この記事では、APIの仕組みや導入メリット、そして代表的なAPIについて解説します。
ITを使ったサービス活用や社内システムの改修が、各企業で進んでいます。そんな中で活躍しているのは各社が提供するAPIと呼ばれるものです。APIを活用することで複雑な機能を簡単に自社に導入し、より効率よくシステムを運用することができます。
APIはApplication Programming Interfaceの略称で、特定のアプリケーションと別のアプリケーションを繋ぐ、橋渡しのような役割を果たします。APIを活用することで、システムの枠組みだけを自前で作り、肝心の複雑な内部プログラムを別のアプリケーションの機能を使って簡単に実装するという運用方法が可能になります。
APIは、利用したいアプリケーション側が利用するアプリケーションに対して、特定のフォーマットでリクエスト(注文)を送信し、その注文内容に必要なデータ操作 を実施し、その結果をレスポンス(返答)するという流れが一般的です。 リクエストには、HTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETEなど)が使用されます。レスポンスには、JSONやXMLの形式でエンコードされ、アプリケーション側で利用しやすい構造で提供されます。この相互作用により、異なるアプリケーションでもスムーズな連携が可能になるのです。
APIの活用は、下記のようなメリットをもたらしてくれます。
それぞれの利点について、詳しく解説します。
APIの活用は、まず開発コストの削減に大きく貢献します。これまでは特定のアプリケーションを開発する際、一から十まで全ての機能を自社で賄う必要があったため、開発コストを抑えることが難しく、また、技術を持たない、技術を開発する余裕のない開発組織は、技術を持つ企業との格差に悩まされることがありました。
しかしAPIが普及したことで、このような開発コストの問題は大幅に解消されています。既存アプリケーションのAPIを使い、開発を一から十まで担う必要がなくなったためです。既存のAPIを使うことで、開発スピードを早め、開発にかかる費用を抑えられるようになりました。
APIを使うことで、アプリケーションの品質向上は従来よりも簡単になりました。例えば特定のアプリケーションから地図情報を閲覧したい場合、開発者はゼロから地図アプリケーションを作成し、連携する機能を開発しなければなりませんでしたが、APIがあればその必要はありません。
定型化されたコードをコピーペーストで貼り付けるだけで、高度で質の高い地図アプリケーションを思いのままに自社アプリケーションと連携し運用することが可能になるのです。
開発コストや開発スピードの問題で、開発が見送りとなっていたサービスも、APIがあれば開発を実行に移すことができるでしょう。APIを使って開発を行うことで、開発コストを大幅に削減し、複雑な機能も最小限の負担で実装できるためです。
具体的に、近年はどのようなAPIが広く用いられているのでしょうか。ここでは大手サービスである「X(Twitter)」「Chatwork」「Google Maps」が提供する、主なAPIの事例についてご紹介します。
X(Twitter)が提供するAPIは、自社開発のサービス上で簡単にX(Twitter)の機能を利用できるようにするものです。
特定アカウントのポスト(ツイート)をリアルタイムで表示したり、ハッシュタグと連動して最新のポスト(ツイート)動向を把握できるようにしたりと、充実の機能が揃います。
コミュニケーションツールのChatworkも、自社開発のサービス上でChatworkの一部機能が使えるAPIを提供しています。
チャットログを表示したり、タスク管理の状況を表示したりできる機能を自社SNSなどに取り入れることで、情報共有の効率化や生産性向上が期待できるでしょう。
地図アプリケーションのGoogle Mapsは、APIを活用することで、簡単に高精度なGoogle Mapsを自社サイトなどで表示できます。
地図表示はさまざまなサービスで活用される利用頻度の高い機能でありながらも、開発コストが高く、活用することで開発コストの削減が期待できます。
この記事では、APIの仕組みや、メリットについて解説しました。APIを活用することで、開発コストを抑えながらサービスの質を高めることが可能です。各社が提供するAPIを積極活用し、業務のデジタル化やサービスの改善を進めましょう。