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Windows 7 / 8.1 サポート終了による製造業におけるリスクと対応

レンテックインサイト編集部

IT Insight Windows 7 / 8.1 サポート終了による製造業におけるリスクと対応

画像素材:Unsplash

IT環境やOT環境で広く利用されている「Windows 7 / 8.1」のサポートが、2023年1月10日に終了しました。また、Windows 7 / 8.1以外にも、サポート終了が迫っている製品があります。

Windows製品と上手に付き合えるように、製造業におけるWindows製品の位置付け、サポート終了製品を使い続けるリスクとその対応などを解説します。

Windows製品のサポート終了時期

Windows8.1のサポートが終了してしまいましたが、今なおWindows8.1を使っている環境では早急な対応が求められます。また、Windows7などのESU提供終了や、バージョンによってはWindows10もサポート終了が迫っています。

2023年1月10日をもってWindows8.1のサポートが終了

マイクロソフト社によるWindows8.1のサポートが2023年1月10日に終了しました。 Windows8.1は、2013年に提供開始されたOS(オペレーティングシステム:基本ソフト)で、Windows7、8の後継バージョンとして普及しました。両バージョンからWindows8.1へは、期間限定ではありますが、無償でバージョンアップができました。

その後、2015年7月にWindows10が提供開始されたときには、Windows7、8.1から無償でバージョンアップできましたが、こちらは2016年7月に終了しています。

2023年1月10日をもってWindows7などのESU提供も終了

同日をもって、2020年1月14日のサポート終了から3年が経過した製品のESU(Extended Security Updates、拡張セキュリティ更新プログラム)の提供も終了します。

対象の製品は、Windows7、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2です。

Windows10もバージョンによってはサポートが終了

多くの人がまだ新しいと思い使っているWindows10にも、バージョンによってはサポート終了が迫っています。

Windows10のバージョン20H2は2022年5月10日、21H1は2022年12月13日、21H3は2023年6月13日、それぞれの日をもってサポートが終了します。
※Windows 10 Version 20H2 (Enterprise、Education、および IoT Enterprise) は、2023 年 5 月 10 日にサービス終了となります。


バージョンの確認手順は次の通りです。

  1. 「Windowsマーク」をクリックします(Windowsマークは通常は画面左、タスクバー上にあります)。
  2. 次に「設定」をクリックします。
  3. 「Windowsの設定」が表示されるので、「システム」をクリックします。
  4. 表示された項目の最も下にある「詳細情報」をクリックします。
  5. 「Windowsの仕様」の「バージョン」という欄に書かれた英数字が、該当するバージョンです。

製造業におけるWindowsの重要性

製造業に限らず、今の社会において、ITは欠かせない存在になっています。IT環境で使われるOSはさまざまですが、従業員が使うパソコンを中心に、Windowsは幅広く使われており重要な存在です。

製造業では、OT環境でもWindowsが使われていることが増え、重要性が増しています。かつては独自のOSを利用した制御システムが多かったのですが、コスト削減を理由に汎用的なOSであるWindowsが使われることが多くなりました。

また、OT環境は、企業内や拠点内のみのクローズドな環境で使われることが多かったのですが、ほかの機器との連携、インターネットなど外部システムとの連携などを目的に、Windows製品の採用が増えています。一方で、IT環境と比較するとWindowsの存在を認識する場面が少ないため、詳細なバージョンを把握できていない恐れがあります。

サポート終了製品を使い続けるリスク

Windows製品には必ずサポート期間が存在します。サポート終了期間を過ぎてもなお製品を使い続けるリスクには、どのようなものがあるでしょう。まず、セキュリティリスクが高まることが考えられます。また、新しいアプリケーションや周辺機器が使えなくなるリスクも考えられます。以下ではこれらのリスクについて解説します。

セキュリティリスクが高まる

サポートが終了したWindows製品を使い続けるリスクとして、まず考えられるのが、セキュリティリスクが高まることです。

サポート終了以降は、セキュリティ更新プログラムが提供されません。セキュリティ更新プログラムは、発見された脆弱性などに対応するためのものなので、その更新がされないということは、脆弱性に対応できないということになります。

IPA(情報処理推進機構)によると、2021年7月から2022年6月末までの1年間で報告されたWindows8.1の脆弱性は329件でした。そのうち、26%に該当する86件が「レベルⅢ:危険」に分類されるものでした。

脆弱性の中には、実際にランサムウエアに悪用された事例もあります。環境が合致すれば、サイバー攻撃を受けるリスクが高まります。

新しいアプリケーションや周辺機器が使えなくなるリスク

Windowsで動くアプリケーションや周辺機器は、サポート期間中のOSを前提に作られています。そのため、サポートが終了したWindowsを使い続けていると、新しいアプリケーションや周辺機器が使えない恐れがあります。

また、問題なく使い続けているアプリケーションでも、Windowsのサポート終了に合わせて、そのアプリケーション自体のサポートが終了することも考えられます。この場合、アプリケーションの修正版も提供が終了されることが考えられるため、脆弱性に対するリスクが高まります。

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Windows製品サポート終了に関する対策

Windows製品のサポート終了に対しては、どのような対策が考えられるでしょうか。最もおすすめするのが、Windowsの後継のバージョンに移行することです。そのほかには、代替OSに移行することも考えられます。

後継のバージョンや代替OSに移行する

最も推奨される対策は、後継バージョンのWindowsに移行することです。

Windows製品のサポート終了は、全世界的に大きなイベントであるため、後継バージョンに移行するための具体的な方法や手順などの情報は、マイクロソフト社を中心に多くの情報やサービスが提供されるでしょう。

そのほかには、LinuxなどWindows以外のOSに移行することも考えられます。Windowsと比較すると、脆弱性が少なく、サイバー攻撃を受ける可能性が低いと評価する人もいます。

ただし、Windows同士の移行とは比べられないほど難易度が高く、綿密な計画や確認が必要です。また、Linuxでも、脆弱性やサイバー攻撃のリスクはゼロにできません。

移行には綿密な計画が必要

後継のバージョンのWindowsであれ、ほかのOSであれ、OSを移行するには、綿密な計画が必要です。

まずは、アプリケーションや周辺機器が、後継のバージョンで動くかどうかを確認する必要があります。Windowsのサポート終了にあわせて、各社より個別に公表されることが多いですが、必要に応じて問い合わせます。

また、自社で開発やカスタマイズしたアプリケーションなどは、修正や稼働確認が必要です。移行には多くの時間がかかりますので、綿密な計画が必要になります。

さらに、移行に関わる修正や稼働確認などには、新バージョン製品の購入、ベンダーへの発注など予算が必要になります。移行規模が多くなればなるほど予算が大きくなるので、併せて計画が必要です。

Windows製品のサポート終了に合わせた綿密な計画が必要

Windows8.1など2023年1月10日にサポートが終了したWindows製品があります。製造業において、Windows製品の重要度は高く、該当製品を使っている場合には対応が必要です。

サポート終了製品を使い続けることは、脆弱性対策ができず、サイバー攻撃を受けるリスクなどが高まるため、おすすめできません。綿密な計画を立てて、後継のバージョンや代替OSへの移行が求められます。

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