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ディープラーニングでも活用されるGPUとは?

レンテックインサイト編集部

IT Insight ディープラーニングでも活用されるGPUとは?

GPUと呼ばれる半導体製品が、近年注目を集めています。その理由は、現在のAIで主流となっているディープラーニングで、GPUが活用されているからです。AI技術の発展を支える存在として、半導体製品の中でもGPUの重要度が高まっています。

そこで本記事では、GPUの基礎知識として概要や用途を紹介した上で、ディープラーニングで活用されるようになった理由も解説します。

GPUとは

GPU(Graphics Processing Unit)は、半導体チップの一種です。画像処理に特化した設計がなされており、パソコンやゲーム機の中で3Dグラフィックスを描画するための計算処理などを担っています。

半導体チップといえばCPUが有名ですが、CPUとGPUは用途が異なります。CPUは人の頭脳のような役割を担っており、汎用的かつ複雑な計算処理を行います。一方、GPUは画像処理を高速に実行できるように最適化されており、画像処理以外を行うことは基本的にありませんでした。ただし、現在ではGPUで画像処理以外も行えるようにしたGPGPU(General Purpose Computing on Graphics Processing Unit)という技術も存在しています。

GPUは、CPUに統合された「内蔵GPU」と、GPU単体で使える「ディスクリートGPU」の2種類に分類できます。「内蔵GPU」のシェアが最も高いのは、CPUのシェアが高いIntelです。それに対し、「ディスクリートGPU」のシェアが最も高いのは、GPUメーカーとして有名なNVIDIAであり、市場の約80%を占めています。

GPUの用途

一般的に、GPUはグラフィックボードに搭載されて画像処理を行います。グラフィックボードは、ディスプレイに画像や映像を表示させるための部品が集められたユニットであり、パソコンやゲーム機に搭載されているものです。

3Dグラフィックスでは、2D画像に対して画像処理を行い、陰影や奥行きを付けることで立体的に見えるようにしています。また、それを連続して行うことで、立体的な動きも表現できます。3Dグラフィックスを描画する際は、画像を構成する一つ一つの画素の値を同時並列で高速に計算する必要がありますが、そこで重要になるのが半導体チップのコア数です。コア数は作業者の人数のようなもので、コア数が多ければ多いほど、同時に複数の処理を行えます。一般的なCPUのコア数はハイエンドなものでも数十個しかありませんが、GPUのコア数は数千個にも及びます。そのため、3Dグラフィックスに求められる大量の並列計算をこなすことができるのです。ただし、その代わりにGPUの各コアの計算能力はCPUに比べるとかなり低いことは覚えておきましょう。

GPUは主に、3Dグラフィックスを必要とする用途で活用されています。具体的には、ゲームやアニメ、映画といった映像作品、建築物や工業製品の3DCGなどです。最近では、VRやARといった新しい映像技術にもGPUが活用されているほか、画像処理ではありませんが後述するディープラーニングでも活用されており、用途が広がっています。

GPUの性能は画像処理の性能と直結することから、解像度やフレームレートという形で表現されています。解像度とは、簡単にいうと画素の密度であり、現在はフルHD(1920×1080)で当たり前、高性能なものでは4K(3840×2160)や8K(7680×4320)となっています。フレームレート(fps)は1秒の間に何枚の画像を表示できるかを示す数値であり、数値が多ければ多いほど、動画を滑らかに表現できます。現在は30fpsが一般的で、4K・8Kであれば倍の60fpsが求められます。

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ディープラーニングとGPU

GPUは近年、AIの主流であるディープラーニングで使われるようになり、改めて注目を集めています。ディープラーニングにCPUでなくGPUが使われているのは、上述した通り、GPUが並列処理を得意としているからです。

ディープラーニングでは、膨大な量のデータから学習してデータの特徴を抽出する必要がありますが、その際に無数の並列計算を行うことになります。例えば、画像認識の場合は画像から色や形といった特徴を読み取っていきますが、どの特徴に注目すれば正解に近づくかという条件付けの調整を繰り返していかなくてはなりません。特徴やパターンの数は膨大にあるため、何百万・何千万という計算を繰り返しながら学習していき、徐々に正解に近づいていくという仕組みです。

この時、CPUではなく、並列計算を得意とするGPUを活用すれば、AIが学習する期間を短縮できます。GPUの並列計算の速度は一般的にCPUの10倍以上と言われているため、GPUを使えばCPUの10分の1以下の時間でAIが学習できることになるのです。

これまでのGPUは、画像処理に特化した形で設計されていました。しかし、最近ではディープラーニング向けに最適化された次世代型GPUも登場しています。AIの需要がますます高まっていくこれからの時代において、GPUはより重要な存在になっていくでしょう。

AI技術を支えるGPUの技術開発に注目が集まる

もともとは画像処理に特化していたGPUですが、今では最先端のAI技術を支える存在となっています。GPUの性能アップは、VRやARといった最先端の映像技術はもちろん、AI技術の発達にも直結しているといえるでしょう。

現状、AI向けのGPUのトップはNVIDIAですが、Intelをはじめとするほかの半導体メーカーも追いつこうとしています。GPUの市場動向からも目が離せない状況です。

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