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サイバー保険とは?サイバー攻撃のリスクと補償内容を解説

レンテックインサイト編集部

昨今増え続けているサイバー攻撃に対する備えとして、サイバー保険が注目を集めています。本記事では、サイバー攻撃による事故の内容およびサイバー保険の補償内容について解説します。サイバー攻撃への対策の一つとなりますので、ぜひ参考にしてください。

サイバー保険とは

サイバー保険とは、サイバー攻撃やサイバー事故により発生した損害を補償するための保険のことです。主に第三者に対する損害賠償の費用や、サイバー事故の対応に関する費用などを補償する内容となっています。

日本国内におけるサイバー攻撃関連通信の件数は、2018年の2169億件から2021年の5180億件へと過去3年で約2.5倍に増加しました。それに伴いサイバー保険の市場規模も拡大しており、世界市場に関する調査によると2022年には1.7兆円に達し、2027年には4.1兆円に達する見込みです。サイバー攻撃は年々巧妙になっており、新たな攻撃手法も次々と登場しています。そのため多くの企業が対応に追われており、セキュリティ対策の一つの方法としてサイバー保険の導入を進めています。

サイバー攻撃による事故内容

サイバー攻撃によって発生する可能性のある事故の内容について解説します。ここでは代表的な三つの事故を取り上げますが、いずれもサイバー保険の補償の対象となります。

情報漏洩

標的型メール攻撃などによる不正アクセスや、無料のWi-Fiスポットの利用によるマルウエア感染などが原因で、PC内にある顧客の個人情報や企業の機密情報が漏洩してしまうことがあります。ユーザーに気付かれないまま不正侵入するバックドアを仕掛けられており、知らないうちに情報が盗まれることもあります。

情報漏洩が発生すると顧客や取引先からの問い合わせが多発し、対応に追われることになるでしょう。また企業イメージの低下につながるだけでなく、顧客から損害賠償請求される可能性も考えなければなりません。

データの消失や破壊

コンピューターウイルスや自己増殖するワームに感染することで、データの消失や破壊が発生することもあります。一つのPCが感染するだけでなく、Webサイトやメール、USBメモリなどを経由して感染が拡大し、被害が広まってしまうこともあります。

実際にワームに感染したパソコンから送信したメールがきっかけとなり、取引先企業のサーバーのデータが消去されたという事例もあります。またデータは企業にとって貴重な資産であるため、単に金銭的損害が大きいだけでなく、企業のビジネスにとって大きなダメージにもなりかねません。

業務システムの停止

サーバーに大量のデータを送り付けてシステムの稼働を妨げるDoS(Denial of Service)攻撃の被害を受けると、サーバーが処理しきれなくなり業務システムが停止することがあります。複数のパソコンから攻撃を仕掛けるDDoS攻撃、サーバーに大量の接続要求通信を送り付けるSynフラッド攻撃などさまざまな攻撃手法が存在します。

業務システムが停止することがあれば、営業機会の損失や他社への納期遅れなどを引き起こしてしまうでしょう。システム障害の内容によっては社会に及ぼす影響が甚大になる可能性もあり、早急な対応が求められます。

サイバー保険の補償内容

サイバー保険は、サイバー事故により発生するあらゆる費用に対して包括的に補償する内容となっています。サイバー保険を導入することで、どのような補償が得られるか解説します。

損害賠償費用

個人情報の流出や他社のデータの消失などの情報漏洩により発生した、損害賠償責任にかかる費用を補償します。海外で発生した損害賠償請求に対してカバーする保険もあるため、海外の顧客が存在する場合は検討するとよいでしょう。損害賠償費用の支払い限度額の例を挙げると、1事故あたり10億円程度が目安です。

事故対応に関する費用

サイバー事故の対応として発生した各種費用を補償します。具体的には事故の原因調査やコールセンターの設置、記者会見、再発防止の実施に関する費用が対象です。実際にサイバー事故が発生していなくても、事故の可能性があった際の調査費用も補償対象となる保険もあります。支払い限度額の例としては、1事故あたり1億円程度が目安です。

システム停止に関する費用

IT機器の機能が停止し、ネットワークなどコンピューターシステムが中断することで発生した利益損害、営業継続費用を補償します。支払い限度額の例は、1事故当たり1億円程度が目安です。ただし保険のプランによってはオプション扱いになっている場合もあるため、補償内容や金額を確認して検討するとよいでしょう。

サイバー保険はサイバー事故による被害を包括的に補償

サイバー攻撃の増加に伴い、損害賠償費用や事故対応費用を補償するサイバー保険の需要が高まっています。ひとたびサイバー事故が発生すると、会社の信用が失墜するだけでなく、対応に手間がかかり金銭的被害も大きくなる可能性があります。

サイバー保険に加入するとサイバー事故による損害に対する補償が受けられるため、加入する企業が増えており市場規模も拡大しています。保険プランによって補償内容が変わるため、リスク管理の一環として比較検討してはいかがでしょうか。

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