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サプライチェーンのリスクが注目される背景とは?
レンテックインサイト編集部
本記事ではサプライチェーンがどのようなリスクを抱えているのか、そしてなぜサプライチェーンリスクが注目されるようになったのかについて、ご紹介します。
グローバル化が進み、企業間の分業が進んだ現在、サプライチェーンは企業活動に欠かせないインフラとなっています。一方で、企業活動に不可欠であるということを逆手に取り、サプライチェーンを脅かすことで不当な利益を得ようという悪質な活動も世界中で確認されています。
サプライチェーンとそのリスクについて
サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの一連の流れを指す言葉です。それぞれのプロセスがチェーン(鎖)のように結びつき合い、サプライ(供給)という一つの目的を達成していることから、サプライチェーンと呼ばれています。
サプライチェーンは非常に多くのプロセスによって成り立っており、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費と、とても一つの企業で管理できるようなものではありません。今ではサプライチェーンを複数の企業が関与し合うことで維持し、それをサービスとして企業が利用することで、高度かつグローバルな供給網を形成しています。
そしてサプライチェーンリスクは、サプライチェーンの脆弱性を突いた攻撃によって、企業が深刻なダメージを受けることを想定したものです。
サプライチェーンが抱えるリスク
サプライチェーンに問題が発生することによって、企業は複数のリスクに見舞われることとなります。
- 収益性の低下
サプライチェーンに問題が発生した際は、収益性の低下が懸念されます。例えば製造業や小売業で流通網に関するサプライチェーンが被害を受けた場合には、満足な部材や製品を調達できず、生産・販売が滞ってしまうためです。
- コンプライアンス違反
サプライチェーンがサイバー攻撃を受けるなどして被害を受けた場合、個人情報の流出などのセキュリティ上の問題にてコンプライアンス違反につながるケース。
また、サプライチェーンの不法な労働や人身売買へ意図せず関与することによって、重大なコンプライアンス違反に見舞われるケースがあります。
直接事業に関係や被害はなくとも、サプライチェーン上のコンプライアンスに関する問題の影響で、結果的に顧客離れなど積み重ねてきた企業のブランドが失墜するリスクも考えられます。
- ビジネスモデルの崩壊
チェーンへ過度に依存しているビジネスモデルの場合、流通網・供給網が打撃を受けると瞬く間にビジネスモデルが崩壊してしまう可能性もあります。グローバルなEC事業などは市場が拡大傾向にあるものの、高度に効率化されたサプライチェーンによってその価値が保たれており、一度被害を受けると事業の撤退もやむを得なくなってしまう可能性があります。
なぜサプライチェーンリスクが注目されるのか
サプライチェーンリスクが注目を集める背景として、以下の4つの理由が考えられます。複数の潜在リスクを抱えていることから、各企業はこれらの課題に対処することが求められます。
- サプライチェーンへの依存度の上昇
企業活動は今や巨大なサプライチェーンを頼ることが一般化しており、その依存度は上昇傾向にあります。一つでもサプライチェーンが崩壊すると、事業の継続が極めて困難になる会社は少なくありません。
- サプライチェーンの脆弱性を突いた攻撃の増加
サプライチェーンリスクに目をつけたサイバー犯罪組織は、サプライチェーンの脆弱性への攻撃を激化させています。従来よりも依存度だけでなく、その影響も大きくなっているため、適切な対策が求められます。
- 自然災害の増加
世界的な気候変動により、自然災害も増加傾向にあります。グローバル化が進んだ結果、世界各地の異常気象や台風などの発生によって現地の物流網が被害を受けた際に、部材や製品の安定供給に影響が出る場合があります。
- 数多くの外部組織のセキュリティリスクからの影響を受ける
サプライチェーンは複数の企業が複雑に絡み合うことによって成立しているため、そのリスクを単一企業の取り組みだけで小さくすることはできません。サプライチェーンのセキュリティリスクも影響するので、自社の取り組みだけではそのリスクを回避できず、サプライチェーンを構成する企業一社一社にリスクを理解した上で、セキュリティ強化に努めてもらう必要があります。
サプライチェーンが抱えるリスクを正しく理解しよう
グローバル化と分業化が進んだ今では、サプライチェーンに対するリスク管理の重要性が高まっています。サプライチェーンにどのようなリスクがあるのか、そのリスクに注目を集める理由は何かをよく理解し、自社に関係するリスクについても検討を進めるべきでしょう。