半導体の材料について解説します。半導体はほとんどすべての電気製品に使われている部品ですが、一口に半導体と言っても用途によって求められる性能は異なります。半導体を作るための材料も、性能を決定する一つの要素となります。半導体の材料となる元素は複数あり、どれを選ぶかによって特性が大きく異なります。
半導体の材料として最も知られているのはシリコン(Si)です。シリコンは地球上で二番目に多い元素であり、材料不足に陥りにくいというメリットがあります。また、微細な加工がしやすいことから集積化にも優れており、半導体の材料として利用されることが多いです。
半導体を作るためには、純度99.999999999%(9が11個連なる「イレブンナイン」と呼ばれる)シリコンが必要です。純度を極限まで高くすることができるという点でも、シリコンは半導体の材料に適しているといえます。
ここでは、複数の元素を組み合わせて製造される「化合物半導体」のメリットデメリットを解説します。
半導体は単体元素のみで作られることもありますが、複数の元素を組み合わせて製造するのも一般的です。単体の元素のみで作られた半導体を「元素半導体」、複数の元素を組み合わせて作られた半導体を「化合物半導体」というように呼び分けています。複数の元素を組み合わせることで、より高性能な半導体を作ることが可能であると分かっています。
化合物半導体にすることで大きく分けて以下の4つの利点があります。
一方で、化合物半導体には「加工がしにくい」「コストが高くなる」という二つのデメリットもあります。
より高性能な半導体を作るために、新しい材料に関する研究も盛んに行われています。現在はシリコンが半導体の材料として最も利用されていますが、以前はゲルマニウムが採用されていた歴史があります。そして、次世代の半導体材料として注目されている材料がダイヤモンドです。
ダイヤモンドを用いることで優れた半導体を作れることは理論上分かっており、半導体の材料として採用できないかと以前から検討はされていました。
ダイヤモンドが原料の半導体は、シリコンに比べて約5万倍の電力効率化と約1200倍の高速動作が期待できます。ダイヤモンド半導体が普及することによって生活がより豊かになることは言うまでもありません。しかし、高硬度なため加工が難しいなど技術的なハードルがあり、まだ実用化には至っていないのが現実です。
現在、ダイヤモンド半導体に関する研究が進められており、近い将来、ダイヤモンドを原料とする半導体ができる可能性は大いにあります。
半導体の材料として最も一般的なのはシリコンですが、用途に合わせて複数の元素を用いて半導体を作ることもあります。複数の元素を用いた化合物半導体は元素半導体に比べて優れた特性を持ちますが、一方で、加工の難しさや材料調達にかかる高コスト化が課題となっています。
また、次世代の半導体材料としてダイヤモンドが注目されています。従来の半導体に比べて圧倒的に優れた性能を誇ることが分かっていますが、技術的な課題があり、まだ実用化には至っていません。日々新しい半導体材料に関する研究が行われているので、動向を知り、最新の半導体産業における知見を深めることが、企業の競争力強化につながるかもしれません。