この記事では、ガバメントクラウドの概要や、一般的なクラウドサービスとの違いについて解説します。
DXという言葉が瞬く間に広まった近年では、多くの企業が業務のDX化を推進し、システムのアップデートに力を入れています。ただ、このようなDX化が求められているのは民間企業のみならず、公共サービスを提供する行政機関も同様です。そんな行政機関のDXに貢献すると期待されているのがガバメントクラウドで、最新のIT基盤としての活躍が期待されています。
ガバメントクラウドとは、中央省庁や独立行政法人など、日本の行政機関や地方自治体が共同で利用できるようにした、クラウド型の行政システムです。日本の行政を支えるIT基盤としての活躍が期待されており、最新の技術水準に準拠した、高度かつ標準的なクラウド環境として実装が進んでいます。
ガバメントクラウドの導入によって各行政機関や地方自治体が共通の基盤を有したアプリケーション開発を進められることが期待できるなど、行政機関や地方自治体のDXの要として注目されています。
ガバメントクラウドを推進する主な目的は下記の三つです。
ガバメントクラウド導入以前、行政機関や地方自治体におけるサーバー運用は、各組織で独自に行なっていたため、たとえ同じ環境の構築であっても別個に対応し、余計なコストがかかっていました。
しかしガバメントクラウドを導入することで、各組織が別個にサーバーを導入する必要がなくなり、共通基盤で運用できるようになるため、導入や維持管理のコストは大幅に減少します。
また、運用するシステム面でも共通化の恩恵を広く受けることができます。同じクラウド基盤でのシステム開発や運用が進み、組織を跨いだ自治体システムの標準化と共通化が得られ、全体システムの統一化による利便性向上にもつながります。
ガバメントクラウドが整備されれば、今後あらゆる行政システムがどこの組織でも同じように運用でき、日本全国で高度に洗練されたサービスを提供できるようにもなるでしょう。
ガバメントクラウドは、一般的なクラウドサービスとは分けて運用されるものと考えられています。これは従来の組織が独自にクラウド環境を構築するのではなく、政府が均等にクラウド環境を提供するためです。
行政機関・地方自治体ごとに統一感のなかったシステムは、ガバメントクラウドによって標準化が進むでしょう。
ガバメントクラウドの普及は、セキュリティの強化、拡張性の高い環境への移行、データ連携の強化といったメリットを各組織や市民に提供することができます。政府が認める高度なセキュリティ環境が整備されたクラウドシステムを導入し、サイバー攻撃のリスクを低減することが可能です。また最新の豊かな開発環境をクラウド経由で提供し、拡張性の高いシステムを導入することにもつながります。
全ての行政機関・地方自治体が同じシステムを採用すれば、組織間のデータ連携も進み、より優れたサービスの提供にも貢献するでしょう。既存のマイナンバー制度のような管理システムとの相性は非常によく、既存サービスをさらに便利にしてくれる効果も期待できます。
この記事では、ガバメントクラウドの役割や導入によって期待できるメリットなどについて解説しました。ガバメントクラウドは現在、既存システムからの段階的な移行が進んでおり、2025年には、全ての地方自治体の基幹業務システムがガバメントクラウドとなる見込みです。
今後、独立行政法人はもちろん、医療や教育、防災などに関わる準公共分野においても採用を進めることが検討されており、公共サービスのDX化が向こう10年ほどで急速に進むかもしれません。デジタル基盤は一度導入された後の変化が早いのも特長です。皆が驚くようなサービスの実現が期待されています。