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情報システム部門の社内ヘルプデスク業務を軽減するには?

レンテックインサイト編集部

「Wi-Fiにつながらない」「社内システムが停止した」といったトラブルへの対応、PC・ソフトウエアの設定などの“ヘルプデスク業務”に忙殺される情報システム担当者の方は多いのではないでしょうか。
DX時代、情報システム部門には業務の効率化や変革を先へ進めるにあたって大きな期待が寄せられますが、それも日々の業務に追われていてはままなりません。
本記事では「情報システム部門のヘルプデスク業務」に着目し、その問題点や解決法について考えます。

情報システム部門の社内ヘルプデスク業務はなぜ大変か

適切なワークライフバランスが得られることを期待した、ものづくりに関わりたいなど、情報システム担当者として働くきっかけはさまざまでしょう。
しかし、情報システム部門での社内SEとしての業務では、ベンダーのSEとしての業務よりも“なんでも屋”としての役割が期待されることが多く、想像していた働き方が実現できていないという声も聞かれます。

その理由の一つが、社内で発生する無数のヘルプデスク業務なのです。

ヘルプデスク業務が情報システム担当者にとって負担となる要因は以下の2点です。

  1. 量が多い
  2. 範囲が広い

数分で解決するような軽微な問題でも、社内全体から日々発生するとなると、その分量ははかり知れません。また、経営部門、企画部門、営業部門、製造部門、などそれぞれでシステムのあり方や利用状況は異なり、発生する問題も異なるため、解決に日数や労力がかかるケースもあります。特に社内にほかに頼れる社員のいない場合、ヘルプデスク対応だけで一日の業務時間のほとんどが費やされてしまった、ということもあるでしょう。

また、その大変さのわりに“評価されにくい”のもヘルプデスク業務のつらいところです。企業のIT環境を滞りなく動作させるためのいわば、“守り”の役割を担うヘルプデスク業務は、DXなど“攻め”の役割を期待する経営陣やリーダーから「本質的な業務ではない」とみなされることもあります。情報システム担当者本人にとっても本質的に感じられないならば、やはり軽減に取り組むことは不可欠でしょう。

社内ヘルプデスク業務を軽減するための三つのポイント

ヘルプデスク業務が負担となる要因や問題点についての整理が進みました。
それでは、いかにそれらを解決するかのヒントとなる3ポイントを見ていきましょう。

ナレッジ共有の仕組みと文化をつくる

ヘルプデスク業務の問題点「1.量が多い」の要因の一つに、大小問わず多くの問い合わせが寄せられるという事情があることはすでに述べました。
そこで行うべきなのが、よくある質問・自己解決可能な質問に対し事前にFAQを用意し、問題が生じた際、まずは当事者の社員自身がその情報にアクセスする環境・ルール作りをするということです。

ナレッジ共有の仕組みとしては、社内Wiki、チャットボットなどが代表的で、グループウエアには基本機能として搭載されていることが多く、また無料サービスも多く存在します。

ただし、せっかく用意したナレッジもアクセス・活用されなければ意味がありません。そのため、まずは「どのように社内で利用してもらえる導線・文化を作るのか」から考える必要があります。

社内文化作りは経営や人事にも深くかかわる領域のため、IT部門に留まらず必要な人材をそろえたナレッジ共有チームを組織しプロジェクトとして取り組む必要があるでしょう。

システム部以外も巻き込む

ナレッジ共有の社内文化作りの一つとして、情報ツールの利用とともに促進したいのが「教えあい」です。システムの使い方や問題の解決方法について最もよく知っているのは、それを常日頃活用している当事者です。また、普段人には話していないが、実は趣味などを通してITに精通しているという人も意外と多く存在します。

そうした社内に眠る“助っ人人材”を生かさない手はありません。そのために推奨されるのが、社内の問い合わせ窓口を開かれたものにするということです。例えば、社内でチャット形式のコミュニケーションツールを利用しているならば、全社共有の問い合わせチャットを作成するのが、まず浮かぶ方法でしょう。それとチャットボットを紐づけることで、軽微な質問はロボットに回答を代行させ、それ以外には集合知で対応することが可能になります。

このように問い合わせ窓口をオープン化することで、特定の社員ばかりに負担が偏る、知見が属人化するといった、従来のヘルプデスクでありがちな問題の解決にもつながるはずです。

アウトソースする

社内の人材は自社システムの開発、運用などの業務に専念してほしいといった理由からヘルプデスク業務をアウトソースする企業も増加しています。ヘルプデスク専門の人材を雇用するよりもコストが抑えられる、情報システムの知見をより本質的な業務に振り分けられるなど合理的な場合も少なくありません。

ここで重要なのは、アウトソースする問題のスコープ(範囲)と外注先のサービス内容・料金体系が合致するか事前に検証すること。また、セキュリティインシデントを防ぐためにはNDA(秘密保持契約)を結ぶだけでなく、依頼先の評判や対応体制についても比較検討を一通り済ませることが求められます。

ヘルプデスクの効率化は情報システム以外にも応用可能

ヘルプデスク業務は、社内の業務を円滑に進めるために欠かせない役割です。また、IT関連に留まらず、人事・総務などバックオフィス領域全般で発生する業務でもあります。

先の効率化の3ポイントは「情報システム」にフォーカスしていますが、社内ナレッジ共有を円滑化し、「担当者が答える」だけでなくマニュアルによる自己解決や、実は知見がある社内の人材に頼るという選択肢を増やすという方向性は他分野にも応用可能です。

どうせヘルプデスク業務を軽減するのであれば、情報システム以外にも応用できる領域を切り開き、全体最適につながる仕組みを描きましょう。そのためには、ヘルプデスク業務対応を業務効率化につながる経営課題と捉え、プロジェクト化して対応することがやはり不可欠になります。

一週間のうち、社内ヘルプデスクに何時間使っていますか?

情報システム部門の社内ヘルプデスク業務の問題点を整理し、その解決につながる手法・考え方についてまとめてまいりました。現状それほど改善する必要を感じていないという方も、試しに、一週間のうちヘルプデスク業務にかかっている時間を計測してみてください。データは問題の洗い出しやアウトソースの説得にあたっても大きな武器となります。
そして、今まで見過ごしていた業務のボトルネックを発見するきっかけともなるのです。

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