日本は市場が縮小傾向にあるとされていますが、注目すべきはそれに合わせてマーケティングのあり方も変化している点です。特にCDPは、昨今の市場の動向にフィットしたシステムであることから、多くの企業が採用を進めています。
この記事では、そんなCDPがどのような役割を果たすのかについて解説しながら、導入が進む背景をご紹介します。
CDPは「Customer Data Platform」の略称で、顧客のデータを収集し、分析するためのプラットフォームです。顧客の性別や年齢、職業など、あらゆる属性データを一つのプラットフォームに集積するので、データの有効活用に役立ちます。
また、基本的な顧客情報に加え、自社のウェブサイトやアプリにおいて、どのような行動をとったのかも記録されるのが特徴です。顧客の興味関心をリアルタイムで捉え、的確なマーケティングを実行する上で大きな役割を果たします。
CDPと似たようなツールの一つに、DMPと呼ばれるものがあります。DMPは「Data Management Platform」の略称で、こちらも顧客のデータ収集と分析に用いられるのが特徴です。
CDPとDMPの違いとして、データの収集方法が挙げられます。CDPは、あくまで自社のWebサイトやアプリに限定して収集を行う一方、DMPは外部の匿名データを収集するのが特徴です。
CDPは顧客情報と紐付いた詳細なデータ分析ができますが、DMPの場合は匿名データの収集しかできないため、データの解像度ではCDPに軍配が上がります。
CDPの役割は、大きく分けて以下の三つに分類されます。上でもご紹介した、顧客一人一人の個性を反映したデータ収集と、収集したデータの紐付けや統合、そしてデータを分析にかけ、マーケティングに役立てるというものです。
CDPによるデータの収集は、顧客の属性や趣味嗜好をウェブ上の行動データ履歴などを参考にしながら行われます。ウェブ上の行動データと顧客情報を紐付けて運用するため、どのような顧客がどんな製品に興味を持つのか、どんな施策が有効かなどを丁寧に分析できるようになります。
収集したデータは、既存のデータベースにある情報と紐付けを行い、個人のデータとして統合管理します。基本的な顧客情報と、顧客の行動データや関連する市場の情報を連動して管理することで、一人一人のニーズを正しく把握することが可能となります。
収集・統合したデータをCDPで分析することができます。顧客の属性情報をもとに、レコメンドすべき商品や、関心のありそうなイベント・製品の紹介を提供するといった施策に発展させられるでしょう。
顧客一人一人を見える化するCDPが注目されるようになったのは、市場の縮小に伴い、顧客をパーソナライズしながら向き合うOne to Oneマーケティングへの注目が高まったことが背景にあります。確実に商品を販売するためには、細かな顧客の要望や、変化しやすい顧客のニーズへ柔軟に対応する必要があるからです。
また、インターネットの広がりによりECやそのほかのウェブサービスが広く普及したことで、顧客行動が可視化できるようになったことも理由に挙げられます。顧客とのタッチポイントをネット上のさまざまなシーンから見出すことができ、効果的なアプローチにつながります。
CDPは、自社のマーケティングにとって強力な武器となり得ますが、導入前には注意すべき点もあります。
まず、CDPの実装に当たっては巨大な顧客データベースを構築するので、情報の漏洩がないよう、セキュリティ対策を徹底する必要があります。また、CDPはMAツールなどとの連携により、さらに効果的な運用ができるので、連携を前提とした製品選びが必要となります。
加えて、社内全体でデータを運用し、サービスを有効活用するべく、全社的なシステム構築はもちろん、社員への研修も進める必要があります。
CDPの導入は、顧客一人一人と向き合う上で不可欠な情報の収集と、分析をサポートしてくれる大切な機会です。
顧客分析の精度を高め、そこにかける時間を小さくすることで、ビジネスチャンスを逃すこともありません。
企業の成長を推進するきっかけづくりに役立つCDPは、今後マーケティングにおけるスタンダードとなり得るサービスです。