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ダボス会議で知られる世界経済フォーラムが1000工場の中から選んだ世界最先端な16工場(中編)

レンテックインサイト編集部

 ダボス会議を主宰していることで知られる世界経済フォーラム(以下WEF)は、インダストリー4.0の模範となる最先端の工場16工場を発表。 世界中1000工場の中からヨーロッパ10工場、中国5工場、アメリカ1工場が選出されました。前編の4工場に続き、本稿中編では5工場を紹介します。

⑤フェニックス・コンタクト社のドイツ・バート・ピルモント工場とブロンベルグ工場
- デジタルツインをアフターサービスに活用

 産業用制御機器メーカーのフェニックス・コンタクトのドイツ・バート・ピルモント工場とブロンベルグ工場では、顧客仕様毎に機器のデジタルコピーを作成して修理や交換のための時間を30%削減。 アフターサービスの現場におけるデジタルツインの活用がWEFに評価されました。 工場内の機械や設備はコネクテッドな状態となっており、データが収集、蓄積されます。 そのデータはディスプレイやヘッドマウントディスプレイ端末に送信され、端末の映像の適切な位置に機械や設備の修理のために必要な情報を重ね合わせて表示することで、作業員はリアルタイムで修理に必要な情報を確認しながら修理作業ができます。

⑥プロクター・アンド・ギャンブルのチェコ・ラコナ工場
- WEBベースの分析モデルを使ったサプライチェーンの最適化

 一般消費財メーカープロクター・アンド・ギャンブルのチェコ・ラコナ工場では、WEBベースの分析モデルを使ってサプライチェーンの最適化に取り組んでいます。 サプライチェーン全体のシミュレーションが実行可能となり、俊敏性、応答性が向上し、在庫の過剰や不足を防ぐことが可能となりました。 また市場へ商品を届けるまでのスピードも改善しました。その結果、在庫回転率や顧客満足度が116%向上しました。

⑦シュナイダーエレクトリックのフランスのル・ヴォードライユ工場
- AR技術で工場の機械の状態を可視化

 重電メーカーシュナイダーエレクトリックのフランスのル・ヴォードライユ工場では、工場の全ての機械にセンサーを設置し、AR技術で現場の機械の状態の可視化を実現しました。
センサーから収集されたデータをタブレットなどのディスプレイ端末に送信し、端末の映像に必要な情報(機械の状態など)を重ね合わせて表示します。 作業員は機械のメンテナンスの必要性、エネルギー使用状況などを一目で確認できます。
また、クラウドに蓄積されたデータを分析することでどの機械が問題を起こしそうなのか事前に予知する予知保全を実現し、最適なメンテナンスのスケジュールを立てることができるようになりました。 その結果、点検の時間を30%、メンテンナンスの費用を30%、エネルギーコストを10%削減することに成功し、生産性も7%向上しました。

⑧シーメンス・インダストリアル・オートメーションの中国・成都工場
- 製造工程の大半を自動化

 総合電機メーカーのシーメンスの中国・成都工場は、顧客の注文を受けると同時に生産計画を立ててリソースを配分し、迅速に製造して出荷できる体制を有しています。 工場内の機械はコネクテッドでデータが収集されクラウド上に蓄積されます。 また、特筆すべきは部品にバーコードが埋め込まれている点です。 そのバーコードには「製造工程のどの地点を通過しており、どの機器によってどのような部品が付け加えられる必要があるのか」「完成品はどのような要件を満たすべきなのか」などのデータが入力されています。 機械はこのデータを読み取って自動的に組み立てを実行し、次の製造工程に部品を送ります。 機械が自動的にプロダクトを組み立てるため、人的なエラーが起きづらいうえ注文に迅速に対応できます。 どの顧客向けのどの種類の部品がどこにあるのかを追跡することも容易です。 これにより、100%の品質コンプライアンス、トレーサビリティを実現しています。

⑨ファストラディウスのアメリカ・シカゴ工場とUPS
- 注文、工場での製造、顧客への配送を一元化し「マス・カスタマイゼーション」を加速

 3Dプリンタでプロダクトを製造するファストラディウスと大手運送サービスのUPSは協業し、サービスの一元化を図っています。 顧客がオンライン上で3Dデータをファストラディウスに送信し製造を委託します。 ファストラディウスのアメリカ・シカゴ工場は3Dプリンタで即時にプロダクトの製造を開始します。 製造が完了すると、UPSが12時間~24時間ほどで顧客の元に配達します。 注文、工場での製造、顧客への配送を一元化し「マス・カスタマイゼーション」を加速させる取り組みとして評価されています。

紹介した各工場が生産しているプロダクトは消費財から家電、産業用制御機器などと多岐に渡ります。スマートファクトリー化を進めることで従来の工場よりも生産性の向上、コストや手間の削減に成功している点で一致しています。

前編・中編でWEF選出のインダストリー4.0の模範となる最先端の工場を9つ紹介してきました。残り7工場の紹介は後編に続きます。

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