「従来のWindowsの展開方法に課題を感じている」、「情報システム担当者の負担となっているセットアップ業務を効率化させたいと思っている」方はいませんか?
従来のWindowsの展開は、情報システム担当者が一台ずつ手動で行っていたため、担当者の業務負担となっていました。
そこで近年企業での活用が進んでいるのがWindows Autopilotです。
この記事では、Windows Autopilotの概要から展開方法、導入メリットや利用要件を解説します。
Windows Autopilotについて詳しく知りたい方や、情報システム担当者の負担軽減を実現したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
Windows Autopilotは、Microsoftが提供するクラウドベースのデバイス展開ツールです。
各種設定やアプリケーションのインストール、セキュリティポリシーの適用などをクラウド上で行えるため、情報システム担当者が従来のように個々のデバイスに対して手動で操作する必要がありません。
また、Microsoft Entra ID(旧:Azure AD)やMicrosoft Intuneと連携することで、クラウド上での認証・認可およびモバイルデバイス・モバイルアプリケーションの一元化を実現できます。
加えて、リモートでのデバイス管理も可能なので、従業員のデバイスに不具合が発生した場合でも、情報システム担当者がリモートで対応し、スムーズに業務を再開することができます。
このように、Windows Autopilotは、現代のビジネス環境において柔軟性と効率性を向上させられるツールであるため、企業での活用が進んでいます。
Windows Autopilotが求められる背景には、従来の展開作業の課題とリモートワークの普及があります。
従来の展開作業は、情報システム担当者が一台ずつ手作業で行う必要があったり、機種ごとのマスタイメージの作成が必要だったりと、利用するPCが多いほど時間と労力がかかっており、担当者の負担になっていました。
また、リモートワークを実施している企業の場合、環境によっては出社しなければ展開作業を行えないケースもあります。
このような背景から、PCの展開作業の効率化とリモート操作を実現できるWindows Autopilotが注目を集めています。
Windows Autopilotの特長を三つ解説します。
どちらもWindows Autopilotの代表的な特長なので、導入を検討している方は把握しておいてください。
Windows Autopilotは、クラウド上で認証・認可などのユーザー管理を一元化できる「Microsoft Entra ID(旧:Azure AD(Microsoft Azure Active Directory))」およびクラウド上でのモバイルデバイス・モバイルアプリケーションの一元管理を可能にする「Microsoft Intune」との連携ができます。
Microsoft Entra ID(旧:Azure AD)と連携することで、ユーザー認証やデバイスの登録が容易になり、企業のセキュリティポリシーに基づいたアクセス制御を実現できます。
また、Microsoft Intuneと連携すれば、デバイスのリモート管理やセキュリティ設定、アプリケーションの配布なども行えます。
従来は、新しいデバイスを導入する際に、情報システム担当者が手動でOSのインストールやソフトウエアの追加、各種設定などを行わなければなりませんでした。
Windows Autopilotであれば、これらのプロセスを自動化・効率化できます。
具体的には、情報システム担当者はWindows Autopilotへの対象デバイスの登録、プロファイルの作成・割り当て、ユーザーへのデバイスの発送を行うだけで、デバイスの展開業務が完了します。
従来よりも新しいデバイスの準備と設定に費やす時間の削減が見込めるため、特に毎年複数人の従業員が入社するような企業におすすめです。
また、Windows Autopilotは、リモートでのデバイス管理も可能で、情報システム担当者の手元にデバイスがなくても、従業員のデバイスの設定変更やソフトウエアのアップデートなどを行えます。
情報システム担当者からプロファイルが適用されたデバイスが届いたら、あとはユーザー側でデバイスをインターネットに接続し、ID・パスワードを入力するだけでセットアップが自動で実行されます。
ユーザー側でデバイスの初期設定や必要なアプリケーションのインストールを行う必要がないので、デバイスをスムーズに業務で使用できます。
Windows Autopilotを利用するには、Microsoft 365 Business PremiumやMicrosoft 365 F1といったMicrosoftのライセンス契約が求められます。
Windows Autopilotのライセンス要件は、後ほど解説します。
企業がWindows Autopilotを導入することで、情報システム担当者の負担軽減やヒューマンエラーの防止といったさまざまなメリットを得られます。
具体例な内容を解説するので、導入を検討する上での参考にしてください。
Windows Autopilotを導入すれば、クラウド上で展開作業を行えるため、担当者の負担と作業時間の削減が見込めます。その結果、情報システム担当者はほかの業務に集中できるため、生産性向上も期待できます。
Windows Autopilotを活用すれば、従業員側でセットアップを簡単に実行できます。
従業員は、情報システム担当者から郵送されたPCが手元に届いたらインターネットに接続し、ID・パスワードを入力するだけでMicrosoft Entra ID(旧:Microsoft Entra ID(旧:Azure AD))が認証を行い、設定プロファイルやアプリケーションが自動で配信・展開されます。
このように、Windows Autopilotであれば、従業員の待ち時間を減らし、スムーズに業務を開始できるので、特に新入社員の入社時の活用がおすすめです。
前述のとおり、従業員はID・パスワードを入力するだけでセットアップが完了するので、手動でセットアップするよりもヒューマンエラーのリスクを抑えられます。
また、従業員による誤設定のリスクが減ることで、情報システム担当者側での再設定や修正が不要になるため、社内全体の業務効率の向上にもつながります。
