解説します。

CPUとは

CPU(Central Processing Unit)とはパソコンの頭脳にあたる部分で、中央処理装置とも呼ばれています。CPUの主な機能は演算と制御です。コンピューターの構成要素はほかにメモリやHDD、マウスやキーボード、ディスプレイなどありますが、それらすべてをCPUが制御しています。

CPUは、メモリから読み取ったデータを演算してメモリに書き込む、周辺機器へ命令やデータを送るなどの処理を担っています。CPUの性能でコンピューターの性能の大部分が決まり、コンピューターの構成要素の中で消費電力が最も大きくなることが一般的です。

GPUとは

本来、GPU(Graphics Processing Unit)は画像処理装置を意味していましたが、近年は機械学習やビッグデータ処理などの科学技術用途にも用いられています。GPUを発明した企業はNVIDIAで、現在もシェアの8割以上を占めています。人工知能ブームに上手く乗ったことで、米国市場の中でも急成長を遂げた企業といえます。

コンピューターでリアルなグラフィックスを描くには、陰影の描画などを画像内の全ピクセルに対して行う必要があります。陰影の描画は計算としては単純ですが、同時に多数の演算を行う必要があり、こうした高速並列計算を得意とするハードウエアとしてGPUが開発されました。その後、並列計算は機械学習やビッグデータの処理などでも活用できることが分かり、画像処理以外の分野でも広く用いられるようになっています。

GPUは単純な並列計算を得意としますが、複雑な計算は苦手なのでCPUのような幅広い処理には向いていません。CPUは汎用的な用途で、GPUは並列計算に特化した用途で用いるのが効率的であるため、GPUはCPUと組み合わせて使用することが一般的です。

CPU、GPU、NPU、TPUの特徴や違いについて解説 挿絵

NPUとは

NPU(Neural network Processing Unit)は、機械学習のニューラルネットワーク処理に特化したプロセッサのことです。機械学習の処理には大量の計算量を要しますが、そういった処理をCPUで行ってもパワーが追い付きません。そこで機械学習に特化したハードウエアとしてNPUが開発されました。NPUを使用すると、機械学習を用いたアプリケーションの演算をリアルタイムで処理することが可能となります。

近年はHUAWEIやAppleなどのスマートフォンメーカーがNPUを開発し、自社の機器に搭載する例が多くなっています。その背景にあるのが、自社では半導体工場を持たずにプロセッサの製造を外注し、設計や販売のみ自社で行うというファブレス方式です。

半導体製造を請け負うTSMCなどのファウンドリ企業に製造を依頼すれば、自社で高価な設備投資をする必要がありません。そのためNPUなどの最先端のプロセッサ開発に参入する企業が増えているのです。

TPUとは

TPU(Tensor Processing Unit)とはGoogleが独自に開発したNPUのことで、機械学習における大規模な行列演算を得意とします。Googleの場合も自社でプロセッサの設計を行い、製造は外部のファウンドリ企業に委託するファブレス方式で開発しています。

TPUはニューラルネットワークの行列計算に特化したハードウエアであるため、GPUと比べて電力あたりの性能に優れていることが特徴です。2023年8月には第5世代モデルとなる「TPU v5e」が発表されました。第4世代と比べ、モデルのトレーニングと推論に必要なコスト効率とパフォーマンスを高めています。また大規模言語モデルや生成AIを意識しており、これらのモデルの学習や推論における処理能力の向上を目指しています。

用途に応じてさまざまなプロセッサが誕生

コンピューターの構成要素のうち、汎用的な演算や処理を担うのがCPUです。そしてCPUでは対応が困難となる用途向けにGPUやNPUなどのプロセッサが開発されました。本記事で取り上げたTPUはNPUの一種となりますが、Googleのようにプロセッサの製造を外部委託することで自社独自のプロセッサを開発する企業が増えています。プロセッサによって役割や得意とする分野が異なるので、調べる際は意識しておくとよいでしょう。

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