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半導体の品質管理で重要な「信頼性」とは

レンテックインサイト編集部

半導体はほとんどの電化製品に使われている、なくてはならない電子部品です。半導体の品質を担保するためには、部品としての使いやすさや信頼性、安全性、環境性などを評価しなければなりません。

特に品質管理の観点では、半導体の信頼性が重要視されます。信頼性評価とは製品が一定期間正しく動作することを保証するための評価方法です。

本記事では、信頼性評価の概要と故障の分類、信頼性試験の方法について解説します。

信頼性とは?

信頼性とは製品の品質を表す特性の一つで、故障のしにくさを表しています。日本産業規格(JIS)によると、信頼性とは「アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たすことができる性質」と定義されています。
半導体デバイスは修理が不可能な場合がほとんどで、製品の故障や破損のしにくさが信頼性とみなされます。半導体デバイスが、一定の期間において自身の役割を果たすことができることを担保するものとして信頼性評価があります。

故障の分類

信頼性を語るために必要な「故障の種類」について解説します。

故障とは規定の機能を失うことをいいます。故障の種類はそのタイミングによって大きく下記の三つに分類されます。

  • 初期故障

    初期故障とは一般的に、市場に製品として出荷されてから1年間の期間に起こる故障のことを指します。材料欠陥や設計ミスなどによって起こるとされています。

  • 偶発故障

    偶発故障は、初期故障期間を過ぎてから使用想定年数までの期間の故障をいいます。この期間は故障する確率が低下することが知られています。

  • 摩耗故障

    摩耗故障は使用想定年数を過ぎ、摩耗や劣化によって起こる故障を指しています。この期間に突入すると故障する確率も上がります。

故障率を表すグラフとしてバスタブカーブ(故障率曲線)があります。バスタブカーブは横軸を時間、縦軸を故障率として表現します。初期故障期間には故障率が高くなりますが、偶発故障期間に近付くにつれ、減少します。摩耗故障期間に突入すると再び故障率が高くなっていく傾向にあります。グラフを書いたとき、バスタブのような形になることからそう呼ばれています。

半導体における信頼性試験の種類

ここからは、半導体の信頼性を評価するための試験について解説します。

信頼性試験にはいくつかの種類があります。半導体の信頼性試験では加速試験を行うことが一般的です。加速試験とは半導体を過酷な環境下において、意図的に劣化を進める試験のことです。短い時間で半導体デバイスの消耗を見ることが可能なため、使用想定年数を待たずして品質を評価することができます。ここではよく利用される加速試験の種類をご説明いたします。

高温/低温動作試験

高温/低温動作試験は高温または低温の環境にて半導体デバイスを連続動作させる試験です。この試験では半導体デバイスを構成する素子であるトランジスタの動作異常やデバイスから出力される電圧(電流)などの特性に変動がみられるかを確認します。

温度サイクル試験

温度サイクル試験は、半導体デバイスを高温と低温の温度下に交互にさらし、温度変化によるストレス耐性を確認する試験です。熱で半導体デバイスが膨張したり収縮したりすることによって生じる不具合も観測します。

高温高湿バイアス試験

高温高湿バイアス試験は高温で高湿度の環境下に半導体デバイスを置き、水分による金属の腐食がみられるかを確認する試験です。温度設定によって実使用環境での性能を評価することも可能です。

静電破壊試験

静電破壊試験は、半導体デバイスや人体の帯電による静電破壊についてシミュレーションする試験です。
静電破壊とは静電気によって半導体が損傷することをいいます。半導体は微細な電気が流れるだけでも故障の原因となります。

振動/衝撃/落下試験

振動/衝撃/落下試験は、半導体デバイスに物理的なエネルギーを加えて評価する試験です。
半導体デバイスは最終的には製品に組み込まれた形で出荷されるため、その環境も再現して試験を行う必要があります。輸送中や使用中に受ける振動や衝撃に対する耐久性を評価します。

半導体の品質を維持するためには信頼性評価が必要

本記事では半導体製品の品質を維持するために欠かすことができない信頼性評価について解説してきました。

信頼性とは半導体の壊れにくさを表す指標です。信頼性を評価するために信頼性試験を行います。信頼性試験は加速試験が一般的で、その試験の種類は複数あります。

今回は半導体にフォーカスして信頼性の解説をしてきましたが、半導体に限らず、すべての製品には信頼性が必要です。ものづくりに関わる方なら信頼性に関する知識を習得しておくと役に立つかもしれません。

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