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新品のような中古PCが手に入る?!PCの高い品質を維持する技術力とは~東京技術センター訪問レポート~

レンテックインサイト編集部

IT Insight 新品のような中古PCが手に入る?!PCの高い品質を維持する技術力とは~東京技術センター訪問レポート~

(左から)技術本部 技術二部 ICT機器チーム チームリーダー 宮川健太郎さん、ICTサービスチーム 小栗紫乃さん、技術本部 技術二部 部長 兼 商品管理部 部長 吉澤克彦さん

東京・町田市にあるオリックス・レンテック東京技術センター(以下、技術センター)では、膨大な数のレンタル品を1台1台個品管理し、徹底した品質管理を実施することで、法人向けレンタル事業を支えてきました。また、レンタル品として【適正な期間】利用された高品質で優良な中古PCの販売を行っており、ここでも技術センターが重要な役割を担っています。

高品質のPCを提供するために、どのような工夫をされているのか、技術本部 技術二部長 兼 商品管理部長 吉澤克彦さん、技術二部 ICT機器チーム チームリーダー 宮川健太郎さん、技術二部 ICTサービスチーム 小栗紫乃さんに伺いました。

有資格者が数多く在籍する技術センター

 技術センターでは、ICT機器をはじめ、測定器や次世代ロボット、ドローンなどの法人向けレンタル品を、お客さまに安心してご利用いただくために、徹底した精度管理を実施しています。

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効率的な工程で検査できるようレンタル品を配置することで、圧倒的な数のレンタル品の運用を実現。

PC、タブレット、スマートフォン、プリンタ、サーバ、ネットワーク機器など、ICT機器全般を担当しているのが、技術二部です。
お客さまは法人で、ビジネスの現場で使用されることから、高度な品質レベルを求められます。その要求に応えるべく、日々緊張感を持って取り組んでいます。

「ICT機器は1980年代から取り扱っています。」と語るのは、技術二部長の吉澤克彦さんです。

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「製品の特長を見極めながら、さまざまなメーカーの製品を幅広く取り扱っています」
技術本部 技術二部長 兼 商品管理部長 吉澤克彦さん

1996年にオリックス・レンテックはHP(ヒューレット・パッカード)製品の販売代理店となりましたが、販売免許を取得するためには2人以上が認定資格(HPE Certification and Learning)を取得する必要がありました。そこでオリックス・レンテックで最初に資格を取得したのが吉澤さんです。当時この資格を持つ技術者がいる企業は全国で4社のみだったほど難易度の高い資格だそうです。

HPの認定資格については、資格の取得が難関であるのに加え、一度資格を取得したとしても、最新の知識とスキルの維持を目的に、再受験し合格する必要があります。資格を維持することも年々難しくなっている中、現在も技術センターには資格保持者がおり、当時からゴールドパートナーとしての地位を保持しています。

HPの認定資格以外にも、DELL・レノボ・HPの修理資格を持つ技術者が在籍しており、メーカーを問わないマルチベンダーとしての強みを発揮しています。

中古PCの高い品質は入荷前のブランドニュー処理が決め手

オリックス・レンテックが取り扱う中古PCの人気の秘密は、法人向けの高品質なレンタル品を対象としていることです。

もともと品質管理が徹底されたレンタルPCを、さらに新品に限りなく近いレベルを目指して検査し販売するため、高品質の中古PCを提供することができます。

また、中古PCの中でも、ほぼ新品に近いPCも販売しています。オリックス・レンテックでは、PC-LCM(ライフサイクルマネジメント)という、お客さまのPCを導入から廃棄まで管理・運用業務の全般をサポートするサービスを提供しています。この契約ではレンタル品が故障した場合に、同じ型番のPCを代替機として運用するため、一定台数を技術センターで保持しておきます。

予備機は一度も使用されない場合もあり、その新品同様のPCが中古として販売される場合もあります。「高レベルで検査されていることに加え、新品同様のPCが手に入る可能性があることも魅力の一つです」(吉澤さん)。

なぜ法人向けのレンタル品は品質が高いのでしょうか。「レンタル品として機器を仕入れる前にまず行う『ブランドニュー処理』が品質を高める第一歩です。」と語るのはICT機器チームリーダーの宮川健太郎さんです。

