本記事では、PCを廃棄する際に起こりうる、トラブルの内容や対策事例についてご紹介します。
社員が使用するPCの一斉リプレースや故障対応など、企業においてPCを廃棄する機会は度々発生します。PC廃棄の際にはさまざまなトラブルが発生する可能性があり、適切な対応が求められます。今後PCの廃棄の対応を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
通常、企業において社員が利用するPCは数年ごとにリプレースを実施します。リプレースは社内のシステムや通常業務を安定して運用するために必要な措置です。リプレース作業を怠ればPCの動作が不安定になったり、思わぬ故障が発生したりして業務に支障をきたす可能性があります。業務内容によっては取引先や顧客に迷惑をかけてしまう場合もあるでしょう。
PCのリプレースは3年から5年の頻度で行う企業が多いです。国税庁では減価償却の観点からさまざまな資産の耐用年数を定めており、PCの場合は4年としています。そのため3~5年に1度という頻度でリプレースするのは妥当といえるでしょう。
企業で一斉にリプレースを行う場合の台数は数百台程度が多いですが、社員数の多い企業であれば1000台を超えることもあります。社内全体のPCを一括でリプレースする場合、短期間で作業をすべて完了できることがメリットです。しかし作業手順に誤りがあれば、多数のPCでエラーが発生してしまい影響が大きくなってしまいます。
部署ごとに段階的にリプレースを進める方式もあります。先行してリプレースした部署で問題が発生したら、そこで被害を食い止められる点がメリットです。例えば顧客対応のない部署など、問題が起きても顧客に影響を及ぼさない部署で先行して作業するのも一案です。ただし、社内全体のリプレース完了までには時間がかかってしまいます。
PCを廃棄する際には、セキュリティの観点から中のデータを確実に削除しなければなりません。データ削除の手順が不十分だと、一見消えているように見えてもハードディスクなどの記録媒体にデータが残っており、第三者に復元されてしまう可能性があります。
実際に中古市場に出回っているPCから、元の持ち主が所属していた企業の機密情報が流出したという事例も過去に発生しました。企業の機密情報や顧客の個人情報などが流出してしまうと、企業の信用失墜や損害賠償責任を負うなどのリスクにもつながります。データが確実に削除されたことを十分確認してから廃棄しましょう。
データ削除の方法として、専用のソフトウエアを使用する、専門の業者に削除を依頼するなどの方法があります。また暗号化したハードディスクやSSDの記録について、復号に必要な鍵を廃棄して読み出しできなくする方法があり、「暗号化消去」と呼ばれています。暗号化消去は高速なデータ削除が可能で、記録メディアの一部分の領域に限定した削除も可能です。
PCはハードウエアだけでなく、中にインストールしているソフトウエアも資産であるため適切な管理が必要です。近年はソフトウエアをパッケージで購入するのではなく、ライセンスという形で必要数分の使用権の許諾を受ける場合が多くなっています。PCを廃棄する際にライセンスをそのままにしていると余計な費用を支払うことにもなりかねません。
PCの廃棄前にはライセンス認証をほかのPCに入れ替えたり、ライセンスを破棄したりといった作業を忘れずに行いましょう。廃棄した後になって気付いても、ライセンス解除操作ができず、新しいPCでライセンスを使用できないこともあります。その場合はソフトウエアメーカーにライセンス解除を依頼しなければならなくなるため、廃棄前に確認しておきましょう。ソフトウエア資産管理システムなど、漏れがないよう把握する仕組みを導入するのも対策になります。
本記事では、PC廃棄時に発生しうるトラブルについて三つご紹介しました。PCのリプレース作業は大人数が関わるために社内で多くの工数が取られ、問題が発生した際の影響も大きくなります。またPC内のデータ削除忘れによる情報漏洩、ソフトウエアのライセンス解除忘れによる金銭的損失などは、事前に対応を検討しておけば防げる可能性が高くなります。対策を怠ると会社の信用問題に関わったり、金銭的な損失につながったりする可能性があるためご注意ください。