今年で25周年を迎えるVAIOブランド。withコロナの時代に、ノートPC市場も大きな変化を見せている中、VAIO株式会社は大きな方向転換を図っています。VAIO株式会社 法人営業本部 広域営業統括部 統括部長の矢野 勝也氏にお話を伺いました。
新型コロナウイルスの影響もあり、PC市場を取り巻く環境は大きく変化しました。デスクトップPCの市場からノートPCの市場への移行が加速し、PCの売れ行きにも大きな影響が出たといいます。「新型コロナウイルスが流行する前までは、13型のノートPCの売り上げが大きく、14型のノートPCはあまり売れませんでした。しかし、withコロナの時代になって在宅ワークが当たり前の世の中になる中で、14型のノートPCの需要が大幅に増えましたね」(矢野氏)。
今までは働く環境といえばオフィスが中心でしたが、現在では在宅であったり、オフィス以外のワークプレイスであったり、さまざまな働き方が生まれました。目まぐるしく変わる状況の中で、VAIO株式会社はその変化に対応し、多くの取り組みを実施しているといいます。
「長野県安曇野市の現・VAIO工場で1997年にソニーがVAIO PCの発売を日本で開始してから、ちょうど今年で25周年を迎えました。その後、2014年にVAIOブランドを引継ぎ、ソニーから独立してVAIO株式会社が設立されました。」(矢野氏)。
ソニー時代は個人向けのPC販売がメイン事業であり、売り上げの多くを占めていました。またグローバル展開にも力を入れており、売り上げの9割近くがグローバルビジネスだったと言います。「我々はVAIO株式会社設立時に大きな決断を二つしました。一つ目はグローバルビジネスを縮小し、国内マーケットに集中すること。二つ目は法人ビジネスへ軸足を置くことです」(矢野氏)。
法人向けVAIO® Proシリーズ
リモートアクセスサービス「ソコワク®」
現在は、売り上げの約75%が法人向けのノートPCになり、設立してから8年間で大きなトランスフォーメーションを実現させたのです。「まだまだ世間的には個人向けノートPCを販売している会社というイメージが強いです。しかし、VAIO株式会社は法人向けPCの販売に強い会社であるというイメージを持っていただけるように世の中に発信し続けていきたいと考えています」と矢野氏は語ります。
VAIO株式会社は、自社製品のVAIOらしさを構成する4つの要素を「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」「丹精こめた逸品」と設定しています。
VAIOらしさを構成する4つの要素
一つ目は「カッコイイ」です。デザインにはかなり力を入れており、中でも特長的なのがノートPCとして開けたときに後ろに角度がつく「チルトアップ」です。「単純に角度をつけているわけではなく、自然にタイピングしやすい角度にするために細かい計算がなされています。実際に使ってみると、見た目以上に角度がついていると感じていただけると思います」(矢野氏)。そのほかにも、PCの手前が薄くなっており、PCが机と一体になっているような感覚でストレスなく使ってもらえるデザインとなっています。片手でディスプレイを開けられるのも大きな魅力の一つです。
チルトアップにより、タイピングしやすい角度に
二つ目は「カシコイ」です。AIノイズキャンセリング機能がついており、AIが声と騒音など環境ノイズを識別して除去してくれます。また、プライベートモードも搭載されており、カメラの画角の外の音を除去する機能も備えています。「実際に体験してもらうとよく分かっていただけると思います。最近では、これらの機能を重要視して当社の製品を選んでくれるお客さまも増えていますね」(矢野氏)。
Web会議を快適にするAIノイズキャンセリング機能
三つ目は「ホンモノ」です。今までもモバイルPCの素材革新をリードしてきましたが、2021年にはVAIO Zという製品で、世界で初めて*ボディ全面に立体成型カーボンファイバーを採用しました。これにより、1kgを切る軽さと堅牢性を両立させています。そのほかにも、キーボードの打鍵音にもこだわっており、人間にとって耳障りな、中高域のカチャカチャといったノイズを低減し、心地よい打鍵音を実現しています。
*ノートPC筐体を構成する全ての面で、立体成型を行ったカーボン連続繊維素材を使用することにおいて。2021年1月6日時点 ステラアソシエ調べ。
四つ目は「丹精こめた逸品」です。「当社は長野県安曇野市に自社工場を持っており、真摯にものづくりに取り組んでいる会社です。すべてのものづくりの機能が安曇野工場に集約されており、上流設計からアフターサービスまで実施しています」(矢野氏)。
すべてのものづくりの機能が安曇野工場に集約
特に上流設計の部分では、企画、設計、製造からアフターサービスまですべての部署の声を企画の段階から反映させることができるので、高品質な製品を製造することが可能です。日本でこのような工程をすべてやっている会社は非常に少なく、VAIOの大きな特長でもあります。「当社のものづくりに取り組む姿勢に共感していただき、最近では製造業のお客さまも増えてきていますね」(矢野氏)。
127cm 落下試験
また、品質面で欠かせないのが壊れにくいという点です。「当社はどこよりも丈夫で壊れないノートPCを作ろうという意識でものづくりをしています」と矢野氏は語ります。実際、VAIOのモバイルPCにおいては、通勤の電車やオフィスなどで起こりうる過酷な状況を想定し、アメリカ国防総省が制定したMIL規格(MIL-STD-810H)」に準拠した品質試験や127センチの高さから落下テストなどを実施しています。
VAIOの製品は以前から「カッコイイ」「性能が高い」という風に言ってもらえていましたが、どうしても手の届かない価格というイメージを持たれていたといいます。「今後はより幅広いお客さまのご期待にそった製品づくりも検討していきたいと思っています。」と矢野氏は語ります。
また法人向けノートPCの売り上げが約75%を占めるようになり、ビジネスモデルも大きく転換していく必要があるといいます。「法人ビジネスは一回納品したら終わりではなく、毎年ご購入いただけるような仕組みづくりが大切です。お客さまに安心して使っていただけるように、サポート体制なども含めて、より質の高いサービスを提供していきたいですね」(矢野氏)。
VAIOは自社製品の良さを多くの人に知ってもらうために社員一丸となって営業活動に取り組んでいるといいます。「VAIOはこれからチャレンジして高みを目指していこうとしている人たちのモチベーションを高めるような、また挑戦する人を支えられるような会社でありたいと思っています。まずは当社の製品を手に取って触っていただきたいです。実際に体験していただくと当社の製品の質の高さを感じていただけると思います。ぜひ一度、VAIO体験をしてみてください。」(矢野氏)。