情報システム部門が業務用パソコンを導入する際に検討すべき内容を解説します。 業務用パソコンの性能は、ビジネスの効率を上げ、安定した運用に大きく影響するため、パソコンの選定は重要な業務となります。
ビジネス利用を目的とした業務用パソコンは、各部署の業務内容に応じたスペックが必要です。スペックが不十分だと業務に支障が生じる恐れがあり、逆にハイスペックなパソコンを選定するとコストの負担が大きくなるでしょう。必要なスペックは部署ごとに異なるため、実際の業務内容を確認した上で適切なスペックを選定するとよいでしょう。
パソコンの機種は全社で共通化した方が、管理の手間が小さくなります。トラブルの対応方法が統一され、修理やメンテナンスなどの対応も容易になるためです。また、全社もしくは部署ごとに管理ルールを統一することも、トラブルへの備えになり、パソコンの運用効率を上げることにつながります。
CPUやメモリ、ストレージなど、パソコンのハードウエアスペックを検討するとき、業務に支障をきたす恐れのあるギリギリのスペックは避けておきましょう。例えば、事務作業が中心の場合でも、同時に複数のアプリケーションを使うことがあれば、CPUやメモリが不十分なパソコンでは動作が重くなってしまうでしょう。
文書作成や表計算などの事務作業が中心の部署と、3D-CADソフトや動画編集を行う部署では、必要なスペックが大きく異なります。 もし機種の統一が難しい場合は、業務内容に応じて支給するパソコンを変えるという選択もあります。
また、HDMIやUSB、SDカードなどの対応している外部インターフェースも選択肢に含めるとよいでしょう。
国内および海外におけるパソコンのOSのシェアはWindowsがトップであり、業務用パソコンにはWindows 11 Proを搭載することが多いです。Pro版にはデバイスの暗号化や、全社または部署ごとにルールを設定するグループポリシーなど、ビジネス用途向けの管理機能が豊富に備わっています。
WordやExcel、PowerPointなどのOffice系ソフトやメールソフトは、業務内容に関係なく全社共通で使用することが一般的です。それらに加えて、部署の業務内容に応じて必要なソフトウエアを導入します。ソフトウエアの利用に際しては、適正なライセンス管理が必要です。ライセンスの規約形態が適切であるか、規約違反がないかなどは事前によく確認しておきましょう。
近年のテレワークの普及に伴い、社員が自宅にPCを持ち帰って仕事をする機会が増えています。このため、小型軽量で持ち運びしやすいノートパソコンが求められることが多く、特に耐久性の高いモデルが好ましいでしょう。
また、ウェブ会議に利用するための内臓カメラは必須機能といえます。Bluetooth対応の機種であれば無線ヘッドセットが使用可能なので、併せて検討することをおすすめします。
パソコンの調達は、購入、リース、レンタルといった方法から選択することが一般的です。業務用パソコンの購入はメーカーや販社から行うことが多く、まとまった資金が必要となります。
リースは数年単位の期間を設定してリース会社と契約し、業務用パソコンを借りる方法です。新品の調達も可能で、レンタルより割安になることもありますが、中途解約は違約金が発生します。
一方、レンタルは短期間の契約が可能で、中途解約もできます。ただし、レンタル期間が長いとリースよりコストがかかることが多く、想定する使用期間に応じて検討するとよいでしょう。
さまざまなトラブルに対応するため、保証やサポートのサービスへの加入をおすすめします。この際、契約内容や契約期間は十分に検討しておきましょう。在宅と出社を組み合わせたハイブリッド勤務を採用する企業が増えていますが、パソコンの持ち運びの頻度が増えたことで、破損のトラブルが起こりやすくなっています。
故障した製品を業者に送付して修理してもらうだけでなく、代替機の提供や技術者による現場訪問修理といったサービスを受けられるプランがあると安心です。業者によって保証内容はさまざまであるため、複数の会社で比較検討するとよいでしょう。
業務用パソコンの導入において、すべての部署の社員が不自由なく業務に集中できるパソコンの選定が求められます。業務内容によって必要となるスペックが異なりますが、低スペック品は業務に支障をきたし、ハイスペック品はコストがかかります。各部署における実際の業務内容をヒアリングし、それに基づいて適切なスペックを検討することをおすすめします。