本記事ではNAND回路が論理回路設計においてなぜ重要となるのか、また、論理素子それぞれの働きとNAND回路ですべての論理素子の動作を表現する仕組みを解説します。
我々の身の回りに溢れているデジタル機器には論理回路が組み込まれています。論理回路は複数の論理素子が組み合わさって構成されていますが、論理回路を構成するための素子として重要なものにNAND回路があります。NAND回路を用いることで、他の論理素子の動作も表現でき、コストパフォーマンス高く回路を構成できるメリットがあります。
論理回路とは、デジタル回路を構成するための部品の一つです。パソコンに組み込まれているCPUやメモリなどにも論理回路が使われています。単純な論理演算を行う回路を複雑に組み合わせることで、目的とする処理が実行できるようになります。
論理回路は身の回りのあらゆるデジタル機器に利用されています。どのように利用されているのかを電子レンジを例にして説明します。
ほとんどの場合、電子レンジは、レンジ内に温める対象物が置かれている、かつ扉が閉まっているときにのみ動作するように設計されています。これは誤動作による事故を防止するためです。
対象物が置かれているときを1、置かれていないときを0、そして、扉が閉まっているときを1、扉が閉まっていないときを0とすると、いずれも1になるときのみ電子レンジを動作させることで安全に温めることができます。この判断を行うのが論理回路です。
論理素子にはいくつかの種類があり、それぞれで動作が異なります。ここでは論理素子の種類と、それぞれの動作について解説します。
論理回路を製作する際には、NAND回路を利用して構成することが一般的です。その理由は大きく分けて二つあります。
それぞれについて解説します。
NAND回路で他の素子の動作をすべて表現できます。
NAND回路の入力A,Bに対して同じ入力を入れるとNOT回路の働きをします。
NAND回路の出力に上記のNOT回路を接続することでAND回路の動作となります。
NAND回路への入力を、上記のNOT回路でそれぞれ反転させて入力することでOR回路と同じ動きをします。
また、NOR回路、XOR回路に関してはNOT回路、AND回路、OR回路のみで表現できるため、これらもNAND回路で表現できることが分かります。
NAND回路のみですべての素子の動作を表現できるということは、他の素子を入手する必要がなく、部品の過不足が生じないメリットがあります。
論理回路はトランジスタで構成されています。トランジスタとは信号を増幅したり、切り替えたりすることができる半導体素子です。
NAND回路は他の素子と比べて、トランジスタの使用個数が少ないです。それによりトランジスタの使用個数が少ないことで、製作のコストが低くなるメリットがあります。
論理回路は身の回りのあらゆるデジタル機器で利用されている部品です。そして論理回路を構成する論理素子にはいくつかの種類がありますが、それらの動作はすべてNAND回路で表現できます。NAND回路を利用することで、デジタル機器を作るのに欠かせない論理回路をコストパフォーマンス高く製作することが可能となります。
回路設計を行う際には製作コストをなるべく減らす事、そして省スペース化を意識して実施すると良いでしょう。