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新しいQRコード「rMQRコード」が誕生 製造業における活用可能性は?

レンテックインサイト編集部

皆さんは、2022年5月にQRコードの新モデル「rMQRコード」が発表されたことをご存じでしょうか。
rMQRコードと従来のQRコードの違いはその“形状”にあり、配置の自由度が高まることでIoTなど工場での活用しやすさが高まるのではないかと期待が寄せられています。
本記事ではrMQRコードの特徴やメリットを解説するとともに、QRコード全般の活用可能性について紹介します。

新しいQRコード「rMQRコード」 その特徴とメリットは?

従来のQRコードの形は「正方形」に限定されており、その最大サイズは177セル(※)×177セル、最小サイズは21セル×21セルでした。それだけの面積に、数字で最大7,089文字、漢字で最大1,817文字と十分なデータを格納できるのが二次元コードたるQRコードの強みです。ちなみに、発明されたのは1994年のことでした。

その後、よりサイズの小さい「マイクロQRコード」が開発され2004年にJIS化されます。ただし、その最大サイズは17セル×17セル、最小サイズは11セル×11セル、かつ格納できるデータ量は数字で最大35文字、漢字で最大9文字と大きく減少しました。

「rMQRコード」は、「長方形」で、最大サイズは17セル×139セル、最小サイズは7セル×43セルもしくは11セル×27セルです。最大データ容量は数字で361文字、漢字で92文字。QRコードよりも小さい面積に、マイクロQRコードよりも大きなデータ量を格納できるのがrMQRコードだということです。

正方形から長方形といった形の変化やデータ量の増加で、従来のQRコードでは難しかった、細長い形の物品でのデザイン性を意識した利用や、データ量増加により可能となるトレーサビリティの実現といった、両方の観点で期待されています。

例えば円筒形の部品や製品にQRコードを貼り付けるにあたって、QRコードにはアライメントパターンにより高い歪み訂正能力が与えられているとはいえ、不便を感じる場面はありましたが、rMQRコードはそのような状況においても待望の技術といえるでしょう。

※…セル=QRコードの格子状のパターンを構成する白黒のドットの最小単位

QRコードの活用可能性3パターン

ここで視野を広げ、QRコードの活用可能性をさらに深く知るため、QRコードの典型的な活用パターンを最新事情とともに見ていきましょう。

パターン1:原材料・仕掛け品・在庫などの管理を効率化&ミス排除

従来のバーコードをはるかに超える量のデータを高速に読み取れるQRコードを原材料や仕掛け品の管理に用いるのは非常にポピュラーな利用方法といえるでしょう。読み込み端末としてはハンディターミナル・PDAを用いるのが一般的であり、また効率の面からも一日の長がありますが、近年は初期投資を抑えるためスマートフォンが用いられる例も見られます。
紙など手作業による管理に比べて効率が高まることはもちろん、ヒューマンエラー防止につながることもメリットとして挙げられます。

パターン2:リアルタイムデータを利用した生産管理

QRコードを部品・仕掛け品に設置することで得られるデータを生産管理に用いるのも、近年よく見られる事例です。作業の開始・終了時をはじめ作業の各ステップでQRコードを読み取って記録を行うことで生産の進捗状況をリアルタイムで把握できるようになるのです。
適切な効果を得るためには、部品ごとにQRコードを貼付するのか、保管容器や棚に貼付するのかなど、生産工程とコストのバランスを検討しなければなりません。

また工場内機器・設備とITネットワークを接続する際、迅速・セキュアな接続を実現するためにQRコードが用いられる事例もあります。

パターン3:ブロックチェーンと組み合わせ、トレーサビリティを実現

消費者の健康に大きくかかわる食品や、不足を背景に模造品の流通が増加している半導体などあらゆる製品においてトレーサビリティ(追跡可能性)の重要性が高まっています。

そこで注目が集まっているのが、QRコードとブロックチェーン技術の組み合わせ。分散型台帳技術と呼ばれるブロックチェーンによりデータの改ざん可能性を排除することで、トレーサビリティの信頼性が高まり、透明性の高いサプライチェーンを築けることが期待されています。

QRコード、バーコード、ICタグ・RFタグの違い

QRコードと同様に個々の商品の識別に用いられることの多い技術として「バーコード」や「ICタグ・RFタグ」が挙げられます。

バーコードとQRコードの最大の違いはずばり格納できるデータ量にあります。バーコードが格納できるデータ量は数字で20文字程度。QRコードはそもそもその制限を解消するために開発された2次元コードです。またファインダパターンやアライメントパターンなどの工夫により、読み取り速度が高められ、エラー訂正能力を持つのもQRコードの特長です。

ICタグ・RFタグはQRコードやバーコードとは違い、電波通信により情報を読み取れるため、離れた距離かつ一括でデータが読み取れるのが、傑出したポイントです。QRコードやバーコードに比べてコストが大きいことが課題ですが、今後普及を進めていくでしょう。RFIDについて詳しくはコチラの記事をご覧ください。

国産技術であるQRコードに今こそ再評価を

rMQRコードの誕生というトピックを出発点に、QRコードの製造業における活用可能性や、バーコードなど他技術との違いについて解説してまいりました。国産の技術であるQRコードですが、実は他国に比べて日本での利用が進んでいないという話もあります。活用のバリエーションが広がったこのタイミングで、今一度その価値を評価しなおしてみてはいかがでしょうか。

※ QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
※ rMQRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

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