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「業界でも類を見ない自社独自のツールでブランドニュー処理やリファービッシュ処理を行うことで品質を高めています。」
技術本部 技術二部 ICT機器チーム チームリーダー 宮川健太郎さん

ブランドニュー処理とは、まず先行して数台購入し、技術センターで1週間ほど時間をかけてチェックをする作業のことです。

ブランドニュー処理では、ハードディスクのイメージを取得し、BIOSの各種設定を一つ一つ調べてデータ化します。その後、基本ソフト(OS)を実際に起動してインストールされているソフトを記録し、画面がどのような状態なのかを画像で保存します。さらにどこにメモリを組み込めばよいのか、どういったアクセサリが添付されているかなど、漏れなく画像で記録しておきます。

こうして型番ごとの詳細な情報と、検査の際の手順を管理することで、常に一定の品質管理が徹底できるようになり、中古PCとして販売するまで高い品質を保つことができるのです。

東京技術センターでは約140名(アルバイトを除く)の従業員が作業をしており、内製化することで知見をためて品質レベルを一定に保ち、品質向上に努めています。詳細まで記載された手順書があることで、経験の浅い人でも高いレベルで検査することができます。

「こうした厳密な検査の結果、時にはメーカーでも気づかないようなトラブルを検出することがあります。」(宮川さん)

3度にわたる徹底的な清掃と厳密な外観チェックで品質を確保

こうした作業を経て提供されたレンタル品が、技術センターに返却された後、次のお客さまにお届けするためにリファービッシュ処理が施されます。

リファービッシュ処理とは、レンタルから返却された機器を検査して、新品に近い状態に戻す作業です。

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技術本部 技術二部 ICTサービスチーム 小栗紫乃さん

「新品に近づけるだけでなく、品質を均一にすることも大切にしています。」と語るのがICTサービスチームの小栗さんです。

レンタル期間中にPCにはさまざまな変更が加えられています。そのためハードディスクのデータを消去して、工場出荷時に戻すためOSを再度コピーします。

また、お客さまがメモリを追加したり、マウスを取り換えたりする場合もあるため、必ずPCのふたを開けてメモリスロットを確認し、アクセサリについても一つ一つ手順に従って確認していきます。

さらに、返却されたPCを徹底的に掃除します。レンタル品が技術センターに戻った直後にエアダスターでほこりを取り払います。デスクトップPCのキーボードは清掃ブラシを使ってほこりをすみずみまで落とします。その後、特殊な布を使って丁寧に水拭きします。それでもまだ汚れているところがあれば、溶剤を使って落としていきます。清掃は3回にわたって行われ、徹底的に汚れを取り除きます。

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エアダスターで埃を取り払う作業です。埃が飛び散って他の製品に付着しないように、ビニールのボックスの中で一つ一つ徹底的に埃を取っていきます。

「筐体(きょうたい)についた傷も詳細に検査します。基準をわずかでも上回る傷がついている場合は、中古販売の対象外となります。」(小栗さん)。

圧倒的な保有台数で、中古PCの豊富なバリエーションを実現

「最大の強みは圧倒的な保有台数です」と吉澤さんが語るように、オリックス・レンテックの総保有資産は180万台を超え、そのうちPCは約半分を占めます。技術センターでは1万台近く保管できる自動倉庫を擁しており、1日の出荷台数は1000台を超えます。

「選挙をはじめ大きなイベントの際など、大量な台数のオーダーにも対応しています。数千台から1万台を超える台数のPCを提供することもあります。これだけの台数を手配できるのは当社しかありません」(吉澤さん)。このようなPCが返却後に中古PCとして販売されるという点も魅力の一つでしょう。

また、メーカーと連携した品質向上にも取り組んでいます。例えば、あるメーカーとは月1回品質会議を開催し、トラブル情報や最新のアーキテクチャの情報を共有し、検査の現場だけではなく、上流の工程から品質改善に取り組んでいます。

一口に中古PCといっても、検査によって品質に大きく差が出ることが工場を訪問するとよく分かります。メーカーと共に取り組む品質に対するあくなき追求が、中古PCの可能性を最大限に広げているといえるでしょう。

「今後も当たり前に安心して使ってもらえるよう、あらゆる面からお客さまの満足度を追求していきます」と吉澤さんは締めくくりました。

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