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SCADAとは? PLC・DCS・MESとの違いやセキュリティのポイントを解説

レンテックインサイト編集部

スマートファクトリー化の進展の鍵となる、ITとOTの接続。そこで重要な役割を果たすのが、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition:監視制御とデータ取得)システムです。しかし、日本でのSCADAの活用は遅れているという指摘もあります。
そこで本記事では、DX時代においてSCADAに期待される役割や、PLCやDCS、MESとの違い、セキュリティで注意したいポイントについてご紹介します。

SCADAとは? PLCやDCS、MESとの違いは?

まずはSCADAの機能と構成についておさらいしておきましょう。

SCADAの機能は、「情報の取得」「情報の管理」「情報の表示」「設備の制御」「情報の通信」の5つに分けられます。IoTセンサーなどを通してPLC(Programmable Logic Controller:シーケンサ)、RTU(Remote Terminal Unit:遠隔端末装置)といった装置の作動状況、進捗、トラブル状況などを管理し、表示板やタブレット端末などで確認します。SCADAにおける「Control(制御)」は、PLCなどの制御装置を「制御」することを主に意味します(PLCについて詳しくは『PLC(シーケンサ)を基礎から解説 AI・IoTとの組み合わせで発揮される効果は?』をご覧ください)。情報を一元管理し、各装置を統合管理・制御できるのはスマートファクトリーにおけるSCADAの大きなメリットといえるでしょう。

「DCS(Distributed Control System:分散制御システム)」も複数の設備の制御を一画面で管理するという点では似通った点があります。しかし、DCSはその名の通り、設備が止まらない分散環境の構築を目的とする制御システムであり、工場全体の情報の取得・価値が生まれた当初より中心的価値に据えられているSCADAとはそもそもの役割が異なります。

また、製造工程の策定や管理、工程の最適化に特化したMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)は、設備・機器の情報だけでなく、スケジュールや人の管理も含めたより幅広くとらえた製造工程全体を管理するためのシステムです。

日本のSCADA導入が遅れていると言われる理由

工場における情報システムネットワークのリファレンスモデルとして権威あるISA95は、ものづくりの各業務をレベル0~レベル4までの5段階で階層化しています。
SCADAはその中でも中間のレベル2あるいはレベル3の階層に位置づけられ、MESに代表される製造プロセスや人・モノといった資源全体の管理と、PLCやRTUによる個々の設備、機器の管理をつなぐ役割を与えられます。

日本の生産現場では、両者をつなぐ役割を長年現場の工員が担当しており、MESの指示をプリントアウトして直接PLCにパラメータ設定する、といった状況が常態化していました。現場の優秀さがなせる状況ですが、それによって日本の製造現場のデジタル化が遅れた側面も否定できません。

先の説明を読み、SCADAの特色は情報の管理とも制御とも表示ともつかず、いまいちはっきりしないと感じられた方もいらっしゃるでしょう。しかし、それもそのはず。SCADAは生産計画・資源の管理層(IT)と物理的なプロセスのモニタリング・制御層(OT)の中間に位置し、両者をつなぐ役割を担う“中間管理職”のような存在の業務システムなのです。

また、SCADAではこれまでの人間による管理では難しかった、詳細なエラーログや監査証跡の作成が可能になるため、データ活用の可能性も大きく広がります。そのため、温度、圧力、消費電力、人の流れなどさまざまなデータの取得を可能にするIoTとの相性がよく、それも注目度を高めている理由の一つです。

SCADAにまつわるサイバーセキュリティで求められるポイント

SCADAの導入において最も懸念される事項の一つが、サイバーセキュリティでしょう。クローズドなOT環境をITネットワークと接続することで大規模インシデントにつながることを懸念する声は多く、また常時稼働が求められるため定期的なパッチ適用が難しいなどOT特有のセキュリティに関する課題も存在します。

そんな中でSCADAに対するセキュリティは、ファイアーウォールや暗号化はもちろんのこと、「サイバー攻撃はある」ということを前提にしたIDS(Intrusion Detection System:不正侵入検知システム)による常時監視・記録やRBAC(Role Based Access Control:ロールベースアクセス制御)など複数の対策の組み合わせを必要とします。

まずはリスクアセスメントを実施し、セキュリティの対象となる資産を洗い出しましょう。SCADAのスコープを定めデータフローを策定する時点から、明文化する事項にセキュリティも組み込むことが求められます。

導入成功のポイントは、SCADAで解決できる課題の抽出

スマートファクトリー化、DXの進展とともに注目を高めるSCADAとは何か、その機能と注意したいポイントについて取り上げてまいりました。SCADAの導入を成功につなげるポイントとして、まず取得したいデータや制御したい設備のスコープを絞り、小さな規模から仮説を成果につなげることが挙げられます。自社において、SCADAで解決できる課題をまずはリストアップしてみましょう。

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