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AI・IoTコンサルタント 伊本貴士の経営に役立つ最新技術解体新書 8月コラム「製造業のアフターコロナとリモート化」

レンテックインサイト編集部

 コロナ禍は、製造業を中心として我々にさまざまな変化や試練を与えました。
象徴的な変化としては、移動が制限されテレワークなどリモートでの業務遂行が大規模に実施された事です。
しかし、製造業では、現場において実施しなければならない事が多く、簡単にリモート化はできません。
このままでは第二波が訪れた際に、生産ラインが再び止まり経営に致命的なダメージを被る可能性があります。

リモート監視業務から始める

業務のリモート化を進める際には、一気に全体をリモート化するのではなく、できるところから順序立てて変えていくという段階的イノベーションが重要です。
製造業の現場において、最もリモート化しやすいのは監視業務です。

インターネット経由で動画を見ることが可能になった現在においては、工場にカメラを設置すれば、その様子を見ることが可能です。
そこから始めるのが良いでしょう。

カメラは、高温多湿の現場でないのであれば、一般的なインターネットに繋がる監視カメラで問題ありません。
これによって管理者は、現場へ行かなくてもある程度は現場の作業状況を見ることができるようになります。
また、複数のカメラの映像を1画面で見ることができれば、現場を歩き回るよりも遙かに効率良く全体の様子を見ることができます。

次に、センサーを導入し、各作業状況を数値として取得しましょう。
現場では、見た目だけではわからない事が多々あります。
それらを「見える化」することで、管理業務を遙かに効率化する事が可能になります。

最初は作業量と、各設備の動作状況を見える化する事から始めると良いと思います。その後に、欠品率や品質などを見える化するという順序になると思います。

これらを進めれば、管理者は移動などの手間を省く事ができ、なおかつその分の時間をさらなる効率化や、新しい設備や体制の構築に時間を割くことができます。

リモート化の注意点

リモート化が成功したとしても、完全に現場へ行く必要がなくなるわけではありません。
やはり、現場に行かないとわからない事も多くあります。
仕掛品がどのように積まれているのか、動線で危ないものが落ちていないかなど、カメラでは見えないところがあります。
そのため、回数は減っても定期的に現場に行く必要があります。

また、人間同士のコミュニケーションも重要です。
顔を合わせる回数が減るとコミュニケーションの機会が減りトラブルが発生する可能性があります。
そこで、情報共有ツールを導入することを検討してください。

最近では、SlackやTrelloといった共有ツールが人気ですが、それらのツールを利用する目的はリスク共有です。
現場で気付いた事、訴えたい事、危険を感じた事。なんでも情報共有してコミュニケーションロスを防ぐ必要があります。

ツールは使いやすいもので問題ありませんが、重要な事は気軽になんでも書き込めるという事です。
ちょっとしたことを共有するために手間がかかりすぎると、情報共有することが疎かになり結果的に重要なリスクを見逃してしまう可能性があります。
どこからでも、スマートフォンやタブレットから入力できるものが良いでしょう。

リモート化すれば、それに合わせたコミュニケーションを構築しなければならないのだという事を認識する事が重要です。

制御のリモート化

IoT化が進んだ現在においては、機械などのリモート制御は夢物語ではありません。

最終的に、ファクトリー・オートメーションが理想的です。例えば半導体製造においては、ほとんどの工程は機械による自動化が実現しており、実際に作るものによっては自動化が可能です。

要は自動化できるかどうかは、費用対効果として見合うかどうかの問題です。
これまでは、機械化するよりは人間が作業した方がコストパフォーマンスの良い現場がたくさんあったという事です。

しかしながら、コストパフォーマンス以外にも、人間が移動できないというリスクが加わった今となっては、リスク対策として機械やロボット導入が進むかもしれません。
実際に、コロナ禍以降、リモート制御に関する需要は大幅に伸びています。

段階的なオートメーション化を

今後ロボットは小型化、低価格化していくので、オートメーション化もやりやすいでしょう。

ただし、いきなり全体をオートメーション化すると、現場が混乱するだけではなく、慣れないやり方で重大な不具合を起こすリスクもあります。
よって、オートメーション化は、いくつかの段階に分けて行う必要があります。

段階的に行うという事には、段階毎に効果や問題点を洗い出すと同時に、従業員を新しいやり方に順応させていくという重要な意味があります。

今回の記事で述べた事だけでも、実施するのは簡単で短期にできる事ではありません。
しかしながら、いつかはしなければ、経営に大きなダメージを被る可能性があります。

よって、今すぐ、どのように進めて行くのかを検討しなければなりませんし、迅速に段階的に動かなければならないので、それほど時間的余裕はないという事を社内で共有すべきだと思います。

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