メールはインターネット利用における基本的なコミュニケーション手段であり、多くの人が日常的に使用しています。しかしその分メールには多くのセキュリティリスクが潜んでおり、ふとしたきっかけでサイバー攻撃の入り口となってしまうケースも少なくありません。
この記事では、そんなメール利用に伴うセキュリティリスクにはどのようなものがあり、どうすればリスクを回避できるのかについて解説します。
そもそも、メール利用においてどのようなセキュリティリスクがあるのでしょうか。最もよく見られるのは、同僚や上司などの社内の人間を騙るメールや、Amazonなどの通販サイトを装った詐欺メールです。これらは何年も前から存在する手口ですが、近年は手口が高度になっており、少し見ただけでは本物かどうかがわからず、うっかり被害に遭ってしまうケースが後を絶ちません。
添付ファイルの中にマルウエアが潜んでいたり、リンク先のURLでウイルスに感染してしまったり、メールを開くだけで被害に遭ったりすることもあります。
このようなメール利用に伴うセキュリティリスクを放置していると、どのような被害に遭うことになるのでしょうか。
近年、日本の大企業や行政機関でも見られているのが、メールを悪用したサイバー攻撃による内部情報の流出です。メールを通じてPCをマルウエアに感染させ、ID情報を抽出することで不正アクセスを可能にし、個人情報や社外秘プロジェクトの情報を抜き取る攻撃が多発しています。
また、このような機密情報を人質にとって身代金を要求する、いわゆるランサムウエアによる被害も確認されています。期日までに支払いがないと情報を流出させたり、社内システムを永久に使えなくするようロックをかけたりするなど、大きな被害に遭うことが懸念されます。
このような事態が一度発生すると被害をゼロに抑えることは極めて困難です。そのため、あらかじめセキュリティリスクを徹底して排除し、少しでも攻撃のリスクを小さくすることが、企業には求められています。
それでは、メール利用に伴うセキュリティ対策を強化する上で、どのようなことに取り組むべきなのでしょうか。
結論から言うと、サイバー攻撃のリスクをゼロにすることは不可能に近いため、できることは全て取り組み、少しでも被害に遭う確率を下げることが重要です。例えば基本的なウイルス対策ソフトなどは、必ずインストールしておく必要があります。
メールに限って言えば、フィルタリング機能をフル活用して不審なメールを軒並み排除することや、メールの暗号化ツールを活用することで、第三者への流出を回避するような取り組みも重要です。あるいは社内研修を実施し、担当者のセキュリティ意識の向上を促し、メールを介したサイバー攻撃に遭わないよう教育することも、大きな意味を持つでしょう。
近年多くの企業が採用しているアプローチとして、コミュニケーションにメールを使うことを撤廃する、という方法もあります。
メールがサイバー攻撃の温床となっているのは、社外の第三者とのやりとりが容易であることに起因します。例えばチャットサービスや社内SNSを利用すれば、外部の人とのやり取りを大幅に制限できるため、詐欺メールなどに引っかかるリスクも大いに減るでしょう。
メールへのこだわりを捨てて、積極的に最新ツールを取り入れることは、直接セキュリティの強化に貢献します。
この記事では、メール利用に伴うリスクがどのようなものか、メールを介したサイバー攻撃のリスクを小さくするためにはどうすれば良いのかについて解説しました。
メールは便利な反面、セキュリティリスクも大きく、運用には注意が必要です。最近ではメールよりも安全で、利便性に優れるツールも登場しており、これらの活用も積極的に進めたいところです。
メール対応が不可欠な業務と、そうでない業務を切り分け、コミュニケーションの新しいあり方を模索してみましょう。