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IoEとは? IoTとはどう違うのか

レンテックインサイト編集部

2015年頃から日本の産業界で注目を集め始めたIoT(Internet of Things:モノのインターネット)。DXに取り組む企業が増えたことに後押しされ、基本的な知識は広まってきています。しかし、IoE(Internet of Everything:すべてのインターネット)についてはいかがでしょうか。
本記事ではIoTとIoEの違いやIoH、IoCなどの関連ワード、具体的な事例やその活用方法についてご紹介します。

IoEとIoTの違いとは? IoH、IoC、IoA、IoDについても紹介

IoEは、物理的なモノを対象とするIoTの先にある概念で、ヒト・モノ・コトなどすべてをインターネットに接続しデータをやり取りする対象とみなします。

例えば、IoEの対象となるのが「人間の生体情報」です。工場の作業員からウエアラブルデバイスを通じて姿勢や脈拍、呼吸回数といったデータを取得し、安全管理や作業の効率化に活用します。すでに腕時計型のウエアラブル端末でバイタルサインと周囲の環境をセンシングし、リアルタイムのデータ収集・分析を可能にする、といったソリューションは存在します。これらの技術は「生体情報IoT」や「IoH(Intarnet of Human:人のインターネット)」と言い表されることがあります。

人間の能力をインターネットと接続する概念やソリューションを「IoA(Internet of Ability:能力のインターネット)」と言います。例えばドローンやロボットに搭載したカメラと視界を繋いで視覚を拡張する、パワードスーツを通して理想的な身体の動かし方を学ぶなどがIoAの例として挙げられます。

「IoC(Internet of Customers:顧客のインターネット)」は、IoTを顧客目線で捉えなおした言葉で、IoTを通じたメンテナンス、アップデートにより快適な利用体験を得ることが想定されています。また、「IoD(Internet of Digital:デジタルのインターネット)」は、PCやスマートフォンといったデジタル機器による相互通信及びそれらの機器を指します。

「Io~」という言葉が頻出して、頭がこんがらがってきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、それこそがIoEやIoA、IoCについて知る利点でもあります。なまじ概念が広がったからこそ「製品や装置を通じてデータを得る」というイメージに固定されてしまいがちなIoTとは違った視点で、DXを捉えることにこれらの言葉は役立ちます。

バルセロナ市の事例に見る、スマートシティとIoE

IoEの中心にあるのが、あらゆるヒト・モノ・コトがインターネットに接続されることでデータの相互作用が生まれ、おのずから産業構造や企業の役割も変化するというビジョンです。
その理想像としてよく取り上げられるのがスペイン第2の都市、バルセロナの事例です。信号機や道路、ゴミ箱など町中に設置されたセンサーがIoEの取り組みに利用され、スマートシティが実現されています。溜まったごみの分量を計測し、満杯になったものから自動収集、路上駐車の管理を自動化、街灯の照度や散水を制御といった施策が実施され、水資源の年間消費額年25%削減、市全体の光熱費30%の削減などの効果が実際に得られたとのことです。

その事例は、日本で目下進むスマートシティ計画の参考にもなっています。スーパーシティ、デジタル田園健康特区の選定が行われ、今後10年以上かけて日本各地のスマートシティ・スマートローカル化が進められていくことが予想される中で、IoE的な視点を持って「自社はスマートシティでどのような役割を発揮できるか?」を考えることは重要度を増していくでしょう。

「IoE」で重要なのは言葉の区別ではなく“発想の方法”

バルセロナ市のスマートシティ化プロジェクトのパートナーとして、IoTを拡張するキーワードとしてIoEを積極的に使ってきたデジタル機器メーカー、シスコシステムズがありました。しかし近年は、IoTとIoEの違いにこだわりを見せない姿勢を示しています。
IoTという言葉が広まるにつれ、その対象や可能性も大きく広がってきました。そんな中であえて言葉の定義にこだわらず、IoTという言葉を用いつつもIoE的な発想を持つことができれば問題はないという考え方がその背景にはあるようです。

日本のスマートシティの先進事例として知られる福島県会津若松市の資料(「Smart Cityによる自立分散社会の実現へ」 |出典:経済産業省)では、中小製造業の生産性向上に向けて、企業間の連携や共同受注・共同購買によるサプライチェーンリスク回避などを目指して、共通の業務プラットフォームを構築することが構想されています。これもまた企業と企業をインターネットで繋ぐというIoE的発想でしょう。

「インターネットで繋ぐことで解決できないか」というIoE的な発想は、このように自社にとどまらない枠で課題を捉えなおすことを可能にしてくれるのです。

スモールスタート+IoEの自由な発想で、DXを推進する

IoEとは何か、IoTとはどう違うのか、スマートシティとの関係性などについて本記事では詳しく取り上げてまいりました。IoT導入には小さく生んで大きく育てるスモールスタートが効果的ですが、同時に従来の枠にとらわれない鳥の目での発想も必要となります。発想の枠を広げるにあたってIoEという概念を、ぜひ活用してみてください。

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