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デジタル赤字とは?知っておくべき原因と解決策

レンテックインサイト編集部

IT Insight デジタル赤字とは?知っておくべき原因と解決策

日本は先進国の中でもDXが遅れているとされていますが、それに関連した新しい概念として「デジタル赤字」という言葉が使われています。日本がデジタル赤字を抱えている国家と評価されているのには、どのような理由があるのでしょうか。

この記事では、日本が抱えるデジタル赤字とは一体どのようなものなのか、そして、日本はなぜデジタル赤字を抱えているのか、その原因と脱却に向けてできる事を解説します。

デジタル赤字とは

デジタル赤字とは、海外のデジタルサービスを日本の消費者や企業が利用することで、日本の通貨が海外に流出し、赤字となってしまう状況を指す言葉です。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、多くの企業がデジタルサービスの活用を推進していますが、サービス事業者が海外企業の場合、サービス利用の料金は海外に流れます。一方、日本のサービスを海外のユーザーが利用しているケースは非常に少なく、日本からお金が出ていくばかりで、一向に黒字へと転向していません。

このようなトレンドは、ここ数年、DXに関する各種IT・通信サービスはもちろんのこと、消費者が利用する音楽や映像配信プラットフォームにおいても、顕著になりつつあります。

海外のサービスが日本で圧倒的なシェアを獲得しており、海外への支払額が収入を大きく超過し、そのギャップは拡大傾向にあるのが現状です。

日本は「デジタル赤字大国」に?

それでは具体的に、日本はどれくらいのデジタル赤字を抱えているのでしょうか。財務省が2023年の2月に発表した国際収支統計によると、2022年の経常黒字は11兆4432億円で、前年と比べて47%の減少を記録しました。資源高の影響もあり、輸入額は前年比で42%も増え、結果的に貿易収支は過去最大となる、15.8兆円の赤字を記録しています。

また、同時に膨らんでいるのが、日本のユーザーの海外のデジタルサービスへの支払いです。支払超過が進み、2022年の赤字額は4.7兆円で、5年前の1.9倍にもなる数字に達しています。

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日本がデジタル赤字を抱えている理由

日本がデジタル赤字を抱える原因の一つが、根本的な輸出で稼ぐ力の低下です。中国やそのほかの途上国が経済力や工業力を身につけたことで、日本のモノの輸出力は相対的に低下し、わざわざ日本製品を買う理由が見つからなくなってきています。

また、日本はITで稼ぐ力が海外と比べて弱いというのが現状です。中国やインドが次々と世界で通用するITサービスを展開する中、日本発のITサービスは今ひとつ海外で注目されていません。金融やバイオなどのハイテク分野においても同様で、輸出できる産業が成熟していないという問題が根底にあるといえるでしょう。

デジタル赤字を脱却するための方法とは

それでは、デジタル赤字を脱却するためにはどのような取り組みを実施する必要があるのでしょうか。ひとまず考えるべきは、企業が積極的なDX化を進め、グローバルで戦えるだけの競争力を身につけることです。

また、従来産業においての魅力的な製品やサービスの創出はもちろんですが、日本市場や海外市場を魅了できる、ITサービスの提供も進めるべきでしょう。新しいビジネスモデルを構築するためにも、DXによる高度な効率化を進め、高い生産性を獲得しなければなりません。

DXの推進とともに組織の成長を促そう

この記事では、日本が抱えるデジタル赤字の概要や、デジタル赤字が生まれる原因、そして有効な解決策について解説しました。

デジタル赤字は「2025年の崖」同様、今後日本のデジタル施策に大きな影響を与える課題となる可能性が高い状況です。幸い、日本政府もグローバルな競争力の低下は深く懸念しており、企業向けの補助金制度なども積極的に進めています。

そして企業がまず取り組むべきは、業務の効率化や生産性の向上、そして新規ビジネスの創出です。デジタル赤字の対策としては、日本はデジタル産業を育てるだけではなく、赤字を穴埋めできる産業の成長も期待されています。

自社に必要なソリューションをうまく見出し、高い競争力をデジタル化によって推進することが、今日本に必要な取り組みです。

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