本記事では海外の企業がAIを活用して提供している最新のサービスについてご紹介します。ChatGPTの登場をきっかけに、各社が独自のAIモデルやジェネレーティブAIの開発に力を注いでいます。
AIチャットボットのChatGPTに対抗する形で、複数の企業が独自のAIモデルやチャットボットの開発・提供に乗り出しました。ChatGPTと差別化した機能を取り入れるなどして、熾烈な競争が繰り広げられています。
テスラやスペースXの創業者で、ChatGPTの開発元であるOpenAIの共同創業者のイーロン・マスク氏は、独自のAIチャットボット「TruthGPT」の開発を進めていると発表しました。マスク氏は、このTruthGPTが宇宙の本質を理解するAIとなることを目指しています。
同氏は、既存のAIツールが政治的にバイアスを持つ可能性についても懸念を示しています。そこでAIに特化した新企業「X.AI」を設立し、OpenAIやGoogleに対抗する新たなプラットフォームを生み出そうとしています。
AmazonはAWS(Amazon Web Service)のサービスの一つとして、ジェネレーティブAIベースのアプリケーションを構築・拡張できる「Amazon Bedrock」を発表しました。ユーザーは自身が持つデータの内容に応じてモデルを選び、AWSのツールや機能を使ってアプリケーションにAI機能を統合できます。さらに、多言語テキスト生成や、テキストから画像生成するStable Diffusionも利用可能です。現在は限定プレビュー版が提供されていますが、今後はより広範囲に提供していく予定です。
アリババクラウドは大規模言語モデル「通義千問(Tongyi Qianwen)」を発表し、現在は中国の一般企業向けにベータ版を提供しています。今後はアリババグループが提供するコミュニケーションプラットフォームのDingTalkや、IoTスマート家電を提供するTmall Genieに導入する予定です。
通義千問は、クラウド上で各企業が自身のニーズに合わせてカスタマイズしたAIモデルを構築できます。近日中には、画像理解やテキストから画像への変換を含むマルチモーダル機能が近日中に追加予定とされています。
自社が提供するサービスに対して、新たにジェネレーティブAIを活用した機能を搭載する企業も増えてきました。ユーザーにとっての使い勝手が向上したり、これまでにない顧客体験を提供したり、といったメリットが生まれています。
Adobeは、AI画像生成ツール「Adobe Firefly」のベータ版をリリースしました。このツールでは、画像販売プラットフォームのAdobe Stockで保有するコンテンツや、著作権の失効した画像を学習したAIモデルを使用しています。これによりアーティストやブランドの著作権や知的財産権を侵害せずに商用利用が可能です。また、Fireflyが生成した画像から得られる利益を、学習元の画像を提供したクリエイターに分配する仕組みも計画されています。
車載アシスタント機能「Cerence Car Knowledge」を提供するCerenceは、ジェネレーティブAIを利用してドライバーのサポート機能を強化しました。ドライバーが質問したり、状況を説明したりすると、Cerence Car Knowledgeはユーザーマニュアルや文書、センサー情報などを基にした適切な回答をドライバーに提供します。
写真共有アプリケーション「Snapchat」は、ジェネレーティブAIを利用したARレンズを発表しました。「Cosmic Lens」と名付けられたこのARレンズは、ユーザーの姿をアート調に変化させ、周囲に輝く星のようなエフェクトを展開します。さらに、撮影した写真や動画を認識し、適切なレンズを推薦する機能も導入されています。
独自のAIモデルやチャットボットの開発、また自社サービスへのジェネレーティブAIを活用した新機能の追加といった動きが増えています。これにより、さまざまな分野にAI技術が浸透し、私たちの身近な存在となりつつあります。AIを活用した各種サービスを積極的に利用してみることで、その可能性をより深く理解できるでしょう。これからの動向に注目してみてはいかがでしょうか。