Windows Autopilotは、リモート操作が可能なので、情報システム担当者がセットアップのためにわざわざ出社する必要がなく、自宅でも社内と同じようにPC設定を行えます。
また、従業員のPCに不具合が発生しても、リモート操作で直ちに対応できる点も大きなメリットです。
Windows Autopilotには、Microsoft Intuneを使用して個人用ファイルやアプリケーションの削除、各種設定リセットができる機能が備わっています。
そのため、離職者のPCの処理が必要になったときでも、簡単に再設定し、新しいユーザーに割り当てることができます。
これにより、企業はデバイスの再利用を効率的に行えます。
Windows Autopilotの導入にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。
Windows Autopilotの導入を考えている企業は、デメリットも把握した上で検討することをおすすめします。
Windows Autopilotの導入には、専門的な技術・知識を持った人材と適切な環境整備が必要です。そして、Autopilotを運用するには、Microsoft 365のライセンス管理やネットワーク環境の理解、導入時の各種構成作業など、多岐にわたる深い知識と技術が求められます。
Windows Autopilotを導入することで、情報システム担当者の負担軽減や業務の効率化を実現できるメリットがある反面、導入する上での人材育成や時間の確保が必要になる場合があることを把握しておきましょう。
Windows Autopilotは、一元化と標準化を目指すシステムであるため、個々のユーザーに対するカスタマイズには不向きです。
組織全体で一元的な設定を行う場合には有効ですが、ユーザーがそれぞれ異なるソフトウエアや設定を必要とする場合、個別での対応が必要です。
例えば、デザイン関連の業務を行う従業員の場合、デザイン製作のためのアプリケーションが必要ですが、デプロイの内容に含まれていないと、従業員が手動でアプリケーションをインストールしなければなりません。
Windows Autopilotを導入しても、場合によっては一時的に手動での設定が必要になることを把握しておきましょう。
Windows Autopilotの利用要件を解説します。
Windows Autopilotの導入を検討している方は、自社の環境が利用要件を満たしているか確認してみてください。
Windows Autopilotのソフトウエア要件は、以下のとおりです。
Windows Autopilotを使用してMicrosoft Entra ID(旧:Azure AD)やMicrosoft Intuneなどの機能にアクセスするには、上記のソフトウエア要件を満たす必要があります。
Windows Autopilotの導入を考えているPCが要件を満たしているか確認してみてください。
また、Windows Autopilotのソフトウエア要件の詳細や注意点を知りたい方は、Microsoft公式ページをご確認ください。
Windows Autopilotを使用するには、いくつかの構成タスクが必要です。
主要なタスクは、以下のとおりです。
それぞれの具体的な手順は、Microsoft公式ページをご確認ください。
Windows AutopilotでMicrosoft Entra ID(旧:Azure AD)やMicrosoft Intuneを利用するには、以下のいずれかのサブスクリプションが必要です。
それぞれのサブスクリプションの詳細は、Microsoft公式ページをご確認ください。
Windows Autopilotの導入を検討している方は、以上の三つの要件を確認し、導入に備えましょう。
Windows Autopilotの展開方法を従来のWindowsの展開方法と比較して解説します。
従来のWindowsの展開方法は、以下のとおりです。
このように、従来の展開方法は、マスタイメージの作成から各デバイスへの適用までを情報システム担当者が手動で行うため、多くの時間と労力が費やされていました。
Windows Autopilotを活用すれば、従来の方法よりも大幅な負担と時間の削減を実現できます。
具体的な展開手順は、以下のとおりです。
上記のように、情報システム担当者は、従来のように一台ずつ手動で展開を行う必要がなく、ユーザーは自身で簡単にデバイスをセットアップできます。
最後に、Windows Autopilotを導入する際の注意点を解説します。
Windows Autopilotの導入を検討している方は、十分に把握した上で、導入を進めてください。
Windows Autopilotは、一部のPCメーカーの製品のみに対応しています。
2023年7月時点でWindows Autopilotが対応している主なメーカー・デバイスは、以下のとおりです。
出典:Windows Autopilot|Microsoft
主要なメーカーには対応していますが、すべてのメーカーのPCで利用できるわけではありません。
そのため、PCを購入する際には、メーカーとWindows Autopilotの互換性の事前確認が不可欠です。
事前に確認することで、無駄な出費や時間のロスを防げます。
Windows Autopilotを導入したPCを転用する際は、デバイスIDを削除してください。
Windows Autopilotには、デバイスIDに基づいて自動設定を行う機能が備わっています。
そのため、デバイスIDが残ったままだと、新しいユーザーがPCを起動したときに古いWindows Autopilotの設定が求められ、混乱を招く可能性があります。
Windows Autopilotの利用をスムーズに行うためには、PCの転用時のデバイスID削除を組織的にルール化しておくとよいでしょう。
この記事では、Windows Autopilotの概要や展開方法、導入メリットを解説しました。
Windows Autopilotを活用することで、従来の展開作業が効率化され、情報システム担当者の負担軽減や一貫したセキュリティ環境の構築を図れます。
Windows Autopilotの利用要件も解説したので、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
また、Windows Autopilotは、以下のページでも紹介しているので併せてご確認ください。