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企業が開発する独自AIについて、概要や活用事例を解説

レンテックインサイト編集部

本記事では、企業が独自のAIを開発する背景やメリット、そして実際に独自AIを活用している企業の事例をご紹介します。

企業独自のAIとは

AIに学習させたデータを元に文章や画像を生み出す、生成型AIが注目を集めています。この技術を用いて、企業が独自のAIサービスを開発する例が増えてきています。

生成型AIは新製品や新サービスの創出に活用され始めており、企業が競争力を維持するためにも重要な施策の一つとなっています。カスタマイズが可能なAIアプリケーションは巨大なビジネスチャンスを秘めており、AIベンダーは企業向けにさまざまなプラットフォームを提供しています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業ほど、AIに対する投資意欲が高まっています。他社のAIツールを利用するだけではなく、自社で独自AIを開発して競争力強化を図る企業も存在します。Azure OpenAI ServiceやAWSなど、機械学習の自動化に関するプラットフォームが登場し、自前のデータを活用して独自AIを開発するケースが増えてきています。

AI開発を目的としたプラットフォームやツールの進化によって、導入のハードルは下がりつつあります。そのようなプラットフォームでは、学習データの作成からモデルの開発、保守までの一連のプロセスをカバーする機能が充実しています。

独自AIを活用する企業の事例

独自のAIを開発し、自社のサービスに導入する企業は増えてきています。近年の傾向として、Azure OpenAI Serviceのようなプラットフォームを基盤としながらテキスト生成型AIのChatGPTなどを活用し、独自のAIアプリケーションを開発する事例が増えています。

みずほ

株式会社みずほフィナンシャルグループは30年以上前からAIの研究開発を進めており、人工知能「ATHEUS」を開発しました。AI導入や概念検証(PoC)、AI研究開発、データ活用支援、人材育成など、AI活用に関する課題解決サービスを提供しています。最近では、近年注目を集めるGPTをはじめとした、さまざまな生成AIの活用支援サービスも始めています。

また2023年4月14日に、DX推進による業務効率化や価値創出を目的として、Azure OpenAI Serviceの活用検討を開始したと発表しました。具体的な利用イメージとしては、稟議書や契約書の作成サポート、社員からの照会対応、金融に関するデータ収集などが想定されています。

パナソニック

パナソニックホールティングス株式会社では、AI技術をエアコンやロボット掃除機などの家電、オフィスや空港ゲートの顔認証、多言語音声翻訳サービスなどに活用しています。

パナソニックの子会社であるパナソニックコネクト株式会社は、Azure OpenAI Serviceを活用したAIアシスタントサービス「ConnectGPT」を国内全社員向けに導入すると発表しました。さらにConnectGPTをベースに全社員向けの環境を構築し、「PX-GPT」としてパナソニックグループの国内全社員に展開しました。

Benesse

株式会社ベネッセホールディングスでは、Azure OpenAI Serviceを活用して独自の社内AIチャット「Benesse GPT」を開発し、グループ全社員に提供すると発表しました。AIチャットを活用して業務効率化や新商品開発の検証に用いる計画です。入力した情報が二次利用されない仕組みを整え、社員が安心してAIチャットを試せる環境を構築しています。

Siemens

Siemensは製品ライフサイクルの管理用ソフトウエア「Teamcenter」を、TeamsやAzure OpenAI Serviceの言語モデルと統合すると発表しました。音声データから要約レポートを自動生成するなど、生産工場向けのソフトウエア開発や品質検査などに活用し、自動化と運用を強化します。

またAIチャットサービスをPLC(プログラマブルロジックコントローラー)のコード生成に活用しています。生産現場においては、カメラで撮影した画像をAIで分析して欠陥を早期に検出するような取り組みも行っています。

独自AIで他社との差別化を図る

企業が独自のAIアプリケーションを開発し、業務に活用する事例は日々増えています。特に近年は、ChatGPTのようなテキスト生成AIが注目され、Azure OpenAI Serviceを通じてChatGPTを活用する動きも見られます。各企業が保有するデータを活用したり、セキュリティを考慮した上でのAIチャットサービスを提供したりする企業も登場しました。自社の価値を高めるために、どのようにAIを活用できるか一考することが求められるでしょう。

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