ホームIT企業におけるクラウドソフトウエアの活用と課題について

IT Insight

企業におけるクラウドソフトウエアの活用と課題について

レンテックインサイト編集部

IT Insight 企業におけるクラウドソフトウエアの活用と課題について

インターネット経由でアプリケーションやサーバー、ストレージなどの機能を提供するサービスをクラウドソフトウエアと呼びます。本記事では、企業におけるクラウド導入の状況、クラウドの利点と課題について解説します。

企業におけるクラウド導入状況

近年、多くの企業においてクラウドサービスが活用されるようになりました。総務省が公開する令和3年版の情報通信白書によると、2020年時点でクラウドサービスを利用する企業の割合は68.7%に達しています。またクラウドサービスを導入した企業のうち、効果があったと回答した企業の割合は87.1%に上ります。ファイル保管やデータ共有、電子メール、社内情報共有などでクラウドサービスが利用されていることが多いようです。

ICT市場専門のリサーチ会社であるMM総研によると、国内のクラウドサービスの市場規模は年々拡大しており、2021年度には3.5兆円に達しました。一般利用者を対象としたパブリッククラウドのサービスでは、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の順にシェアが高い状況です。ほかにも、複数社のクラウドサービスを活用するマルチクラウド、クラウドサービスと自社のサーバーによるオンプレミス環境を両方活用するハイブリッドクラウドなどの形態をとる企業もあります。各社さまざまな形態でクラウドを活用していることがうかがえます。

IT Insight 企業におけるクラウド導入状況

クラウド導入の利点

企業活動において、クラウドソフトウエアを導入する主な利点をご紹介します。スケーラビリティに優れ、コストを抑えやすいこと、最新のセキュリティ環境を担保できること、ビッグデータ解析やAI開発に活用できることの三つについて解説します。

スケーラビリティに優れ、コストを抑えやすい

多くのクラウドソフトウエアは使用量に応じて課金される仕組みになっています。用途に応じた必要な量のリソースを確保でき、追加料金を支払って後から調整することも可能です。一方、自社でサーバーを用意する場合は、ハードウエアの導入コストがあるため柔軟なリソースの調整が難しくなります。必要なリソースが不明確である場合や初期コストをかけたくない場合は、クラウドソフトウエアがおすすめです。

最新のセキュリティ環境を担保

クラウドソフトウエアは最新のセキュリティが用意されていることが多く、その場合はユーザー側での保守の手間がかかりません。またクラウドソフトウエアは、データセンターと呼ばれる物理的な施設内にあるサーバーなどを活用し、サービスが提供されています。データセンターはネットワーク上のセキュリティ対策だけでなく、建物自体も強固で、障害時に備えた万全の体制が取られています。自社でセキュリティ対策を一から検討するよりも、安心安全な環境を用意しやすいことがメリットです。

ビッグデータ解析やAI開発に使える

大量のデータを処理するビッグデータ解析、データ量によってモデルの性能が高まるAI分析ではクラウドソフトウエアを活用するメリットが大きくなります。AWSやMicrosoft Azure、GCPなどのパブリッククラウドサービスは、データベースなどのインフラ、データ解析、AI開発向けのサービスが用意されています。

例えばAI開発を行うとき、AIモデルの学習用データを用意しなければならないこともあるでしょう。クラウドソフトウエアによっては既に学習済みのモデルが提供されるサービスもあり、それを活用すれば自社で学習用のデータを用意する手間を省けます。

クラウド導入の課題

クラウド導入にはメリットだけでなく課題も存在します。適切な料金プランを選択する必要があること、ネットワーク環境が必須となること、サービス提供停止のリスクがあることの三つについて解説します。

適切な料金プランの設定

クラウドソフトウエアの使用量は、適切に見積もれなければ多額のコストを支払うことになったり、逆にリソース不足に陥ったりする場合があります。事業を始めたばかりで使用量が見積もれないときなどは、特に注意してください。ただ、クラウドソフトウエアは柔軟なリソース調整が可能です。最初はスモールスタートで始めて必要最低限の使用量を見積もっておき、状況に応じて徐々に増やしていくという形式がよいでしょう。

ネットワーク環境が必須

クラウドソフトウエアを活用するにはネットワーク環境があることが前提となります。近年はリモートワークの需要が高まっており、ネットワーク環境があれば利用できるクラウドソフトウエアは自宅でも活用しやすいでしょう。ただし自社や自宅、クラウド事業者側においてネットワークトラブルが生じると、ソフトウエアは使用できなくなります。リモートワークする社員にとっては手間になりますが、自宅のネットワーク環境も万全にしておく必要があります。

サービス提供停止のリスク

クラウドソフトウエアは提供元がサービスを終了してしまい、使用できなくなる可能性があります。ほかにも、バージョンアップによる機能追加、削減などで使いにくくなることもあるでしょう。他社の事情によって業務がストップしてしまうのは大きなリスク要因です。サービスが利用できなくなる場合に備えて、ほかのクラウドソフトウエアや自社開発のソフトウエア等の代替案も検討しておくとよいでしょう。

クラウド導入で開発効率化へつなげる

クラウドサービスを利用している企業は2020年時点で68.7%に達し、クラウドサービス市場は年々拡大しています。クラウドソフトウエアはスケーラビリティ、セキュリティの面で利点があり、ビッグデータ解析やAI開発にも活用できます。一方で、適切なリソースを見積もる必要があること、ネットワーク環境が必須なこと、サービス終了のリスクがあることに注意しなければなりません。自社に必要な用途やリソースを把握した上で、要求を満たすクラウドソフトウエアを検討するとよいでしょう。

IT Insightの他記事もご覧ください

Prev

Next