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製造業が取り組むべき脱炭素

レンテックインサイト編集部

製造業で活発に進められている「脱炭素」。日本政府が目標として掲げる2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、先進的な企業はすでに脱炭素化に取り組んでいます。昨今では、海外メーカーを中心にサプライヤーにも脱炭素化を求める傾向が強まっており、製造業全体の課題にもなりつつあります。

そこで本記事では、製造業と脱炭素の関係や、具体的にどういった取り組みを進めるべきなのかを解説します。

製造業が取り組むべき脱炭素とは

そもそも、なぜ脱炭素が求められているのかを改めて整理しておきましょう。

現在、世界中の国々がカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを進めています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることです。温室効果ガスは地球温暖化を引き起こす原因となっており、このまま地球温暖化が進むと、世界各地で深刻な気候変動・気候危機が発生すると懸念されています。

温室効果ガスの中で、最も排出量が多いのは二酸化炭素(CO2)です。CO2は炭素(C=カーボン)が酸素(O)と結びついて発生するため、カーボンニュートラルや脱炭素といった言葉が生まれました。

また、製造業は脱炭素と密接に関わっています。環境省が公表している「2020年度(令和2年度)温室効果ガス排出量|出典:環境省」によると、日本での温室効果ガス総排出量はCO2換算で11億5,000万トンです。さらに、部門別の排出量(電気・熱配分後)を見ると、製造業を含む産業部門が34.0%を占めており、最も大きくなっています。日本がカーボンニュートラルを達成するためには、製造業が重要な役割を担っているといえるでしょう。

経済産業省は「2021年版ものづくり白書|出典:経済産業省」において、「グリーン(カーボンニュートラルへの対応)」を製造業の成長戦略の一つに定めています。製造業がこれからの時代を生き抜いていくためには、脱炭素への取り組みが不可欠になりつつあるのです。

製造業の脱炭素化事例

製造業の中でも、先進的な企業はすでに脱炭素化を進めて成果を挙げています。代表的な事例を三つご紹介します。

一つ目は、アメリカの電子機器メーカーであるAppleの事例です。Appleは、2030年までに同社のサプライチェーンや製品ライフサイクル全体でのカーボンニュートラル達成を目指すと公表しています。2022年5月時点では、主要な製造パートナーのうち213社が、25カ国でApple向け製品の製造をすべて再生可能エネルギーでまかなうと約束しており、その中には日本のメーカーも含まれています。

二つ目は、ドイツの化学メーカーであるBASFの事例です。BASFは、自社の全製品のカーボンフットプリントを算出して顧客に提供すると公表しています。カーボンフットプリントとは、原料の調達・製造・輸送といったモノづくりのすべてのプロセスで発生するCO2排出量を算出したものです。BASFの製品を使って最終製品を作るメーカーは、その情報をもとに自社のカーボンフットプリントを算出しやすくなり、脱炭素化を進める上で役立ちます。

三つ目は、日本メーカーのコニカミノルタの事例です。コニカミノルタは複合機・画像診断システム・計測機器などを製造するメーカーですが、2030年までのカーボンマイナス達成を目指しています。カーボンマイナスとは、CO2削減量がCO2排出量を上回っている状態であり、実質ゼロを目指すカーボンニュートラルよりも難しい目標です。同社はエネルギー使用量の削減・サプライヤーの環境活動支援・顧客との連携などの取り組みを進めています。

脱炭素化に向けて取り組む方法

脱炭素化に向けて取り組みを進めたいと思っても、具体的にどうすればよいのか分からないという企業は多いのではないでしょうか。

製造業の脱炭素化は、次の三つのScopeに分けて考えると方向性を見いだしやすくなります。

  • Scope1
    事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
  • Scope2
    他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • Scope3
    Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。

この考え方は、企業の温室効果ガス(Greenhouse Gas=GHG)排出量の国際基準を規定した「GHGプロトコル|出典:環境省」に則ったものです。Scope3については、製品の使用・廃棄、原材料の調達、輸送・配送、通勤など、さらに細かく分類されています。

Scope1とScope2については、省エネ化を行ったり、再生可能エネルギーへの切り替えを行ったりと、取り組み内容が分かりやすい傾向にあります。まずは、自社の工場やオフィスにおける電力消費量などからCO2排出量を算出し、特に排出量の多い部分から見直していくようにしましょう。

課題となってくるのは、Scope3です。Scope3の脱炭素化を進めるには、自社だけの力ではどうにもならないケースも多く、サプライヤーや顧客と連携しなければなりません。上述したカーボンフットプリントのように、各企業が自社のCO2排出量を見える化し、情報共有していく必要があるでしょう。

昨今では、CO2排出量を見える化するシステムなど、脱炭素に特化したソリューションが数多くリリースされています。IT技術も取り入れながら、無理なく脱炭素に取り組んでいってください。

脱炭素は製造業の成長戦略にもなり得る

脱炭素化の取り組みは製造業にとって手間であり、簡単に実施できることではありません。しかし、脱炭素化はただ手間なだけではなく、競争力の強化やコスト削減、人材の獲得といった成長要因にもなり得る取り組みです。脱炭素に前向きに取り組み、企業のさらなる成長に繋げてみてはいかがでしょうか。

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